[P-SK-01-5] 靴が与える短下肢装具への影響
キーワード:短下肢装具, 靴, 歩行のばらつき
【はじめに,目的】短下肢装具(以下AFO)を用いた歩行練習では,AFO側に靴を履くことで脚長差を補うことはできる一方で,振り出しが困難な患者様にとっては靴を履かない方が良い場合もあり双方ともに長所短所がある。本研究の目的は,AFOで直に歩行したときと,靴を履かせたときとの違いを明らかにすることである。
【方法】健常成人男性23名女性4名(26.5±6.9歳)を対象とした。利き足(ボールを蹴る側)を非麻痺側と仮定し靴を履き,対側に装具を装着した。歩行分析計には株式会社LSIメディエンスゲイト君MG-M1110-HWを使用した。歩行分析計を付属のポーチとベルトで仙骨に装着し,助走前後3mの10m快適歩行速度を計測した。利き足は靴を履いたまま,装具側はAFOのみで歩いたときとAFOに靴を履かせたときの歩行を比較した。統計処理としてt検定(対応2サンプル平均値検定)を行い,危険率は5%に設定した。
【結果】2群間の各評価を比較した結果(AFOのみで歩いたとき/AFOに靴を履かせたとき)①AFO側のステップ時間の誤差(±%)4.78±3.09/2.96±1.69(P>0.05)②AFO側の平均ステップ時間(秒)0.55±0.06/0.55±0.05(P< 0.05)③利き足側のステップ時間の誤差(±%)4.09±2.2/3.34±2.47(P< 0.05)④利き足側のステップ時間(秒)0.56±0.05/0.57±0.06(P< 0.05)⑤10m歩行時間(秒)8.36±1.03/8.26±1.18(P< 0.05)⑥速度(m/分)72.67±8.41/74.03±10.26(P< 0.05)⑦平均歩幅(cm)67.3±5.33/68.19±6.25⑧歩行周期(秒)1.08±0.18/1.08±0.19(P< 0.05)であった。結果AFO側のステップ時間の誤差のみで有意差が認められた。
【結論】本研究の結果,AFO側のステップ時間の誤差で有意差が認められ,AFOで直に床面を歩いたときのステップ時間にばらつきが生じることが示唆された。歩行は脳卒中既往者が転倒する頻度が最も高い動作の一つであり,近年転倒の要因として歩行のばらつきが報告されている。冨田らは靴底の接地面積が小さくなると,不安定なため上体や足元がふらつきやすくなると報告している。また,山本らはAFOの装着によりイニシャルコンタクトから荷重応答期の身体重心進行方向速度が増大すると述べている。本研究においてはAFOに靴を履いたことにより,イニシャルコンタクトの衝撃が靴底で吸収され,足部の前方回転がより円滑になったこと。また,補高することで脚長差による衝撃が軽減された結果,身体重心進行速度の増大を抑えることができたと考える。さらに,踵靴底と床面との接地面積が増えたため安定性が増し,全体のバランス制御が働きやすくなったと考える。加えて,足部をバンドだけで固定しているAFOに対し,靴を履いた場合,AFOと足部とを全体的に固定できるためフィット感が増し歩きやすくなったのではないかと考える。AFOの歩行と靴との関連を示したことで,歩行のばらつきを軽減できることが示唆された。
【方法】健常成人男性23名女性4名(26.5±6.9歳)を対象とした。利き足(ボールを蹴る側)を非麻痺側と仮定し靴を履き,対側に装具を装着した。歩行分析計には株式会社LSIメディエンスゲイト君MG-M1110-HWを使用した。歩行分析計を付属のポーチとベルトで仙骨に装着し,助走前後3mの10m快適歩行速度を計測した。利き足は靴を履いたまま,装具側はAFOのみで歩いたときとAFOに靴を履かせたときの歩行を比較した。統計処理としてt検定(対応2サンプル平均値検定)を行い,危険率は5%に設定した。
【結果】2群間の各評価を比較した結果(AFOのみで歩いたとき/AFOに靴を履かせたとき)①AFO側のステップ時間の誤差(±%)4.78±3.09/2.96±1.69(P>0.05)②AFO側の平均ステップ時間(秒)0.55±0.06/0.55±0.05(P
【結論】本研究の結果,AFO側のステップ時間の誤差で有意差が認められ,AFOで直に床面を歩いたときのステップ時間にばらつきが生じることが示唆された。歩行は脳卒中既往者が転倒する頻度が最も高い動作の一つであり,近年転倒の要因として歩行のばらつきが報告されている。冨田らは靴底の接地面積が小さくなると,不安定なため上体や足元がふらつきやすくなると報告している。また,山本らはAFOの装着によりイニシャルコンタクトから荷重応答期の身体重心進行方向速度が増大すると述べている。本研究においてはAFOに靴を履いたことにより,イニシャルコンタクトの衝撃が靴底で吸収され,足部の前方回転がより円滑になったこと。また,補高することで脚長差による衝撃が軽減された結果,身体重心進行速度の増大を抑えることができたと考える。さらに,踵靴底と床面との接地面積が増えたため安定性が増し,全体のバランス制御が働きやすくなったと考える。加えて,足部をバンドだけで固定しているAFOに対し,靴を履いた場合,AFOと足部とを全体的に固定できるためフィット感が増し歩きやすくなったのではないかと考える。AFOの歩行と靴との関連を示したことで,歩行のばらつきを軽減できることが示唆された。