第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本呼吸理学療法学会 一般演題ポスター
呼吸P08

Sat. May 28, 2016 4:00 PM - 5:00 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-RS-08-5] 待機的胃切除術症例における手術後身体活動状況

山下裕1, 岡嵜誉1, 山口竜三2, 田平一行3 (1.春日井市民病院リハビリテーション技術室, 2.春日井市民病院外科, 3.畿央大学大学院健康科学研究科)

Keywords:周術期, 早期離床, 身体活動量

【はじめに,目的】近年,手術後早期離床を推奨したEnhance Recovery After Surgery(ERAS)やFast track surgeryなどの消化器外科手術後回復促進プログラムが発表され,早期離床が積極的に行われるようになった。しかし,消化器外科手術後患者における活動量についての報告は散見されるのみで,実際に手術後早期患者がどのように活動するかは明らかではない。我々はこれまでに1軸加速度計付き歩数計(スズケン社製Lifecorder)を用いて,消化器外科手術後患者の術後早期における活動量を調査した(第23回日本呼吸ケアリハビリテーション学会学術集会)。しかし1軸加速度計では歩行以外の活動については不明瞭である為,今回3軸式活動量計(オムロン社製Active Style Pro;ASP)を用いて,消化器外科手術後患者の身体活動について詳細に調査した。

【方法】対象は2015年8月~10月に当院外科にて胃切除術を施行された8例(年齢72.8±11.6歳,男性4例,女性4例)とした。手術後2日~7日間ASPを装着させ,歩数,歩行時間,1~1.5METsの生活活動時間(座位活動時間)を調査した。装着時間は原則8:00~20:00とした。また,手術後合併症の重症度をClavien-dindo(C-D)分類にて調査し,手術後在院日数についても調査した。

【結果】手術後活動量は,歩数:770±1225歩,歩行時間:14.4±14.3分,座位活動時間:379.7±101.9分であった。運動強度別では,全例1~3METsまでの運動強度で過ごしており,4METs以上の活動は皆無であった。手術後合併症は1例に膵液漏を認めたが,C-D分類は全例Iであった。平均手術後在院日数は9.75±2.0日であった。

【結論】今回の結果は,多くの時間歩行以外の活動をしている事を示した。さらに,不明瞭な点であった活動の内訳について,座位活動時間は日中の6時間以上を占めている事が明らかとなった。手術後早期の離床において,歩行は高レベルな活動になり実施頻度が低いが,ベッドサイドなどで座位にて過ごす時間は比較的実施しやすいと考えられる。ERASでは,早期離床の項目はベッドから離れる時間を規定しており,歩行の実施については特に規定していない。

本研究における限界として,症例数が少なかった事,手術後合併症の重症度が全例最軽症であった事が挙げられる。今後,症例数を増やし,活動量と手術後合併症の有無や重症度,および手術後在院日数との関連性を明らかにする事で,手術後早期離床における患者への指導における1つの指針や目標となりうるかもしれない。