第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本呼吸理学療法学会 一般演題ポスター
呼吸P09

Sun. May 29, 2016 10:00 AM - 11:00 AM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-RS-09-4] COPDに対する呼吸リハビリテーションの2年間の長期効果

GOLDアセスメント分類AとBCDの効果の違い

白仁田秀一1,2, 平川史央里1,2, 小栁泰亮1,2, 堀江淳2,3, 林真一郎2,4, 渡辺尚1,2 (1.長生堂渡辺医院, 2.NPOはがくれ呼吸ケアネット, 3.京都橘大学, 4.医療法人社団高邦会高木病院)

Keywords:COPD, 呼吸リハ, 長期リハビリテーション

【はじめに,目的】

COPDに対する呼吸リハの長期効果はエビデンスが確立されておらず,効果は1年後より徐々に低下する報告が散文されている。また,呼吸リハ導入期も一定とした根拠は少なく,軽症COPDに対する短期間の呼吸リハは効果量が少ない報告が散文されていることから,The Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)はアセスメント分類A以外のBCDいわゆる呼吸機能の悪化もしくは症状が悪化してからの導入を推奨している。しかし,COPDは進行疾患であり,早期介入が長期経過を良好にすると考えられる。そこで今回,呼吸リハ導入期に早期かつ軽症であるGOLDアセスメントAとそれ以外のBCDに属するCOPDに対し,呼吸リハの2年間の経過から,呼吸リハの長期効果と導入期について検討した。


【方法】

対象は外来COPD38例(A14例/BCD24例)で測定時期は初期,3ヵ月,1年,2年とした。検討項目は呼吸機能検査(努力性肺活量(FVC),1秒量(FEV1)),症状検査(modified Medical Research Council scale(mMRC)),身体機能検査(膝伸展筋力/体重比(%膝伸展筋力)),Incremental Shuttle Walking test(ISWT)),身体活動量検査(国際標準化身体活動質問票(IPAQ)),QOL検査(St. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ))とした。

統計解析方法は,初期と2年後の比較とし,対応のあるサンプルのt検定を用いて分析した。なお,帰無仮説の棄却域は有意水準5%とし,解析にはSPSS ver21.0を用いた。


【結果】

初期→3ヵ月→1年→2年の結果順に記載する。

Aの経過,FVC:2.81±0.69L→未実施→2.72±0.61L→2.63±0.64L(p<0.05),FEV1:1.80±0.51L→未実施→1.77±0.47L→1.68±0.47L,mMRC:1.4±0.7→0.8±0.7→0.9±0.7→0.9±0.7(p<0.01),IPAQ:676.3±601.1→941.2±854.8→945.2±857.5→1164.5±1161.3(p<0.05),ISWT:456.4±188.5m→495.0±202.6m→515.0±202.5m→499.3±210.4m(p<0.01),SGRQ:28.3±15.4→22.2±13.1→24.1±13.4→21.7±11.8(p<0.05)。

BCDの経過,FVC:2.40±0.52L→未実施→2.36±0.38L→2.16±0.45L(p<0.05),FEV1:1.14±0.44L→未実施→1.16±0.44L→1.10±0.43L,mMRC:2.1±0.9→1.8±0.9→1.9±0.9→2.3±1.1,IPAQ:582.2±552.6→669.7±649.5→644.7±669.3→388.7±522.3,ISWT:299.6±122.7m→334.6±140.7m→316.3±137.9m→300.0±138.4m,SGRQ:50.2±17.5→46.3±17.2→46.6±16.9→54.5±16.4。


【考察】

BCDの効果は通説通りに1年後より低下し,2年後には初期と同等の結果を示した。病期進行とは反し,息切れの悪化を予防した。一方,Aの2年間の効果は,初期より改善を示し,病期進行とは反し,身体活動量向上と共に息切れや身体機能などの改善を示した。早期の呼吸リハ導入は長期効果をもたらすことが示唆された。


【理学療法学研究としての意義】

本研究は,COPDの長期効果と導入に関わる検討であり,COPDの長期経過を客観的に示した研究である。本研究結果は呼吸リハの導入や効果に対するアセスメントとなる研究である。