[P-SP-02-4] 高校女子バレーボール選手におけるPIA pedaling testと各種パフォーマンステストとの関係
Keywords:PIA pedaling test, 敏捷性, 最大無酸素パワー
【はじめに,目的】
自転車エルゴメーターを用いた体力テストの報告は散見されるが,競技特性と負荷別のパワー発揮能力を検討した報告は少ない。そこで今回,吉田らが報告した動作の特異性を予測することが可能なPrediction of Instantaneous power and Agility performances used by pedaling test(PIA pedaling test)を実施し,バレーボール選手における負荷別のパワー発揮能力と各種敏捷性,瞬発力評価を行い,その関係性について比較検討した。
【方法】
対象は全国大会出場レベルの高校女子バレーボール部23名(年齢16.6±0.9歳,身長163.0±7.0cm,体重57.7±7.1kg)とした。PIA pedaling testの評価はcombi社製Power MaxVIIを使用し,十分なウォーミングアップを行った後に体重の2.5%,5%,10%の各負荷でそれぞれ10秒間の全力ペダリングを2分間の休息を挟んで実施し,最大無酸素パワー(MAnP)を求めた。2.5%負荷におけるピーク回転数(High Frequency:HF),MAnPにおける体重あたりの仕事量(High Power:HP)を評価項目として用いた。敏捷性の評価項目は,プロアジリティーテスト,T-テスト,反復横跳びとし,瞬発力の評価項目は9mシャトルラン,各種ジャンプ動作で評価し垂直跳び(VJ),ランニングジャンプ(RJ),ブロックジャンプ(BJ)とした。統計処理には回帰分析を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
HFと敏捷性評価項目のプロアジリティーテスト(r=0.64 P<0.001),T-テスト(r=0.50 P<0.05)で有意な正の相関を認めたが,反復横跳び(r=0.38)は有意な相関を認めなかった。HPと瞬発力の評価項目は9mシャトルラン(r=0.65 P<0.001),VJ(r=0.67 P<0.001),RJ(r=0.60 P<0.01),BJ(r=0.64 P<0.001)と有意な正の相関を認めた。
【結論】
吉田らはPIA pedaling testのHFは股関節屈筋筋力を中心とした脚屈曲筋力を主動作筋とし,実際の動作におけるアジリティーとの相関を,HPは股関節伸展筋力を中心とした脚伸展筋力を主動作筋とし,実際の動作における垂直跳びとの相関を報告した。今回の敏捷性評価項目はHFと高い正の相関を認めた。したがって,PIA pedaling testにおけるHFは,動作の切り返しや各種ステップ動作の敏捷性を反映する有効な手段と成り得る可能性が示唆された。しかし,同じ敏捷性評価項目である反復横跳びに有意な相関を認めなかったのは,股関節外転運動を使った側方への動きとなり,HFの主動作とは異なるためと思われる。また,瞬発力の評価項目の9mシャトルラン,各種ジャンプ動作はHPと高い正の相関を認め,吉田らの報告と同様の結果となった。吉田らはHPとVJとの関係性について述べているが,今回の結果からPIA pedaling testはVJに加え,バレーボールの競技特性であるRJやBJなどのパフォーマンスの特異性を反映することが示唆された。
自転車エルゴメーターを用いた体力テストの報告は散見されるが,競技特性と負荷別のパワー発揮能力を検討した報告は少ない。そこで今回,吉田らが報告した動作の特異性を予測することが可能なPrediction of Instantaneous power and Agility performances used by pedaling test(PIA pedaling test)を実施し,バレーボール選手における負荷別のパワー発揮能力と各種敏捷性,瞬発力評価を行い,その関係性について比較検討した。
【方法】
対象は全国大会出場レベルの高校女子バレーボール部23名(年齢16.6±0.9歳,身長163.0±7.0cm,体重57.7±7.1kg)とした。PIA pedaling testの評価はcombi社製Power MaxVIIを使用し,十分なウォーミングアップを行った後に体重の2.5%,5%,10%の各負荷でそれぞれ10秒間の全力ペダリングを2分間の休息を挟んで実施し,最大無酸素パワー(MAnP)を求めた。2.5%負荷におけるピーク回転数(High Frequency:HF),MAnPにおける体重あたりの仕事量(High Power:HP)を評価項目として用いた。敏捷性の評価項目は,プロアジリティーテスト,T-テスト,反復横跳びとし,瞬発力の評価項目は9mシャトルラン,各種ジャンプ動作で評価し垂直跳び(VJ),ランニングジャンプ(RJ),ブロックジャンプ(BJ)とした。統計処理には回帰分析を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
HFと敏捷性評価項目のプロアジリティーテスト(r=0.64 P<0.001),T-テスト(r=0.50 P<0.05)で有意な正の相関を認めたが,反復横跳び(r=0.38)は有意な相関を認めなかった。HPと瞬発力の評価項目は9mシャトルラン(r=0.65 P<0.001),VJ(r=0.67 P<0.001),RJ(r=0.60 P<0.01),BJ(r=0.64 P<0.001)と有意な正の相関を認めた。
【結論】
吉田らはPIA pedaling testのHFは股関節屈筋筋力を中心とした脚屈曲筋力を主動作筋とし,実際の動作におけるアジリティーとの相関を,HPは股関節伸展筋力を中心とした脚伸展筋力を主動作筋とし,実際の動作における垂直跳びとの相関を報告した。今回の敏捷性評価項目はHFと高い正の相関を認めた。したがって,PIA pedaling testにおけるHFは,動作の切り返しや各種ステップ動作の敏捷性を反映する有効な手段と成り得る可能性が示唆された。しかし,同じ敏捷性評価項目である反復横跳びに有意な相関を認めなかったのは,股関節外転運動を使った側方への動きとなり,HFの主動作とは異なるためと思われる。また,瞬発力の評価項目の9mシャトルラン,各種ジャンプ動作はHPと高い正の相関を認め,吉田らの報告と同様の結果となった。吉田らはHPとVJとの関係性について述べているが,今回の結果からPIA pedaling testはVJに加え,バレーボールの競技特性であるRJやBJなどのパフォーマンスの特異性を反映することが示唆された。