[P-SP-02-6] 群馬県高校野球メディカルサポートにおける投球時痛の有無とその関連因子の検討
Keywords:投球障害, 投球数, ロジスティック回帰分析
【はじめに,目的】
群馬県において高校野球選手のスポーツ傷害予防を目的に,全国高等学校野球選手権群馬県大会(以下:夏季大会)をはじめとして,春季関東地区高等学校野球大会群馬県予選,秋季関東地区高等学校野球大会群馬県予選において理学療法士によるメディカルサポートを実施している。主なサポート内容として試合後の投手クーリングダウンが挙げられ1~3回戦は希望制,4回戦以降は原則各チーム1名ずつ実施している。その際に疼痛を有する選手も多くみられ,投球障害の惹起やパフォーマンスの低下に影響すると考える。今回,投手クーリングダウン時の投手チェックシートから投球時痛を有する選手の特徴に関しての傾向と所見を得られたので報告する。
【方法】
調査期間は2013~2015年度までに開催された夏季大会の3大会とした。投手クーリンダウンを実施した延べ203名のうち,投手チェックシートの記載漏れのあるものを除外した延べ162名を対象とした。投手チェックシートから基本情報,投球数,自覚的疲労度,上肢の既往歴,投球時痛,肩・肘の圧痛および他動時痛,上・下肢タイトネステスト(Combined Abduction Test:CAT,Horizontal Flexion Test:HFT,Straight Leg Raising:SLR,Heel Buttock Distance:HBD,股関節内旋角度)等,19項目について調査・検討した。また,投球時痛に関連する因子について,従属変数を投球時痛の有無,独立変数をチェック項目のうち19項目として二項ロジスティック回帰分析にて検討した。なお,統計学的処理はSPSS 21.0 for windowsを使用した。
【結果】
調査対象とした全投手162名の平均投球数は81.7±42.2球であった。投球時痛を有する者は31名(19%)であった。その詳細部位は肩5名(16%),肘19名(61%),腰部など7名(23%)であった。投球時痛と有意に関連があった項目は投球数(オッズ比:1.01),HFT(オッズ比:2.43)の2項目であった。
【結論】
全投手の約20%がクーリングダウン時に投球時痛を有していた。投球時痛との関連因子とされたHFTは肩後方組織のタイトネスの指標とされており,肩関節周囲のクーリングダウンの重要性を示唆しているものと考える。また,投球数にも有意に関連が認められ,個別性に配慮した対応が求められると考える。今後に向けて高校野球メディカルサポートの現場における投球時痛の有訴状況を理解することでメディカルサポートへの課題の見直し,今後の指針として活用していく。
群馬県において高校野球選手のスポーツ傷害予防を目的に,全国高等学校野球選手権群馬県大会(以下:夏季大会)をはじめとして,春季関東地区高等学校野球大会群馬県予選,秋季関東地区高等学校野球大会群馬県予選において理学療法士によるメディカルサポートを実施している。主なサポート内容として試合後の投手クーリングダウンが挙げられ1~3回戦は希望制,4回戦以降は原則各チーム1名ずつ実施している。その際に疼痛を有する選手も多くみられ,投球障害の惹起やパフォーマンスの低下に影響すると考える。今回,投手クーリングダウン時の投手チェックシートから投球時痛を有する選手の特徴に関しての傾向と所見を得られたので報告する。
【方法】
調査期間は2013~2015年度までに開催された夏季大会の3大会とした。投手クーリンダウンを実施した延べ203名のうち,投手チェックシートの記載漏れのあるものを除外した延べ162名を対象とした。投手チェックシートから基本情報,投球数,自覚的疲労度,上肢の既往歴,投球時痛,肩・肘の圧痛および他動時痛,上・下肢タイトネステスト(Combined Abduction Test:CAT,Horizontal Flexion Test:HFT,Straight Leg Raising:SLR,Heel Buttock Distance:HBD,股関節内旋角度)等,19項目について調査・検討した。また,投球時痛に関連する因子について,従属変数を投球時痛の有無,独立変数をチェック項目のうち19項目として二項ロジスティック回帰分析にて検討した。なお,統計学的処理はSPSS 21.0 for windowsを使用した。
【結果】
調査対象とした全投手162名の平均投球数は81.7±42.2球であった。投球時痛を有する者は31名(19%)であった。その詳細部位は肩5名(16%),肘19名(61%),腰部など7名(23%)であった。投球時痛と有意に関連があった項目は投球数(オッズ比:1.01),HFT(オッズ比:2.43)の2項目であった。
【結論】
全投手の約20%がクーリングダウン時に投球時痛を有していた。投球時痛との関連因子とされたHFTは肩後方組織のタイトネスの指標とされており,肩関節周囲のクーリングダウンの重要性を示唆しているものと考える。また,投球数にも有意に関連が認められ,個別性に配慮した対応が求められると考える。今後に向けて高校野球メディカルサポートの現場における投球時痛の有訴状況を理解することでメディカルサポートへの課題の見直し,今後の指針として活用していく。