[P-NV-23-6] Stroke Care Unit導入前後のリハビリテーションの変化
キーワード:Stroke Care Unit, 歩行練習, 多職種連携
【はじめに,目的】
脳卒中急性期では,Stroke Care Unit(以下SCU)で専門スタッフによるモニター管理と濃厚な治療と早期離床や歩行練習などのリハビリテーション(以下リハ)が推奨されている。しかし,SCUの効果のエビデンス報告は少なく,SCUでのリハの影響は不明瞭である。本研究は,当院でのSCU導入前と導入後でのリハの介入日数や転倒転落リスクなどの変化を調査し,導入初年度の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とする。
【方法】
対象はSCU導入前の平成25年度(以下H25群)と導入後の26年度(H26群)の9月から3月に当院へ入院し,リハ及び歩行練習を実施した脳卒中患者とした。調査方法はカルテ情報より抽出した。調査項目は以下の通りである。母集団の特性:疾患,年齢,性別,NIHSS,Br.stage,初期座位保持の可不可。日数比較:リハ開始日,歩行練習開始日,在院日数。リスク管理:病棟での転倒転落事故件数。算出したそれぞれの結果はMann-Whitney法とFisher法によりH26とH25の2群間比較を行った(p<0.05)。
【結果】
今回の対象者数はH25群85名,H26群83名であり,疾患の内訳は(以下H25群/H26群)脳出血18人/20人,脳梗塞62人/57人,一過性脳虚血障害5人/6人であった。年齢は平均74.2±13.2歳/73.8±14.7歳,性別は男性54人/47人,女性31人/36人であった。うちH26群のSCU入室患者は75名であり全体の91.6%,平均入室期間は9.9±3.8日であった。NIHSSの中央値(範囲)は3(0~34)/3(0~41),Br.stageは上肢手指下肢全て5(1~6)/6(1~6),初期介入時の座位保持可能者は57人(67.1%)/63人(75.9%)であり全項目で有意差を認めなかった。リハ開始日数の中央値(範囲)は1日(0~5日)/1日(0~6日)(p=0.036),歩行練習開始日は2日(0~58日)/1日(0~36)(p=0.012),在院日数は28日(3~152日)/21日(2~106日)であり,全項目でH26群が有意に短縮を認めた。転倒転落事故件数は10件(12%)/3件(4%)で有意に減少した(p=0.044)。
【結論】
各群で母集団の特性に相違はなく,H26群のリハ及び歩行練習介入開始日,在院日数が有意に短縮を認めた。リハで歩行練習まで実施した患者のうち91.6%がSCUで治療を受けたことで,他職種とリハとの密な連携や,円滑な超急性期の症状コントロールがもたらされ,リハおよび歩行練習が円滑に開始されたと考えられる。また,多職種間での情報共有や方向性の検討が早期から行え,在院日数の減少や転倒転落減少,つまりリスク管理の向上に繋がったと考えられる。一方で各年度では医師やリハスタッフが異なること,リハ以外の職種の取り組みは不明であることが本研究の限界である。今後はアクシデントや合併症の有無,離床時間,患者の身体的特性やADL,QOLなどの実態調査を進め,高い安全性と満足度を兼ね備えた早期退院に向け,SCUでの包括的な介入方法の確立に繋げたい。
脳卒中急性期では,Stroke Care Unit(以下SCU)で専門スタッフによるモニター管理と濃厚な治療と早期離床や歩行練習などのリハビリテーション(以下リハ)が推奨されている。しかし,SCUの効果のエビデンス報告は少なく,SCUでのリハの影響は不明瞭である。本研究は,当院でのSCU導入前と導入後でのリハの介入日数や転倒転落リスクなどの変化を調査し,導入初年度の現状と今後の課題を明らかにすることを目的とする。
【方法】
対象はSCU導入前の平成25年度(以下H25群)と導入後の26年度(H26群)の9月から3月に当院へ入院し,リハ及び歩行練習を実施した脳卒中患者とした。調査方法はカルテ情報より抽出した。調査項目は以下の通りである。母集団の特性:疾患,年齢,性別,NIHSS,Br.stage,初期座位保持の可不可。日数比較:リハ開始日,歩行練習開始日,在院日数。リスク管理:病棟での転倒転落事故件数。算出したそれぞれの結果はMann-Whitney法とFisher法によりH26とH25の2群間比較を行った(p<0.05)。
【結果】
今回の対象者数はH25群85名,H26群83名であり,疾患の内訳は(以下H25群/H26群)脳出血18人/20人,脳梗塞62人/57人,一過性脳虚血障害5人/6人であった。年齢は平均74.2±13.2歳/73.8±14.7歳,性別は男性54人/47人,女性31人/36人であった。うちH26群のSCU入室患者は75名であり全体の91.6%,平均入室期間は9.9±3.8日であった。NIHSSの中央値(範囲)は3(0~34)/3(0~41),Br.stageは上肢手指下肢全て5(1~6)/6(1~6),初期介入時の座位保持可能者は57人(67.1%)/63人(75.9%)であり全項目で有意差を認めなかった。リハ開始日数の中央値(範囲)は1日(0~5日)/1日(0~6日)(p=0.036),歩行練習開始日は2日(0~58日)/1日(0~36)(p=0.012),在院日数は28日(3~152日)/21日(2~106日)であり,全項目でH26群が有意に短縮を認めた。転倒転落事故件数は10件(12%)/3件(4%)で有意に減少した(p=0.044)。
【結論】
各群で母集団の特性に相違はなく,H26群のリハ及び歩行練習介入開始日,在院日数が有意に短縮を認めた。リハで歩行練習まで実施した患者のうち91.6%がSCUで治療を受けたことで,他職種とリハとの密な連携や,円滑な超急性期の症状コントロールがもたらされ,リハおよび歩行練習が円滑に開始されたと考えられる。また,多職種間での情報共有や方向性の検討が早期から行え,在院日数の減少や転倒転落減少,つまりリスク管理の向上に繋がったと考えられる。一方で各年度では医師やリハスタッフが異なること,リハ以外の職種の取り組みは不明であることが本研究の限界である。今後はアクシデントや合併症の有無,離床時間,患者の身体的特性やADL,QOLなどの実態調査を進め,高い安全性と満足度を兼ね備えた早期退院に向け,SCUでの包括的な介入方法の確立に繋げたい。