[P-SP-07-5] 中高生サッカー選手の身体機能評価とFunctional Movement Screen得点との関係
Keywords:FMS, 成長期, 身体機能
【はじめに,目的】
Functional Movement Screen(FMS)による動作の評価と身体機能の関係を示すことは,異常動作の原因を推測する上で重要であるが,成長期の中高生を対象とした報告は少ない。本研究の目的は,FMSの7項目と関連する中高生サッカー選手の身体機能を検討することである。
【方法】
対象はプロサッカーチーム下部組織に所属する男子中高生サッカー選手165名(年齢14.6±1.7歳,身長162.2±9.8cm,体重50.4±10.1kg)であった。FMSは7項目を各0-3点の4段階で採点し,合計21点満点である。採点基準は,正しい動作なら3点,代償動作は2点,動作不可は1点,痛みがあれば0点である。7項目はDeep squat(DS),Hurdle step(HS),Inline lunge(IL),Shoulder mobility(SM),Active straight leg raise(ASLR),Trunk stability push up(TSP),Rotary stability(RS)である。HS,IL,SM,ASLR,RSは左右のうち得点の低い方を採用した。身体機能評価は,柔軟性の指標として,股関節の可動域(°),膝窩角(°),下腿前傾角(°),自動踵臀間距離(cm),傾斜計を使用して静的立位時および腹臥位on-handの最大伸展時の脊柱彎曲角度(°)を測定した。筋力の指標には,中殿筋と大殿筋(MMT),0-40cm台からの片脚立ち上がり(cm),体幹筋力(リバース・トランクツイスト時の下肢回旋角度)を測定した。バランス評価には閉眼片脚立位時間(秒)を測定した。本研究ではFMS得点と身体機能との関係性を調査することが目的であり,疼痛で0点を有した13名は分析から除外し,152名を分析対象とした。統計学的検討にはSpearmanの順位相関係数を用いてFMS得点と身体機能の関係を検討した。また有意な相関を認めたFMS項目を得点で3群化し,Kruskal Wallis検定とBonferroni法を用いて群間の身体機能指標を比較した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象の152名において,ASLRと膝窩角(右rs=0.43,左rs=0.45),DSと下腿前傾角(右rs=0.62,左rs=0.64)には有意な相関を認めた。他の項目に有意な相関を認めなかった。
ASLRの内訳と左右の膝窩角の平均値は,3点群が67名,66.1±11.8°,2点群が69名,56.8±10.4°,1点群が16名,51.0±9.2であった。DSの内訳と左右の下腿前傾角の平均値は,3点群が73名,49.5±4.2°,2点群が76名,42.7±4.8°,1点群が3名,38.6±1.9°であった。左右の膝窩角と下腿前傾角はともに群間の有意な主効果を認め,3点群は他の群に比べて有意に高値であった。
【結論】
今回の中高生サッカー選手の身体機能は,FMS項目のASLRは膝窩角との間に,DSは下腿前傾角との間に有意な相関を認めた。またこれらの3点群では膝窩角と下腿前傾角が有意に大きいことから,FMS得点に関連する身体機能の一つであると考えられる。これらの角度は動作修正における目標設定に利用できると考える。一方,今回の評価項目ではHS,IL,SM,TSP,RSとの関係を検出できず,今後検討を要する。
Functional Movement Screen(FMS)による動作の評価と身体機能の関係を示すことは,異常動作の原因を推測する上で重要であるが,成長期の中高生を対象とした報告は少ない。本研究の目的は,FMSの7項目と関連する中高生サッカー選手の身体機能を検討することである。
【方法】
対象はプロサッカーチーム下部組織に所属する男子中高生サッカー選手165名(年齢14.6±1.7歳,身長162.2±9.8cm,体重50.4±10.1kg)であった。FMSは7項目を各0-3点の4段階で採点し,合計21点満点である。採点基準は,正しい動作なら3点,代償動作は2点,動作不可は1点,痛みがあれば0点である。7項目はDeep squat(DS),Hurdle step(HS),Inline lunge(IL),Shoulder mobility(SM),Active straight leg raise(ASLR),Trunk stability push up(TSP),Rotary stability(RS)である。HS,IL,SM,ASLR,RSは左右のうち得点の低い方を採用した。身体機能評価は,柔軟性の指標として,股関節の可動域(°),膝窩角(°),下腿前傾角(°),自動踵臀間距離(cm),傾斜計を使用して静的立位時および腹臥位on-handの最大伸展時の脊柱彎曲角度(°)を測定した。筋力の指標には,中殿筋と大殿筋(MMT),0-40cm台からの片脚立ち上がり(cm),体幹筋力(リバース・トランクツイスト時の下肢回旋角度)を測定した。バランス評価には閉眼片脚立位時間(秒)を測定した。本研究ではFMS得点と身体機能との関係性を調査することが目的であり,疼痛で0点を有した13名は分析から除外し,152名を分析対象とした。統計学的検討にはSpearmanの順位相関係数を用いてFMS得点と身体機能の関係を検討した。また有意な相関を認めたFMS項目を得点で3群化し,Kruskal Wallis検定とBonferroni法を用いて群間の身体機能指標を比較した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象の152名において,ASLRと膝窩角(右rs=0.43,左rs=0.45),DSと下腿前傾角(右rs=0.62,左rs=0.64)には有意な相関を認めた。他の項目に有意な相関を認めなかった。
ASLRの内訳と左右の膝窩角の平均値は,3点群が67名,66.1±11.8°,2点群が69名,56.8±10.4°,1点群が16名,51.0±9.2であった。DSの内訳と左右の下腿前傾角の平均値は,3点群が73名,49.5±4.2°,2点群が76名,42.7±4.8°,1点群が3名,38.6±1.9°であった。左右の膝窩角と下腿前傾角はともに群間の有意な主効果を認め,3点群は他の群に比べて有意に高値であった。
【結論】
今回の中高生サッカー選手の身体機能は,FMS項目のASLRは膝窩角との間に,DSは下腿前傾角との間に有意な相関を認めた。またこれらの3点群では膝窩角と下腿前傾角が有意に大きいことから,FMS得点に関連する身体機能の一つであると考えられる。これらの角度は動作修正における目標設定に利用できると考える。一方,今回の評価項目ではHS,IL,SM,TSP,RSとの関係を検出できず,今後検討を要する。