[P-NV-25-2] 回復期脳卒中患者における起床時不快感に関連する要因の検討
Keywords:脳卒中, 実態調査, 睡眠障害
【はじめに,目的】
臨床において,脳卒中患者が起床時に特有のこわばりや関節痛,痺れ,腰痛等の不快感(以下,起床時不快感)を訴える事を多く経験する。この不快感の症状は,日常生活活動の低下や,気分低下を引き起こす可能性があり,脳卒中後の理学療法に影響を与える事が示唆される。しかし,これまでに起床時不快感に関してその実態を調査した報告はない。本研究では,回復期脳卒中患者を対象に起床時不快感の有無と関連する要因を検討する事を目的とした。
【方法】
対象は,2015年4月から10月の間に,当院回復期病棟に入院した脳卒中患者48名とした。採用基準は,初発脳卒中であり年齢が20歳から80歳の者とした。除外基準は,Mini Mental State Examinationが20点以下,三環系うつ薬を内服している者とした。
起床時不快感の定義は,起床時に特有,もしくは増悪するこわばりや関節痛,痺れ,腰痛等の症状とし,起床時不快感の有無について対象者に直接聴取した。基本情報として,年齢,性別,麻痺側,発症後期間,Body Mass Index(BMI)をカルテより収集した。日常生活動作能力の指標としてFunctional Independence Measure(FIM)を評価し,認知項目と運動項目に分けて算出した。また,睡眠の質の評価として,The Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)を聴取した。PSQIは,点数が高いほど睡眠の質の低下を示し,5.5/21点以上で睡眠障害の可能性があると報告されている(Doi, et al., 2000)。
データ解析は,起床時不快感の有無により,対象者を起床時不快感がある群(不快感あり群)とない群(不快感なし群)の2群に分類した。なお,起床時不快感と同等の症状が日中持続する者は,不快感なし群に分類した。両群の特徴の違いを明らかにする為に,性別,麻痺側をFisherの直接確立検定を用いて比較した。年齢,BMI,発症後期間,FIM認知項目,FIM運動項目,PSQIは,対応のないt検定で比較した。有意水準は5%とした。
【結果】
不快感あり群は48名中17名で,全体の35.4%であった(年齢59.6±12.1歳,男性7名,右麻痺5名,BMI21.1±2.8,発症後104.2±47.5日,FIM運動項目77.1±12.4点,FIM認知項目32.1±3.9,PSQI5.5±2.9点)。不快感なし群は31名であった(年齢65.2±11.5歳,男性20名,右麻痺17名,BMI22.0±3.1,発症後73.4±33.1日,FIM運動項目66.2±18.4点,FIM認知項目30.2±5.0点,PSQI3.5±1.6点)。不快感なし群の内,1名が持続的な不快感を有していた。
群間の比較では,発症後期間は,不快感なし群と比較し,不快感あり群で有意に高値を示した(p=0.015)。FIM運動項目は,不快感なし群と比較し,不快感あり群で有意に高値を示した(p=0.020)。また,PSQIは,不快感なし群と比較し,不快感あり群で有意に点数が高値を示した(p =0.008)。その他の項目では,いずれも有意差を認めなかった(p>0.05)。
【結論】
回復期脳卒中患者において,起床時不快感の訴えは約35%で認めた,不快感あり群では,不快感なし群と比較し,発症後期間が長い,FIM運動項目が高値である,睡眠の質が低下しているという特徴を認めた。
臨床において,脳卒中患者が起床時に特有のこわばりや関節痛,痺れ,腰痛等の不快感(以下,起床時不快感)を訴える事を多く経験する。この不快感の症状は,日常生活活動の低下や,気分低下を引き起こす可能性があり,脳卒中後の理学療法に影響を与える事が示唆される。しかし,これまでに起床時不快感に関してその実態を調査した報告はない。本研究では,回復期脳卒中患者を対象に起床時不快感の有無と関連する要因を検討する事を目的とした。
【方法】
対象は,2015年4月から10月の間に,当院回復期病棟に入院した脳卒中患者48名とした。採用基準は,初発脳卒中であり年齢が20歳から80歳の者とした。除外基準は,Mini Mental State Examinationが20点以下,三環系うつ薬を内服している者とした。
起床時不快感の定義は,起床時に特有,もしくは増悪するこわばりや関節痛,痺れ,腰痛等の症状とし,起床時不快感の有無について対象者に直接聴取した。基本情報として,年齢,性別,麻痺側,発症後期間,Body Mass Index(BMI)をカルテより収集した。日常生活動作能力の指標としてFunctional Independence Measure(FIM)を評価し,認知項目と運動項目に分けて算出した。また,睡眠の質の評価として,The Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)を聴取した。PSQIは,点数が高いほど睡眠の質の低下を示し,5.5/21点以上で睡眠障害の可能性があると報告されている(Doi, et al., 2000)。
データ解析は,起床時不快感の有無により,対象者を起床時不快感がある群(不快感あり群)とない群(不快感なし群)の2群に分類した。なお,起床時不快感と同等の症状が日中持続する者は,不快感なし群に分類した。両群の特徴の違いを明らかにする為に,性別,麻痺側をFisherの直接確立検定を用いて比較した。年齢,BMI,発症後期間,FIM認知項目,FIM運動項目,PSQIは,対応のないt検定で比較した。有意水準は5%とした。
【結果】
不快感あり群は48名中17名で,全体の35.4%であった(年齢59.6±12.1歳,男性7名,右麻痺5名,BMI21.1±2.8,発症後104.2±47.5日,FIM運動項目77.1±12.4点,FIM認知項目32.1±3.9,PSQI5.5±2.9点)。不快感なし群は31名であった(年齢65.2±11.5歳,男性20名,右麻痺17名,BMI22.0±3.1,発症後73.4±33.1日,FIM運動項目66.2±18.4点,FIM認知項目30.2±5.0点,PSQI3.5±1.6点)。不快感なし群の内,1名が持続的な不快感を有していた。
群間の比較では,発症後期間は,不快感なし群と比較し,不快感あり群で有意に高値を示した(p=0.015)。FIM運動項目は,不快感なし群と比較し,不快感あり群で有意に高値を示した(p=0.020)。また,PSQIは,不快感なし群と比較し,不快感あり群で有意に点数が高値を示した(p =0.008)。その他の項目では,いずれも有意差を認めなかった(p>0.05)。
【結論】
回復期脳卒中患者において,起床時不快感の訴えは約35%で認めた,不快感あり群では,不快感なし群と比較し,発症後期間が長い,FIM運動項目が高値である,睡眠の質が低下しているという特徴を認めた。