第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本呼吸理学療法学会 一般演題ポスター
呼吸P12

Sun. May 29, 2016 11:10 AM - 12:10 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-RS-12-4] 6分間踏み台昇降の反応性に関する検討

池内智之, 金田瑠美, 進藤崇史, 中澤裕二, 大場健一郎, 津田徹 (恵友会霧ヶ丘つだ病院)

Keywords:COPD, 運動耐容能テスト, 6MST

【はじめに,目的】

我が国の運動耐容能テストには心肺運動負荷試験,6 minute walk test(6MWT),Incremental shuttle walking test(ISWT)などがあるが,高価な機器や30m,10mの歩行スペースが必要なため,これらのテストは在宅など小スペースで実施できないという欠点がある。

そこで,当院は以前から6 minute step test(6MST)の有効性を検討しており,6MWTと比較しても高い妥当性,再現性を報告し,また,10cmの踏み台で,6MWTと6MSTを比較し,運動負荷に差がなかったことも報告している。

本研究の目的は,6MSTの呼吸リハに対する反応性について検討することである。

【方法】

H24年4月~H27年10月の間に,当院にて入院呼吸リハプログラムを実施したCOPD患者31名(年齢:72.1±9.5歳,男/女:26/5名,%FEV1.0:48.6±17.3)を対象に6MWTと6MSTを初期・最終の2回評価を行った。6MWTはAmerican Thoracic Society(ATS)の方法に準じた。測定項目は歩行距離,血圧,脈拍,Sp02,Borg CR-10スケール(呼吸困難感,下肢疲労感)とした。6MSTは10cmの踏み台を使用し,手すりは使用せず,昇段降段を1ステップとしてステップ数を記録した。その他の測定項目と声かけは6MWTと同様に行った。まず,初期評価時に1週間以内で6MWTと6MSTを実施し,呼吸リハビリテーションの介入後,最終評価時に6MWTと6MSTを行った。

統計方法は6MWTと6MSTで得られた評価項目の呼吸リハ前後の変化率をShapiro-Wilk検定にて正規性の検定を行い,その後に対応のあるt検定,もしくはWilcoxonの符号付順位検定にて差の検討を行った。さらに,6MWTの歩行距離と6MSTのステップ数の変化率をPearsonの相関係数にて相関関係を分析した。統計解析はSPSS ver18を使用し,有意水準は5%未満とした。

【結果】

6MWTの歩行距離と6MSTのステップ数(p=.072),血圧(収縮期p=.605,拡張期p=.202),脈拍(p=.391),Sp02(p=.863),Borg CR-10スケール(呼吸困難感p=.163,下肢疲労感p=.840)において変化率に有意差は認めなかった。また,6MWTの歩行距離と6MSTステップ数の変化率(r=.587,p=.001)では有意な相関関係を認めた。

【考察】

これまでにCOPD患者における6MSTの呼吸リハに対する反応性の報告はあるが,20cmの踏み台を使用したことで筋力による影響が強く,運動負荷に違いがあったのではないかということを研究制限としている。それらを考慮し,今回,10cmの踏み台を使用することで6MWTと6MSTでは呼吸リハの前後で各評価項目の変化率に有意差がなかったことから6MSTは呼吸リハに対する反応性を評価できることが確認された。さらに,歩行距離とステップ数に相関関係が認められたことから6MSTは6MWTに代替して使用できる優れた評価法であると考える。

【結論】

運動耐容能評価は身体機能や呼吸リハの効果を把握する重要な評価である。6MSTはこれまでの運動耐容能評価のような専用の機器やスペースを要しないため,幅広く使用されることを期待する。