[P-NV-30-4] 治療技術研修会に参加した理学療法士の治療に対する意識の変化とその影響
ボバース認定基礎講習会への参加に対する検証
キーワード:治療技術研修会, 意識調査, FIM効率
【はじめに,目的】当院は年間約1100例の脳卒中患者の受け入れを行っている急性期病院である。課内学習の一環として,さまざまな研修会や学会への参加を行っている。今回,治療技術研修会に参加した理学療法士(以下PT)に対する意識の変化について調査した。加えて,脳卒中片麻痺患者のFIMの改善との関係について若干の考察を行ったので報告する。
【方法】参加した研修会はボバース認定基礎講習会である。この講習会は,全3週間にわたり,神経生理学などの基礎知識や実技講習等を学ぶものである。アンケート調査として,ボバース認定基礎講習会に参加したPT3名を対象に,講習会後の評価・介入や自己研鑽に関する取り組みについて独自の調査を行った。回答には順序尺度である1~7段階評価(全くそう思わない1点~強くそう思う7点)を用いた。また,FIMの調査として,2013年4月から2015年3月までに当院に入院した急性期脳梗塞患者の内,4年目~15年目までのPT16名が治療介入を行った患者を対象にFIMの改善に対する調査を行った。尚,1週間以内の早期退院患者およびrt-PA静注療法や血管内治療を行った患者は対象から除外した。認定基礎講習会に参加したPT(3名,経験年数7.0±2.0年)が担当した患者144名をNDT群とし,参加していないPT(13名,経験年数7.2±3.0年)が担当した患者392名をコントロール群とした。検討項目は,年齢,入院時NIHSS,FIM効率(退院時FIM総合点-入院1週間後FIM総合点/入院1週間後から退院までの日数)とした。これらの項目を電子カルテより後方視的に調査した。
【結果】アンケート調査では,評価・介入に関する項目は,評価・介入方法の理解度が深まったが6.0±1.0点,神経科学的な視点から臨床推論が行えるようになったが5.7±0.6点,治療テックニックが向上したが5.7±0.6点であった。自己研鑽に関する項目は,ボバースの研修会への参加が増えたが5.0±1.0点,ボバース以外の研修会への参加が増えたが5.0±1.7点,リハビリに関する書籍・文献を読むようになったが5.7±1.5点であった。その他の項目は,患者に対して責任を感じるようになったが6.3±0.5点,ボバースに関する他の研修会にない良さを感じたが5.7±0.6点,次に行くことが出来ればまた行きたいと思うが6.7±0.6点であった。FIMの調査では,年齢,入院時NIHSSは2群間に有意差を認めなかったが,FIM効率はNDT群が0.64±0.90点,コントロール群が0.50±0.82点でNDT群が有意な改善を示した(P<0.05)。
【結論】認定基礎講習会に参加し,基礎知識や実技講習等を学ぶことにより,参加PTの知識・技術の向上のみならず,自己研鑽意欲向上,患者に対する責任感向上にもつながった。これらの要因の効果もあり,最終的には脳卒中片麻痺患者のFIMの有意な改善につながったと考えられた。治療技術研修会への参加は,参加PTの知識・意欲向上およびそれに伴う患者の能力向上に関与することが示唆された。
【方法】参加した研修会はボバース認定基礎講習会である。この講習会は,全3週間にわたり,神経生理学などの基礎知識や実技講習等を学ぶものである。アンケート調査として,ボバース認定基礎講習会に参加したPT3名を対象に,講習会後の評価・介入や自己研鑽に関する取り組みについて独自の調査を行った。回答には順序尺度である1~7段階評価(全くそう思わない1点~強くそう思う7点)を用いた。また,FIMの調査として,2013年4月から2015年3月までに当院に入院した急性期脳梗塞患者の内,4年目~15年目までのPT16名が治療介入を行った患者を対象にFIMの改善に対する調査を行った。尚,1週間以内の早期退院患者およびrt-PA静注療法や血管内治療を行った患者は対象から除外した。認定基礎講習会に参加したPT(3名,経験年数7.0±2.0年)が担当した患者144名をNDT群とし,参加していないPT(13名,経験年数7.2±3.0年)が担当した患者392名をコントロール群とした。検討項目は,年齢,入院時NIHSS,FIM効率(退院時FIM総合点-入院1週間後FIM総合点/入院1週間後から退院までの日数)とした。これらの項目を電子カルテより後方視的に調査した。
【結果】アンケート調査では,評価・介入に関する項目は,評価・介入方法の理解度が深まったが6.0±1.0点,神経科学的な視点から臨床推論が行えるようになったが5.7±0.6点,治療テックニックが向上したが5.7±0.6点であった。自己研鑽に関する項目は,ボバースの研修会への参加が増えたが5.0±1.0点,ボバース以外の研修会への参加が増えたが5.0±1.7点,リハビリに関する書籍・文献を読むようになったが5.7±1.5点であった。その他の項目は,患者に対して責任を感じるようになったが6.3±0.5点,ボバースに関する他の研修会にない良さを感じたが5.7±0.6点,次に行くことが出来ればまた行きたいと思うが6.7±0.6点であった。FIMの調査では,年齢,入院時NIHSSは2群間に有意差を認めなかったが,FIM効率はNDT群が0.64±0.90点,コントロール群が0.50±0.82点でNDT群が有意な改善を示した(P<0.05)。
【結論】認定基礎講習会に参加し,基礎知識や実技講習等を学ぶことにより,参加PTの知識・技術の向上のみならず,自己研鑽意欲向上,患者に対する責任感向上にもつながった。これらの要因の効果もあり,最終的には脳卒中片麻痺患者のFIMの有意な改善につながったと考えられた。治療技術研修会への参加は,参加PTの知識・意欲向上およびそれに伴う患者の能力向上に関与することが示唆された。