[P-SK-06-5] データベースソフトMicrosoft Accessを用いた生活環境評価システムの試作と紹介
Keywords:生活環境調査, 視覚化, 減災
【はじめに】
理学療法士が関わるリハビリテーション対象者について,立地環境や買い物,通院等に関する生活利便性,外出・社会文化活動など居住所を中心とする生活圏内の活動について収集,集約蓄積することは,個別の生活行為や活動支援につながり,また周辺地域との連携に有益といえる。昨今,居住環境や身体活動を生活活動として客観的に捉える評価ツールとしてHACEやIPAQ-Eが注目されている。しかしながらいずれも,住環境や具体的生活活動を個別に評価し,結果を本人や第三者に判りやすく視覚的に提示するという点で不十分である。今回,「見える化」を意識した立地環境,外出活動,社会文化活動,生活利便性の4項目に災害リスクを加えた5項目からなる生活環境評価システム(生活環境カルテデータベースシステム)を試作したので紹介する。
【方法】
本システムでは現時点で沖縄県内利用を限定対象とした。システム構成は,個人情報を取り扱うことから,データベースソフトAccess2007を基本プラットフォームとし,スタンドアローンで稼働させ,Google Maps,オープンGISソフト「QGIS」を外装とした。評価項目は①立地環境,②外出活動,③社会文化活動,④生活利便性に,⑤災害リスクを加えた5項目とした。災害リスクを加えた背景には筆者が以前から提案する災害時要援護者支援としての「減災」むけた情報提供の意図がある。立地環境では,立地場所や地形といった立地バリアと道路環境や交通量などの環境バリアについて10項目を,外出活動では,理由,頻度,方法,時間帯,付き添いの有無,社会文化活動では社会活動,生活活動,興味ある活動を評価項目とした。また,生活利便性については居住所と医療機関やスーパー,役所など主要13地点までの距離を評価対象とした。災害リスクには,GIS(Geographic Information System)を用い独自に作成した災害リスクMAPを利用。地震災害,水害・土砂災害,住環境災害,災害対策の4つを下位項目とした。なお,MAP作成には国が提供するオープンデータを利用した。
【結果】
立地環境や災害リスクついては,選択肢を「有」,「無」など簡素化,結果を図化表示することで現状評価と情報提供の一元化が可能となった。一方,活動や利便性については,選択項目を増やし,集計とグラフ化による具体的な生活実態が視覚的に捉えられ,課題を速やかに把握することが可能となった。また,災害リスクに関する項目を追加,スコア化することで,居住地域の特性による災害リスクを事前に双方が把握でき,減災につながる避難支援に結びつけることが可能となった。
【結論】
我々理学療法士は「地域環境」を科学の対象としないまま,地域リハビリテーション推進を標榜してきた。本システムを活用することで対象者ひとり一人の地域環境に根ざした生活活動が明らかとなり,具体的理学療法支援や災害時要援護者に対する減災支援が図れるものと推察される。
理学療法士が関わるリハビリテーション対象者について,立地環境や買い物,通院等に関する生活利便性,外出・社会文化活動など居住所を中心とする生活圏内の活動について収集,集約蓄積することは,個別の生活行為や活動支援につながり,また周辺地域との連携に有益といえる。昨今,居住環境や身体活動を生活活動として客観的に捉える評価ツールとしてHACEやIPAQ-Eが注目されている。しかしながらいずれも,住環境や具体的生活活動を個別に評価し,結果を本人や第三者に判りやすく視覚的に提示するという点で不十分である。今回,「見える化」を意識した立地環境,外出活動,社会文化活動,生活利便性の4項目に災害リスクを加えた5項目からなる生活環境評価システム(生活環境カルテデータベースシステム)を試作したので紹介する。
【方法】
本システムでは現時点で沖縄県内利用を限定対象とした。システム構成は,個人情報を取り扱うことから,データベースソフトAccess2007を基本プラットフォームとし,スタンドアローンで稼働させ,Google Maps,オープンGISソフト「QGIS」を外装とした。評価項目は①立地環境,②外出活動,③社会文化活動,④生活利便性に,⑤災害リスクを加えた5項目とした。災害リスクを加えた背景には筆者が以前から提案する災害時要援護者支援としての「減災」むけた情報提供の意図がある。立地環境では,立地場所や地形といった立地バリアと道路環境や交通量などの環境バリアについて10項目を,外出活動では,理由,頻度,方法,時間帯,付き添いの有無,社会文化活動では社会活動,生活活動,興味ある活動を評価項目とした。また,生活利便性については居住所と医療機関やスーパー,役所など主要13地点までの距離を評価対象とした。災害リスクには,GIS(Geographic Information System)を用い独自に作成した災害リスクMAPを利用。地震災害,水害・土砂災害,住環境災害,災害対策の4つを下位項目とした。なお,MAP作成には国が提供するオープンデータを利用した。
【結果】
立地環境や災害リスクついては,選択肢を「有」,「無」など簡素化,結果を図化表示することで現状評価と情報提供の一元化が可能となった。一方,活動や利便性については,選択項目を増やし,集計とグラフ化による具体的な生活実態が視覚的に捉えられ,課題を速やかに把握することが可能となった。また,災害リスクに関する項目を追加,スコア化することで,居住地域の特性による災害リスクを事前に双方が把握でき,減災につながる避難支援に結びつけることが可能となった。
【結論】
我々理学療法士は「地域環境」を科学の対象としないまま,地域リハビリテーション推進を標榜してきた。本システムを活用することで対象者ひとり一人の地域環境に根ざした生活活動が明らかとなり,具体的理学療法支援や災害時要援護者に対する減災支援が図れるものと推察される。