[P-SP-01-1] 回転盤上での下肢内旋動作における膝屈曲角度の違いが股関節・膝関節・足関節の回旋可動範囲に及ぼす影響
キーワード:下肢回旋運動, 三次元動作解析, 膝関節
【目的】
下肢のスポーツ外傷は,方向転換動作やジャンプ着地動作などにおいて関節の回旋運動を伴って発生することが多い。下肢全体の回旋運動は,股関節・膝関節・足関節の個々の回旋運動と関連する。しかし,各関節個々の可動範囲が下肢全体の回旋運動にどの程度貢献しているかは明確でない。そこで,膝屈曲角度の違いが荷重位での下肢全体の内旋運動における股関節・膝関節・足関節の可動範囲に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,20名の健常者(男性7名,女性13名:平均年齢25.4±5.9歳)とした。
床面に置かれた水平回転盤上に右足底面を接地し,右下肢全体の内旋運動(TIR)を行った。課題条件は立位(ST),膝屈曲30度のハーフスクワット肢位(HS30),膝屈曲60度のハーフスクワット肢位(HS60),座位(Sit)の4条件とした。被験者の身体の67か所に反射マーカーを貼付し,Motion analysis社製三次元動作解析装置を用いて計測した。
解析には,nMotion5.12(株式会社ナック)を用いて,骨盤・大腿・下腿・足部の各セグメント間の関節角度を求めた。同時に水平回転盤の回転角度(TIR角度)を読み取った。各条件におけるそれぞれのTIR角度変化に対する股関節内旋・内転,膝関節内旋,足関節内転・回外の各角度変化の比率を算出した{(各関節角度変化/各条件でのTIR角度変化)×100(%)}。統計学的分析には一元配置分散分析を用い,各関節の角度変化を条件間で比較した。多重比較にはTukey-KramerのHSD検定を行い,有意水準は5%とした。
【結果】
各条件下でのTIR角度変化に対する各関節の角度変化の比率は,膝関節内旋(ST:32%,HS30:33%,HS60:31%,Sit:31%)を除いて課題条件によって有意に変化した。股関節内旋(ST:26%,HS30:29%,HS60:33%,Sit:41%)では,Sitの割合が他の3つの条件に対して有意に大きく,ついでHS60の割合が大きかった。
股関節内転(ST:7%,HS30:10%,HS60:20%,Sit:31%)も同様に,Sit,HS60,HS30,STの順で有意に大きな割合を示した(ただし,STとHS30には有意差無し)。足部内転(ST:26%,HS30:32%,HS60:35%,Sit:40%)では,SitとHS30およびSTとの間,HS30とSTとの間で有意差があった。足部回外(ST:5%,HS30:11%,HS60:14%,Sit:17%)は,すべての条件間で有意差があった。
【結論】
下肢の内旋運動時の膝関節内旋可動範囲は,膝関節屈曲角度の影響を受けない。また,下肢内旋運動は膝屈曲角度条件によって股関節内旋・内転および足関節内転・回外の可動範囲に大きく影響する。
下肢のスポーツ外傷は,方向転換動作やジャンプ着地動作などにおいて関節の回旋運動を伴って発生することが多い。下肢全体の回旋運動は,股関節・膝関節・足関節の個々の回旋運動と関連する。しかし,各関節個々の可動範囲が下肢全体の回旋運動にどの程度貢献しているかは明確でない。そこで,膝屈曲角度の違いが荷重位での下肢全体の内旋運動における股関節・膝関節・足関節の可動範囲に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,20名の健常者(男性7名,女性13名:平均年齢25.4±5.9歳)とした。
床面に置かれた水平回転盤上に右足底面を接地し,右下肢全体の内旋運動(TIR)を行った。課題条件は立位(ST),膝屈曲30度のハーフスクワット肢位(HS30),膝屈曲60度のハーフスクワット肢位(HS60),座位(Sit)の4条件とした。被験者の身体の67か所に反射マーカーを貼付し,Motion analysis社製三次元動作解析装置を用いて計測した。
解析には,nMotion5.12(株式会社ナック)を用いて,骨盤・大腿・下腿・足部の各セグメント間の関節角度を求めた。同時に水平回転盤の回転角度(TIR角度)を読み取った。各条件におけるそれぞれのTIR角度変化に対する股関節内旋・内転,膝関節内旋,足関節内転・回外の各角度変化の比率を算出した{(各関節角度変化/各条件でのTIR角度変化)×100(%)}。統計学的分析には一元配置分散分析を用い,各関節の角度変化を条件間で比較した。多重比較にはTukey-KramerのHSD検定を行い,有意水準は5%とした。
【結果】
各条件下でのTIR角度変化に対する各関節の角度変化の比率は,膝関節内旋(ST:32%,HS30:33%,HS60:31%,Sit:31%)を除いて課題条件によって有意に変化した。股関節内旋(ST:26%,HS30:29%,HS60:33%,Sit:41%)では,Sitの割合が他の3つの条件に対して有意に大きく,ついでHS60の割合が大きかった。
股関節内転(ST:7%,HS30:10%,HS60:20%,Sit:31%)も同様に,Sit,HS60,HS30,STの順で有意に大きな割合を示した(ただし,STとHS30には有意差無し)。足部内転(ST:26%,HS30:32%,HS60:35%,Sit:40%)では,SitとHS30およびSTとの間,HS30とSTとの間で有意差があった。足部回外(ST:5%,HS30:11%,HS60:14%,Sit:17%)は,すべての条件間で有意差があった。
【結論】
下肢の内旋運動時の膝関節内旋可動範囲は,膝関節屈曲角度の影響を受けない。また,下肢内旋運動は膝屈曲角度条件によって股関節内旋・内転および足関節内転・回外の可動範囲に大きく影響する。