[P-SP-01-2] 両脚と片脚の動作課題における膝外反モーメントの違い
Drop vertical jump,片脚着地,外方・内方ホップの比較
キーワード:前十字靱帯損傷, 片脚ホップ, 三次元動作解析
【はじめに】
膝前十字靱帯(ACL)損傷はスポーツ活動において発生率の高い外傷のひとつである。バスケットボールやハンドボール,ラグビーなどのスポーツ活動における非接触型ACL損傷は着地動作やカッティング動作で多く受傷する。
非接触型ACL損傷の受傷機転について,膝外反位で受傷していることが報告された。また,Drop vertical jump(DVJ)にて膝外反モーメントが大きかった者にACL損傷が発生し,DVJ中の膝外反モーメントと膝外反角度に関連があることが報告された。これらの研究から,スポーツ活動中の膝外反はACL損傷のリスクと考えられ,臨床では膝外反角度の増大をACL損傷のリスクとして捉え動作分析や動作指導を行っている。
DVJや片脚着地動作など様々な動作において膝外反角度の評価が行われているが,運動中に生じる膝外反モーメントは明らかになっていない。
【目的】
臨床で評価する機会の多いDVJ,片脚着地,片脚ホップで生じる膝外反モーメントの大きさについて検討すること。
【方法】
対象はラグビー選手21名42脚(年齢20.9±2.8歳,身長171.6±4.0cm,体重75.4±7.1kg)とした。
動作課題としてDVJ,片脚着地,内方向と外方向への片脚ホップを設定した。片脚ホップは片脚立位から各方向に向けて75cmの距離をジャンプし同側片脚で着地後,静止するよう指示した。
動作解析は3次元動作解析装置を用い200Hzにて計測し,1000Hzで計測した床反力計を同期させた。足部接地から500msまでの膝外反角度,膝外反モーメントを算出し,最大値を結果として用いた。算出したモーメントは体重で除し,標準化した。
膝外反角度の平均値の差について一元配置分散分析,平均値の差の比較についてBonferroniの方法による多重比較を行った。膝外反モーメントの平均値の差についてKruskal Wallisの検定,平均値の差の比較についてWilcoxonの順位和検定を用いた多重比較を行った。
【結果】
膝外反角度はDVJ21.4±8.6度,片脚着地17.0±6.4度,内方ホップ18.8±6.7度,外方ホップ16.8度±5.7度であった。DVJの膝外反角度は片脚着地,外方ホップに比べ有意に大きかった(p<0.05)。片脚着地と内方ホップ,内方ホップと外方ホップの間にも有意差が認められた(p<0.05)。膝外反モーメントはDVJ0.57±0.26Nm/kg,片脚着地-0.03±0.24Nm/kg,内方ホップ-0.17±0.24Nm/kg,外方ホップ0.48±0.36Nm/kgであった。膝外反モーメントについて,DVJは片脚着地,内方ホップに比べ有意に大きく(p<0.05),外方ホップは片脚着地,内方ホップに比べ有意に大きかった(p<0.05)。
【結論】
臨床では動作中に生じる膝外反モーメントに対して過度な膝外反角度の増大が起きないかを評価している。片脚着地と内方ホップは膝外反モーメントが発生し難い動作課題であると考えられる。動作を評価する際には膝外反角度だけでなく膝外反モーメントについても考慮する必要がある。
膝前十字靱帯(ACL)損傷はスポーツ活動において発生率の高い外傷のひとつである。バスケットボールやハンドボール,ラグビーなどのスポーツ活動における非接触型ACL損傷は着地動作やカッティング動作で多く受傷する。
非接触型ACL損傷の受傷機転について,膝外反位で受傷していることが報告された。また,Drop vertical jump(DVJ)にて膝外反モーメントが大きかった者にACL損傷が発生し,DVJ中の膝外反モーメントと膝外反角度に関連があることが報告された。これらの研究から,スポーツ活動中の膝外反はACL損傷のリスクと考えられ,臨床では膝外反角度の増大をACL損傷のリスクとして捉え動作分析や動作指導を行っている。
DVJや片脚着地動作など様々な動作において膝外反角度の評価が行われているが,運動中に生じる膝外反モーメントは明らかになっていない。
【目的】
臨床で評価する機会の多いDVJ,片脚着地,片脚ホップで生じる膝外反モーメントの大きさについて検討すること。
【方法】
対象はラグビー選手21名42脚(年齢20.9±2.8歳,身長171.6±4.0cm,体重75.4±7.1kg)とした。
動作課題としてDVJ,片脚着地,内方向と外方向への片脚ホップを設定した。片脚ホップは片脚立位から各方向に向けて75cmの距離をジャンプし同側片脚で着地後,静止するよう指示した。
動作解析は3次元動作解析装置を用い200Hzにて計測し,1000Hzで計測した床反力計を同期させた。足部接地から500msまでの膝外反角度,膝外反モーメントを算出し,最大値を結果として用いた。算出したモーメントは体重で除し,標準化した。
膝外反角度の平均値の差について一元配置分散分析,平均値の差の比較についてBonferroniの方法による多重比較を行った。膝外反モーメントの平均値の差についてKruskal Wallisの検定,平均値の差の比較についてWilcoxonの順位和検定を用いた多重比較を行った。
【結果】
膝外反角度はDVJ21.4±8.6度,片脚着地17.0±6.4度,内方ホップ18.8±6.7度,外方ホップ16.8度±5.7度であった。DVJの膝外反角度は片脚着地,外方ホップに比べ有意に大きかった(p<0.05)。片脚着地と内方ホップ,内方ホップと外方ホップの間にも有意差が認められた(p<0.05)。膝外反モーメントはDVJ0.57±0.26Nm/kg,片脚着地-0.03±0.24Nm/kg,内方ホップ-0.17±0.24Nm/kg,外方ホップ0.48±0.36Nm/kgであった。膝外反モーメントについて,DVJは片脚着地,内方ホップに比べ有意に大きく(p<0.05),外方ホップは片脚着地,内方ホップに比べ有意に大きかった(p<0.05)。
【結論】
臨床では動作中に生じる膝外反モーメントに対して過度な膝外反角度の増大が起きないかを評価している。片脚着地と内方ホップは膝外反モーメントが発生し難い動作課題であると考えられる。動作を評価する際には膝外反角度だけでなく膝外反モーメントについても考慮する必要がある。