[P-SP-08-4] 学生野球競技者における肢位別での棘下筋発揮能力の関係性
―Infraspinatus testとEmpty-can testに相関関係はあるか―
Keywords:棘下筋発揮能力, Infraspinatus test, Empty-can test
【はじめに,目的】
投球動作において,棘下筋は反復かつ長期にわたり生理的以上の運動が要求されることから解剖学的特徴も筋萎縮を来しやすいとされている。しかし,棘下筋厚(以下:ISPW)と筋力の関係性については渉猟した限り一定の見解を得られていない。今回,棘下筋の筋力評価指標として用いられるInfraspinatus test(以下:ISPT)とEmpty-can test(以下:ECT)との関係性について明らかにすることで理学療法評価の一助とすることを目的とした。
【方法】
対象者は投球動作時に疼痛を有しない本学に在学する野球競技者12名。平均年齢19.5±0.9歳,全員右利き,計12名24肩を対象とした。棘下筋の実態として,日立MRイメージング装置(Apertoシリーズ)を用い,核磁気共鳴画像法(以下:MRI)を施行。肩関節MRIの水平断のT2強調画像を用いて調査を行った。ISPWの計測には肩甲骨関節窩の幅が最大となる像を用いた。肩甲骨関節窩の中点と肩甲骨体部の厚みが薄くなる点を結び関節窩軟骨下骨から4cm近位で垂線を引きこの線を基準にしてSteller Orderにてtransverse planeでのISPWを実数値に換算し測定した。肢位別棘下筋力の測定は,ISPT肢位と矢状面でのECT肢位にて行った。徒手筋力測定器(OG GIKENアイソフォースGT-300)を用いて等尺性最大筋力を計測し全て同一検者にて実施した。計3回計測を行い加算平均し棘下筋力の平均値を算出した。また,ISPWに対する筋力の比率(N/mm)を発揮能力として算出した。統計学的解析は,対応のあるt検定を用いて,ISPT肢位とECT肢位での発揮能力について投球側と非投球側間の比較を行い有意水準は5%未満とした。また,スピアマンの順位相関係数を用いてISPT肢位とECT肢位での発揮能力についての相関を検討した。
【結果】
ISPWは投球側26.4±3.4mm,非投球側28.8±3.6mmであり有意差を認めた(P<0.01)。ISPT肢位での発揮能力は投球側4.2±1.0 N/mm,非投球側3.4±0.7 N/mmであり有意差を認めた(P<0.01)。ECT肢位での発揮能力は投球側3.2±0.9 N/mm,非投球側2.9±0.8 N/mmであり有意差を認めなかった。投球側ISPT肢位での発揮能力と投球側ECT肢位での発揮能力に有意差を認めた(P<0.01)。非投球側ISPT肢位での発揮能力と非投球側ECT肢位での発揮能力に有意差を認めなかった。ISPT肢位での発揮能力とECT肢位での発揮能力の関係は,投球側に有意な相関は認めなかったが非投球側には有意な相関を認めた(rs=0.85,P<0.01)。
【結論】
投球側におけるISPWが薄いという先行研究を支持する結果となったが,ISPT肢位での発揮能力とECT肢位での発揮能力に相関を認めなかった。このことから,投球側の各肢位における発揮能力はISPWとは別の因子を含んだ結果である可能性がある。また,非投球側においてはISPT肢位とECT肢位に高い正の相関がみられた。投球側・非投球側各々で,ISPTとECTの関係性が明らかになった。
投球動作において,棘下筋は反復かつ長期にわたり生理的以上の運動が要求されることから解剖学的特徴も筋萎縮を来しやすいとされている。しかし,棘下筋厚(以下:ISPW)と筋力の関係性については渉猟した限り一定の見解を得られていない。今回,棘下筋の筋力評価指標として用いられるInfraspinatus test(以下:ISPT)とEmpty-can test(以下:ECT)との関係性について明らかにすることで理学療法評価の一助とすることを目的とした。
【方法】
対象者は投球動作時に疼痛を有しない本学に在学する野球競技者12名。平均年齢19.5±0.9歳,全員右利き,計12名24肩を対象とした。棘下筋の実態として,日立MRイメージング装置(Apertoシリーズ)を用い,核磁気共鳴画像法(以下:MRI)を施行。肩関節MRIの水平断のT2強調画像を用いて調査を行った。ISPWの計測には肩甲骨関節窩の幅が最大となる像を用いた。肩甲骨関節窩の中点と肩甲骨体部の厚みが薄くなる点を結び関節窩軟骨下骨から4cm近位で垂線を引きこの線を基準にしてSteller Orderにてtransverse planeでのISPWを実数値に換算し測定した。肢位別棘下筋力の測定は,ISPT肢位と矢状面でのECT肢位にて行った。徒手筋力測定器(OG GIKENアイソフォースGT-300)を用いて等尺性最大筋力を計測し全て同一検者にて実施した。計3回計測を行い加算平均し棘下筋力の平均値を算出した。また,ISPWに対する筋力の比率(N/mm)を発揮能力として算出した。統計学的解析は,対応のあるt検定を用いて,ISPT肢位とECT肢位での発揮能力について投球側と非投球側間の比較を行い有意水準は5%未満とした。また,スピアマンの順位相関係数を用いてISPT肢位とECT肢位での発揮能力についての相関を検討した。
【結果】
ISPWは投球側26.4±3.4mm,非投球側28.8±3.6mmであり有意差を認めた(P<0.01)。ISPT肢位での発揮能力は投球側4.2±1.0 N/mm,非投球側3.4±0.7 N/mmであり有意差を認めた(P<0.01)。ECT肢位での発揮能力は投球側3.2±0.9 N/mm,非投球側2.9±0.8 N/mmであり有意差を認めなかった。投球側ISPT肢位での発揮能力と投球側ECT肢位での発揮能力に有意差を認めた(P<0.01)。非投球側ISPT肢位での発揮能力と非投球側ECT肢位での発揮能力に有意差を認めなかった。ISPT肢位での発揮能力とECT肢位での発揮能力の関係は,投球側に有意な相関は認めなかったが非投球側には有意な相関を認めた(rs=0.85,P<0.01)。
【結論】
投球側におけるISPWが薄いという先行研究を支持する結果となったが,ISPT肢位での発揮能力とECT肢位での発揮能力に相関を認めなかった。このことから,投球側の各肢位における発揮能力はISPWとは別の因子を含んだ結果である可能性がある。また,非投球側においてはISPT肢位とECT肢位に高い正の相関がみられた。投球側・非投球側各々で,ISPTとECTの関係性が明らかになった。