第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本呼吸理学療法学会 一般演題ポスター
呼吸P03

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第10会場 (産業振興センター 2階 セミナールームB)

[P-RS-03-2] 測定体位,測定条件が咳嗽時最大呼気流速に与える影響について

玉田良樹 (国立国際医療研究センター国府台病院)

Keywords:咳嗽時最大呼気流速, 測定体位, ベッドアップ30°

【はじめに】

咳嗽時最大呼気流速(Cough peak flow;CPF)の低下は呼吸器感染症に密接に関係し,CPFの測定は喀痰排出において重要な意味を持つ指標である。ピークフローメータは機器によっては使用する向きにより重力の影響を受けることが予想される。また,CPFは測定体位や測定条件において測定値は異なり,ベッド上でPCFを測定する際の推奨されるべき測定条件は明らかにされていない。


【目的】

ピークフローメータを垂直位に保つコネクタを作成し,従来の使用方法とコネクタを装着することによる妥当性を検証する。作成したコネクタを用い,体位(背臥位,ベッドアップ30°,ベッドアップ60°,端坐位)および測定条件(マウスピースとフェイスマスク)における差異を測定する。


【方法】

1)健常ボランティア10例(年齢37.9±7.8歳,男性10例)を対象とし,ピークフローメータを垂直位に保つために作成したコネクタを,マウスピースとフェイスマスクに付け,従来の測定方法とCPFの違いを比較した。

2)中高齢の入院患者24例(年齢64.5±9.8歳,男性12例,女性12例)を対象とし,背臥位,ベッドアップ30°体位,ベッドアップ60°体位,端坐位の4測定体位,マウスピースとフェイスマスクにコネクタを装着した2測定条件でCPFを測定し,測定体位,測定条件によって生じる差を比較検討した。統計処理は1)対応のあるt検定,2)反復測定による2元配置分散分析を用い,多重比較にはBonferroni法を用いた。危険率5%未満を有意とした。統計解析にはSPSS statistic ver 17を使用した。


【結果】

1)マウスピース単独(520±79.4L/m),フェイスマスク単独(464±78.6L/m)に比べて,マウスピースにコネクタを装着した場合とフェイスマスクにコネクタを装着した場合のCPFはそれぞれ3.2%,1.5%増加(537±99.5L/m,471±82.2L/m)したが,統計上有意差を認めなかった。

2)測定体位におけるCPFはマウスピースとフェイスマスクともに端坐位が最高値(マウスピース428.8±151.6L/m,フェイスマスク385±131.5L/m)で,背臥位が一番低値(マウスピース320.4±87.4L/m,フェイスマスク301.3±82.1L/m)を示した。端坐位を除く体位では,ベッドアップ30°体位が最も高値(マウスピース383.3±129.9L/m,352.1±101L/m)であった。すべての測定体位において,フェイスマスク使用時のCPFがマウスピース使用時に比して有意に低値であった。


【結論】

CPFは,端坐位が最も高値であり,次いでベッドアップ30°,ベッドアップ60°,背臥位の順であった。フェイスマスク使用ではマウスピースよりもCPFが低値となることを明らかにした。