[P-RS-01-3] 集中治療領域における理学療法士と看護師とのデイリーカンファレンスの取り組みと有用性
Keywords:集中治療領域, 早期リハビリテーション, カンファレンス
【はじめに,目的】
近年,集中治療領域(ICU)におけるリハビリテーション早期介入の有用性は,呼吸器離脱の促進等多数報告され,ICU在室中から離床を図っていくことが求められている。しかし,従来多くの施設で実施されてきた,1人の理学療法士(PT)が入院から退院まで対象患者を担当する患者担当制では,セラピスト個人の能力等に影響され,症例によっては介入の遅れや多職種との連携を深めることも進んでいなかった。そこで従来の患者担当制に加えてICU担当理学療法士(ICU担当PT)を設定し,看護師とのデイリーカンファレンスを行うことで,より効果的な早期介入が可能か検証を行ったので報告する。
【方法】
対象は2013年11月から2015年5月までに救急科からリハビリテーション依頼があり,ICU入室歴のあった108例(死亡退院除く)。当院救命救急センターは救急医専従のclosedICU8床を有し,平均在室日数は4日程度である。デイリーカンファレンスは2014年11月からICU担当PTとその日の看護師リーダーで稼働日は毎日実施した。内容は①主治医に対しのリハビリテーション開始適応についてのコンサルテーション検討②看護師との鎮痛鎮静や運動強度等の情報共有を行った。検討項目は入院時APACHEIIスコア,リハビリテーション開始までの日数,端坐位開始までの日数,車椅子座位開始までの日数,呼吸器管理日数,ICU在室日数とした。デイリーカンファレンス導入後群と導入前群の2群に分類し,有意水準5%未満として後ろ向きに検証した。
【結果】
カンファレンス導入後群44例と導入前群64例でそれぞれAPACHEIIスコア(24.0±7.1点,20.4±9.5点,p<0.05),リハビリテーション開始までの日数(3.2±2.8日,5.9±5.3日,p<0.005),端坐位開始までの日数(6.9±5.3日,10.6±9.3日,p<0.05),車椅子座位開始までの日数(7.4±5.3日,11.6±9.2日,p=p<0.05),呼吸器管理日数(6.4±6.2日,10.1±8.1日,p<0.05),ICU在室日数(7.4±7.2日,10.8±9.1日,p<0.05)に有意差を認めた。
【結論】
影近は,ICUでカンファレンスを行うことで多職種間による話し合いの機会が増え,安全で効率の良いADL方法の協議やリスク管理が適切に行われるようになった,と報告している。本報告でもICU担当PTの設定及びデイリーカンファレンス開始を契機にICU専属PTの配置には至っていないが,ICUリハビリテーションに関する主治医や看護師との連携が深まった。特にPTによる身体機能と看護師による鎮痛鎮静や循環等,各専門的な評価の情報共有が日常的に行われることで,早期介入と段階的な早期離床につながったと考える。それに加えてICU担当PTと患者担当PTとの情報共有も強化され,PT間の教育的な側面でも有用であったことが考えられた。
近年,集中治療領域(ICU)におけるリハビリテーション早期介入の有用性は,呼吸器離脱の促進等多数報告され,ICU在室中から離床を図っていくことが求められている。しかし,従来多くの施設で実施されてきた,1人の理学療法士(PT)が入院から退院まで対象患者を担当する患者担当制では,セラピスト個人の能力等に影響され,症例によっては介入の遅れや多職種との連携を深めることも進んでいなかった。そこで従来の患者担当制に加えてICU担当理学療法士(ICU担当PT)を設定し,看護師とのデイリーカンファレンスを行うことで,より効果的な早期介入が可能か検証を行ったので報告する。
【方法】
対象は2013年11月から2015年5月までに救急科からリハビリテーション依頼があり,ICU入室歴のあった108例(死亡退院除く)。当院救命救急センターは救急医専従のclosedICU8床を有し,平均在室日数は4日程度である。デイリーカンファレンスは2014年11月からICU担当PTとその日の看護師リーダーで稼働日は毎日実施した。内容は①主治医に対しのリハビリテーション開始適応についてのコンサルテーション検討②看護師との鎮痛鎮静や運動強度等の情報共有を行った。検討項目は入院時APACHEIIスコア,リハビリテーション開始までの日数,端坐位開始までの日数,車椅子座位開始までの日数,呼吸器管理日数,ICU在室日数とした。デイリーカンファレンス導入後群と導入前群の2群に分類し,有意水準5%未満として後ろ向きに検証した。
【結果】
カンファレンス導入後群44例と導入前群64例でそれぞれAPACHEIIスコア(24.0±7.1点,20.4±9.5点,p<0.05),リハビリテーション開始までの日数(3.2±2.8日,5.9±5.3日,p<0.005),端坐位開始までの日数(6.9±5.3日,10.6±9.3日,p<0.05),車椅子座位開始までの日数(7.4±5.3日,11.6±9.2日,p=p<0.05),呼吸器管理日数(6.4±6.2日,10.1±8.1日,p<0.05),ICU在室日数(7.4±7.2日,10.8±9.1日,p<0.05)に有意差を認めた。
【結論】
影近は,ICUでカンファレンスを行うことで多職種間による話し合いの機会が増え,安全で効率の良いADL方法の協議やリスク管理が適切に行われるようになった,と報告している。本報告でもICU担当PTの設定及びデイリーカンファレンス開始を契機にICU専属PTの配置には至っていないが,ICUリハビリテーションに関する主治医や看護師との連携が深まった。特にPTによる身体機能と看護師による鎮痛鎮静や循環等,各専門的な評価の情報共有が日常的に行われることで,早期介入と段階的な早期離床につながったと考える。それに加えてICU担当PTと患者担当PTとの情報共有も強化され,PT間の教育的な側面でも有用であったことが考えられた。