第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本神経理学療法学会 一般演題ポスター
神経P30

Sun. May 29, 2016 11:10 AM - 12:10 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-NV-30-5] 救命救急センターへ担当理学療法士を配置することによる効果

守屋正道 (日本大学医学部附属板橋病院リハビリテーション科)

Keywords:救命救急センター, 早期離床, 専従理学療法士

【はじめに,目的】

米国集中治療医学会のガイドラインは,ICUにおける早期離床を推奨している。救命救急センター(emergency and critical care center:Center)での理学療法(PT)は,まず救命救急が優先されるが,固定化しつつある障害に対して追いかける医療ではなく,疾患の発症から積極的に介入し,起こり得る事態に的確に対応できる医療でなくてはならない。そのためCenterへの専従理学療法士の常駐は一般的となっており,当院においてもICUやHCU,またSCU・CCU・BCU可動の一員として業務を行えるような体制が望まれる。今回,まず担当理学療法士を配置することによる効果を検証し,今後専従理学療法士を常駐させるための展開方法を勘案することを目的とした。

【方法】

対象は,担当理学療法士を配置する前の2014年2月から2014年6月(第1期)および配置後の2015年2月から2015年6月(第2期)に,当Centerに搬送されPT依頼があった275例である。診療録より,PT依頼件数,診断名,Center入室からPT開始までの日数,Center入室から離床までの日数,Center在室期間,Center退出時の転帰,在院日数を後方視的に抽出した。第1期と,第2期の2群間において,抽出項目を比較した。

【結果】

PT依頼件数(第1期/第2期)は,99/176例であり,PT介入率は,21.3/54.0%と有意に増加した(p<0.01)。PT開始までの日数は8.8±4.7/5.8±4.0病日(p<0.01),Center入室から離床までの日数は10.4±6.0/6.7±4.6病日(p<0.01)であり,有意な短縮を認めた。Center在室期間は,14.1±11.4/12.3±13.1病日,在院日数は,24.9±15.9/23.9±14.8病日であり,統計学的な有意差を認めなかった。診断名の疾患分類は,脳血管系53.9/36.2%,心大血管系13.2/31.2%,呼吸器系13.2/11.6%,運動器系4.0/5.0%,その他15.8/15.9%であった。転帰は,自宅退院5.0/6.5%,死亡退院5.0/4.3%,転院64.5/49.3%,本院転棟による治療継続25.0/39.9%であった。

【結論】

担当理学療法士の配置によりPT介入率が増加した。また,PT介入までの日数および離床までの日数は有意に短縮し,Center在室期間および在院日数もその傾向を示した。疾患分類については,心大血管系の依頼が多くなった。転帰は,転院の割合が減少し本院転棟による治療継続が増加した。今後は,今回提示していないアウトカムのデータを使用し,緊急度・重症度の高い患者を扱うCenterでの理学療法の効果を検討する。