[P-SP-04-4] 大学生バドミントン選手における敏捷性と下肢筋力の関連の調査
Keywords:バドミントン, 敏捷性, 下肢筋力
【はじめに,目的】
バドミントンは競技特性上,切り返し動作など高い敏捷性が必要なスポーツである。敏捷性とは,身体の移動や方向転換をすばやく行なう能力であり,代表的な敏捷性の指標として反復横跳びが挙げられる。男子バドミントン選手において,競技成績と反復横跳びの回数との相関があることは報告されているが,敏捷性と筋力との関連性を示す報告はない。敏捷性と関連する筋力を明らかにすることで,選手のパフォーマンス向上の一助となることが考えられる。そこで,本研究の目的は,下肢筋力に着目し,バドミントン選手の敏捷性と筋力との関連性を検討することとした。
【方法】
本研究はバドミントン部に所属する男子大学生23名(20.2±1.0歳)を対象に下肢各種筋力測定及び反復横跳びを実施し,その結果を解析した横断研究である。反復横跳びの測定は文部科学省の新体力テスト要項に従って20秒間の計測を2回実施し,最大回数を用いた。筋力測定項目は股関節屈曲・伸展,膝関節屈曲・伸展,足関節底屈・背屈の最大等尺性収縮力である。Biodex System4(BIODEX社製)を用いて背臥位股関節90°屈曲位での股関節屈曲・伸展筋力,椅子座位足関節底背屈中間位,膝関節伸展位で足関節底屈・背屈筋力を測定した。さらに,isoforceGT-330(オージー技研社製)を用いて座位膝関節60°屈曲位で膝関節屈曲・伸展筋力を測定した。そして,各筋力の左右の最大トルクの平均を算出し,下肢各種筋力の指標とした。また,基本情報として身長,体重,通算練習量の一指標として競技経験年数を聴取した。統計解析は,まず相関分析により競技経験年数と反復横跳びの回数との相関を検討した。次に,偏相関分析を用いて,競技経験年数を制御因子として投入し,反復横跳びの回数と下肢各種筋力の平均との相関を検討した。統計学的有意確率は5%未満とした。
【結果】
対象者23名の反復横跳びの成績は60.3±5.7回であった。相関分析の結果,競技経験年数と反復横跳びの回数との間に有意な相関を認めた(r=0.62,p<0.01)。また,競技経験年数を制御因子として投入した偏相関分析の結果,反復横跳びの回数と股関節伸展筋力(r=0.60,p<0.01),足関節底屈(r=0.70,p<0.01)との間に有意な相関が認められた。
【結論】
本研究の結果,バドミントン選手において,競技経験年数が長いほど敏捷性が高いという結果が示された。また通常練習量に関わらず,敏捷性が高い人は股関節伸展筋力,足関節底屈筋力が強いということが明らかになった。今後は筋電図などを用いて,反復横跳びにおける股関節伸展筋,足関節底屈筋の活動を詳細に検証するとともに,より競技動作に近い形での敏捷性に関連する因子を検証し,選手のパフォーマンス向上に還元する必要があると考える。
バドミントンは競技特性上,切り返し動作など高い敏捷性が必要なスポーツである。敏捷性とは,身体の移動や方向転換をすばやく行なう能力であり,代表的な敏捷性の指標として反復横跳びが挙げられる。男子バドミントン選手において,競技成績と反復横跳びの回数との相関があることは報告されているが,敏捷性と筋力との関連性を示す報告はない。敏捷性と関連する筋力を明らかにすることで,選手のパフォーマンス向上の一助となることが考えられる。そこで,本研究の目的は,下肢筋力に着目し,バドミントン選手の敏捷性と筋力との関連性を検討することとした。
【方法】
本研究はバドミントン部に所属する男子大学生23名(20.2±1.0歳)を対象に下肢各種筋力測定及び反復横跳びを実施し,その結果を解析した横断研究である。反復横跳びの測定は文部科学省の新体力テスト要項に従って20秒間の計測を2回実施し,最大回数を用いた。筋力測定項目は股関節屈曲・伸展,膝関節屈曲・伸展,足関節底屈・背屈の最大等尺性収縮力である。Biodex System4(BIODEX社製)を用いて背臥位股関節90°屈曲位での股関節屈曲・伸展筋力,椅子座位足関節底背屈中間位,膝関節伸展位で足関節底屈・背屈筋力を測定した。さらに,isoforceGT-330(オージー技研社製)を用いて座位膝関節60°屈曲位で膝関節屈曲・伸展筋力を測定した。そして,各筋力の左右の最大トルクの平均を算出し,下肢各種筋力の指標とした。また,基本情報として身長,体重,通算練習量の一指標として競技経験年数を聴取した。統計解析は,まず相関分析により競技経験年数と反復横跳びの回数との相関を検討した。次に,偏相関分析を用いて,競技経験年数を制御因子として投入し,反復横跳びの回数と下肢各種筋力の平均との相関を検討した。統計学的有意確率は5%未満とした。
【結果】
対象者23名の反復横跳びの成績は60.3±5.7回であった。相関分析の結果,競技経験年数と反復横跳びの回数との間に有意な相関を認めた(r=0.62,p<0.01)。また,競技経験年数を制御因子として投入した偏相関分析の結果,反復横跳びの回数と股関節伸展筋力(r=0.60,p<0.01),足関節底屈(r=0.70,p<0.01)との間に有意な相関が認められた。
【結論】
本研究の結果,バドミントン選手において,競技経験年数が長いほど敏捷性が高いという結果が示された。また通常練習量に関わらず,敏捷性が高い人は股関節伸展筋力,足関節底屈筋力が強いということが明らかになった。今後は筋電図などを用いて,反復横跳びにおける股関節伸展筋,足関節底屈筋の活動を詳細に検証するとともに,より競技動作に近い形での敏捷性に関連する因子を検証し,選手のパフォーマンス向上に還元する必要があると考える。