[P-SP-07-2] シャトルランの距離の変化とPIA pedaling testのアジリティ評価の特徴
―高校サッカー選手での検討―
Keywords:シャトルラン, アジリティ, 自転車エルゴメーター
【はじめに,目的】
アジリティは敏捷性と訳されることが多く「身体の位置変換や方向転換をすばやく行なったりする能力」とされる(ブリタニカ国際大百科事典,2014)。しかしながら,実際の競技場面はステップやターンなどの方向転換動作の前の減速動作や加速動作など多くの体力要素が含まれた動作と考えられる。このことから,スポーツ現場のアジリティは「外界の物理的刺激に反応して,合目的的に適切で迅速な減速,停止,方向転換,加速を実行する能力」(広瀬,2014)として捉えられている。したがって,実際のフィールドで行うアジリティテストは減速,停止,方向転換,加速といった様々な要素で構成されるTテストや20mシャトルラン,step50などで行われる。一方,我々は自転車エルゴメーターの負荷別パワー発揮能力から瞬発力とアジリティ能力を予測するテストとしてPIA pedaling test(PIA-t)を考案し,その有用性を報告してきた。しかしながら,PIA-tの評価と実際のフィールドで行われるアジリティテストとの関係は不明瞭である。今回我々は,シャトルランの距離を変化させることでPIA-tにおけるアジリティ能力の評価の特徴を把握することを目的とした。
【方法】
対象は高校男子サッカー部18名(年齢16.7±0.5歳,身長170.5±6.5cm,体重61.4±7.7kg)とした。PIA-tの測定はCombi社製PowerMaxVIIを使用し体重の5,7.5,12.5%の各負荷で10秒間の全力ペダリングを実施し,最大無酸素パワー(MAnP)を求めた。その際,MAnPにおける体重あたりの仕事量をHP,5%負荷におけるピーク回転数をHFとした。シャトルランは2.5m×5,5m×5,10m×5へと距離を変化させた。測定時間の算出は動画を使用した。
【結果】
PIA-tのHPは14.1±1.1watts/kg,HFは187.2±7.5rpmであった。シャトルランの測定時間は2.5m×5,5m×5,10m×5が4.32±0.22秒,7.27±0.17秒,12.14±0.22秒であった。シャトルランとHFは2.5m×5,5m×5にr=-0.72(p<0.01),r=-0.47(p<0.05)と有意な負の相関を認め,HPは5m×5,10m×5にr=-0.50(p<0.05),r=-0.52(p<0.05)と有意な負の相関を認めた。
シャトルランの距離を短くすることで長い時と比べて加速,減速の要素が減少することが推察できる。今回の結果から,HPは距離が長くなるほど相関が高くなり,HFは距離が短くなるほど相関は高くなった。このことからシャトルランの距離を短くすることで加速,減速の要素が減少し,より方向転換の要素へと必要な能力が変化すると推測される。したがって,PIA-tにおいてアジリティ能力として評価しているHFは主に方向転換の能力を評価していると考えた。したがって,PIA-tのHFは方向転換の能力に特化した狭義のアジリティ能力の評価であると考えた。
【結論】
高校男子サッカー選手においてPIA-tのHFは,狭義のアジリティとして方向転換能力を評価していることが示唆された。
アジリティは敏捷性と訳されることが多く「身体の位置変換や方向転換をすばやく行なったりする能力」とされる(ブリタニカ国際大百科事典,2014)。しかしながら,実際の競技場面はステップやターンなどの方向転換動作の前の減速動作や加速動作など多くの体力要素が含まれた動作と考えられる。このことから,スポーツ現場のアジリティは「外界の物理的刺激に反応して,合目的的に適切で迅速な減速,停止,方向転換,加速を実行する能力」(広瀬,2014)として捉えられている。したがって,実際のフィールドで行うアジリティテストは減速,停止,方向転換,加速といった様々な要素で構成されるTテストや20mシャトルラン,step50などで行われる。一方,我々は自転車エルゴメーターの負荷別パワー発揮能力から瞬発力とアジリティ能力を予測するテストとしてPIA pedaling test(PIA-t)を考案し,その有用性を報告してきた。しかしながら,PIA-tの評価と実際のフィールドで行われるアジリティテストとの関係は不明瞭である。今回我々は,シャトルランの距離を変化させることでPIA-tにおけるアジリティ能力の評価の特徴を把握することを目的とした。
【方法】
対象は高校男子サッカー部18名(年齢16.7±0.5歳,身長170.5±6.5cm,体重61.4±7.7kg)とした。PIA-tの測定はCombi社製PowerMaxVIIを使用し体重の5,7.5,12.5%の各負荷で10秒間の全力ペダリングを実施し,最大無酸素パワー(MAnP)を求めた。その際,MAnPにおける体重あたりの仕事量をHP,5%負荷におけるピーク回転数をHFとした。シャトルランは2.5m×5,5m×5,10m×5へと距離を変化させた。測定時間の算出は動画を使用した。
【結果】
PIA-tのHPは14.1±1.1watts/kg,HFは187.2±7.5rpmであった。シャトルランの測定時間は2.5m×5,5m×5,10m×5が4.32±0.22秒,7.27±0.17秒,12.14±0.22秒であった。シャトルランとHFは2.5m×5,5m×5にr=-0.72(p<0.01),r=-0.47(p<0.05)と有意な負の相関を認め,HPは5m×5,10m×5にr=-0.50(p<0.05),r=-0.52(p<0.05)と有意な負の相関を認めた。
シャトルランの距離を短くすることで長い時と比べて加速,減速の要素が減少することが推察できる。今回の結果から,HPは距離が長くなるほど相関が高くなり,HFは距離が短くなるほど相関は高くなった。このことからシャトルランの距離を短くすることで加速,減速の要素が減少し,より方向転換の要素へと必要な能力が変化すると推測される。したがって,PIA-tにおいてアジリティ能力として評価しているHFは主に方向転換の能力を評価していると考えた。したがって,PIA-tのHFは方向転換の能力に特化した狭義のアジリティ能力の評価であると考えた。
【結論】
高校男子サッカー選手においてPIA-tのHFは,狭義のアジリティとして方向転換能力を評価していることが示唆された。