[P-NV-26-3] 入院中の回復期脳卒中者の日常生活動作の自立度と身体活動量との関連
Keywords:脳卒中, 身体活動量, 日常生活動作
【はじめに,目的】
回復期脳卒中におけるリハビリテーション(リハ)では脳卒中者に集中的なリハを提供し日常生活動作の自立度を高めることが重要な課題の一つである。近年,脳卒中者の身体活動量(活動量)を高めることが運動機能の改善を加速させる要素として着目されており,回復期では集中的なリハを提供するのみでなくリハ以外の時間帯においても積極的に離床を促し,活動機会を充分に確保することが望ましい。しかし,回復期脳卒中者のリハ中の活動量またはリハ以外の時間帯における活動量と日常生活動作の自立度との関連は充分に検証されていない。本研究は回復期における脳卒中者の日常生活動作の自立度と活動量の関連について検討することを目的とした。
【方法】
回復期リハ病院に入院中の初発脳卒中者40人(平均年齢62.4歳)を対象に入院後1か月目の下肢Brunnstrom stage(BS)とfunctional independence measureの運動項目(mFIM)および活動量を調査した。活動量の測定では対象者の腰部に装着した3軸加速度計付活動量計(OMRON HJA-350IT)にて,7時から19時までの12時間におけるmetabolic equivalents(METs)を連続7日間,60秒ごとに測定した。得られたデータから,1.0-1.5METs(安静座位活動;SB),1.6-2.9METs(低強度活動;LIPA),3.0METs以上(中-高強度活動;MVPA)の3つの活動強度の活動時間(日中-SB,日中-LIPA,日中-MVPA)を算出した。また,日中の活動量のうちリハ中およびリハ以外の時間帯における異なる強度での活動時間(リハ-SB,リハ-LIPA,リハ-MVPA,リハ外-SB,リハ外-LIPA,リハ外-MVPA)についても算出した。
【結果】
mFIMと日中の活動量の各指標(日中-SB,日中-LIPA,日中-MVPA)とのPearson相関係数を算出した結果,mFIMと日中-LIPA(r=0.683)または日中-MVPA(r=0.536)に中等度以上の正の相関を認めた。また,mFIMを従属変数,活動量の各指標(SB,LIPA,MVPA)を独立変数とした重回帰分析を年齢,発症からの日数,BSで調整して行った結果,独立変数を日中-SB,日中-LIPA,日中-MVPAとしたモデルではmFIMに対して日中-LIPAと日中-MVPAが有意に関連する変数として抽出され(自由度調整済み決定係数0.777),日中-SBは有意な関連項目として抽出されなかった。さらに,独立変数をリハ-LIPA,リハ-MVPA,リハ外-LIPA,リハ外-MVPAとしたモデルではmFIMに対してリハ-MVPA,リハ-LIPA,リハ外-LIPAが有意に関連する変数として抽出された(自由度調整済み決定係数0.809)。
【結論】
mFIMに対して日中-LIPAと日中-MVPAが関連したことから,回復期脳卒中者において日常生活動作の自立度に対して日中全体のより強度を高めた活動量が密接な関連因子であることが示唆された。また,リハ中の活動とリハ以外の時間帯の活動においてリハ-LIPAとリハ-MVPAおよびリハ外-LIPAがmFIMに対して関連したことから,リハで高強度な活動を提供するとともに,リハ以外の時間帯においても立位での動作に相当する強度での活動機会を確保することが重要であると考えられた。
回復期脳卒中におけるリハビリテーション(リハ)では脳卒中者に集中的なリハを提供し日常生活動作の自立度を高めることが重要な課題の一つである。近年,脳卒中者の身体活動量(活動量)を高めることが運動機能の改善を加速させる要素として着目されており,回復期では集中的なリハを提供するのみでなくリハ以外の時間帯においても積極的に離床を促し,活動機会を充分に確保することが望ましい。しかし,回復期脳卒中者のリハ中の活動量またはリハ以外の時間帯における活動量と日常生活動作の自立度との関連は充分に検証されていない。本研究は回復期における脳卒中者の日常生活動作の自立度と活動量の関連について検討することを目的とした。
【方法】
回復期リハ病院に入院中の初発脳卒中者40人(平均年齢62.4歳)を対象に入院後1か月目の下肢Brunnstrom stage(BS)とfunctional independence measureの運動項目(mFIM)および活動量を調査した。活動量の測定では対象者の腰部に装着した3軸加速度計付活動量計(OMRON HJA-350IT)にて,7時から19時までの12時間におけるmetabolic equivalents(METs)を連続7日間,60秒ごとに測定した。得られたデータから,1.0-1.5METs(安静座位活動;SB),1.6-2.9METs(低強度活動;LIPA),3.0METs以上(中-高強度活動;MVPA)の3つの活動強度の活動時間(日中-SB,日中-LIPA,日中-MVPA)を算出した。また,日中の活動量のうちリハ中およびリハ以外の時間帯における異なる強度での活動時間(リハ-SB,リハ-LIPA,リハ-MVPA,リハ外-SB,リハ外-LIPA,リハ外-MVPA)についても算出した。
【結果】
mFIMと日中の活動量の各指標(日中-SB,日中-LIPA,日中-MVPA)とのPearson相関係数を算出した結果,mFIMと日中-LIPA(r=0.683)または日中-MVPA(r=0.536)に中等度以上の正の相関を認めた。また,mFIMを従属変数,活動量の各指標(SB,LIPA,MVPA)を独立変数とした重回帰分析を年齢,発症からの日数,BSで調整して行った結果,独立変数を日中-SB,日中-LIPA,日中-MVPAとしたモデルではmFIMに対して日中-LIPAと日中-MVPAが有意に関連する変数として抽出され(自由度調整済み決定係数0.777),日中-SBは有意な関連項目として抽出されなかった。さらに,独立変数をリハ-LIPA,リハ-MVPA,リハ外-LIPA,リハ外-MVPAとしたモデルではmFIMに対してリハ-MVPA,リハ-LIPA,リハ外-LIPAが有意に関連する変数として抽出された(自由度調整済み決定係数0.809)。
【結論】
mFIMに対して日中-LIPAと日中-MVPAが関連したことから,回復期脳卒中者において日常生活動作の自立度に対して日中全体のより強度を高めた活動量が密接な関連因子であることが示唆された。また,リハ中の活動とリハ以外の時間帯の活動においてリハ-LIPAとリハ-MVPAおよびリハ外-LIPAがmFIMに対して関連したことから,リハで高強度な活動を提供するとともに,リハ以外の時間帯においても立位での動作に相当する強度での活動機会を確保することが重要であると考えられた。