第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本神経理学療法学会 一般演題ポスター
神経P24

2016年5月29日(日) 10:00 〜 11:00 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-NV-24-1] 急性期脳内出血患者の合併症発生要因の検討

久保宏紀1, 金居督之1, 北村友花1, 古市あさみ1, 山本美穂1, 小林実希1, 野添匡史1,2, 間瀬教史2, 島田真一3 (1.伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション部, 2.甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科, 3.伊丹恒生脳神経外科病院脳神経外科)

キーワード:脳内出血, 合併症発生, 離床開始

【はじめに,目的】脳内出血患者は脳梗塞患者と比較し重症で外科的治療が必要な場合も多く機能予後が不良である。この機能予後の悪化に大きく関与しているものが合併症の発生であり,急性期において合併症の発生を予防することは重要な課題である。本研究の目的は急性期脳内出血患者における合併症の発生率とその要因について調査することである。

【方法】2010年6月から2015年3月に当院に入院した脳内出血患者388例のうち非高血圧性脳内出血例,入院前modified Rankin Scale≧3,死亡例や治療転院例,リハ処方が1週間以上遅延した例を除いた207例(年齢66.1±11.7歳,男性139例)を対象とした。患者背景,疾患情報および治療状況,離床開始日を診療録より後方視的に調査した。合併症は呼吸器感染,尿路感染,深部静脈血栓症,肺塞栓,心不全,消化管病変,原因不明な発熱を調査した。そして,合併症の発生の有無により群分け(合併症群,非合併症群)を行い,患者背景等に関して対応のないt検定及びχ2検定を用いて群間比較を行った。また合併症発生に影響を与える要因を検討するために,群間比較で有意差を認めた項目を独立変数,合併症の発生を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。さらにロジスティック回帰分析で抽出された因子が連続変数の場合,ROC曲線を用いてカットオフ値を算出した。各検定の有意水準は5%とした。統計解析ソフトはjmp10を用いた。

【結果】合併症は63例(30.4%)に生じており,呼吸器感染(8%),尿路感染(12%),原因不明の発熱(10%)が多くを占めた。群間比較において年齢(p=0.038),入院時NIH Stroke scale(NIHSS)(p<0.001),外科的治療の有無(p<0.001),人工呼吸器管理(p=0.003),栄養療法開始日(p<0.001),離床開始日(p<0.001)に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,合併症発生に影響を与える因子として年齢(オッズ比0.929,95%信頼区間:0.888-0.967,p<0.001),入院時NIHSS(オッズ比0.690,95%信頼区間:0.585-0.792,p<0.001),離床開始日(オッズ比,0.729,95%信頼区間:0.546-0.949,p=0.012)が抽出された。合併症の発生を分けるカットオフ値は年齢が60歳(感度:0.382,特異度:0.778),NIHSSが8点(感度:0.715,特異度:0.794),離床開始日が5病日目(感度:0.833,特異度:0.635)であった。

【結論】急性期脳内出血患者の合併症の発生には年齢,入院時の重症度,離床開始日が関与していた。