[P-SP-11-2] 第16回世界水泳選手権大会/水球日本代表チーム 帯同報告
―トレーナーサポートの実際と傷害状況―
キーワード:水球, メディカルサポート, 帯同報告
【はじめに,目的】
水球競技は,2m以上の水深がある足がつかない水中環境において行われ,投球動作,泳動作のみではなく,水中での激しい身体接触が多く,数あるスポーツの中でも1試合あたりのエネルギー消費量が最も多いと言われるほど過酷な競技である。それ故,身体のリコンディショニングのみではなく,外傷への対応など,トレーナーが対応するべき局面は幅広い。今回,2015年7月26日から8月5日にロシア・カザン にて開催された第16回世界水泳選手権大会の水球日本代表チーム(男・女)にトレーナーとして帯同する機会を得た。そこで,今回は上記大会期間中の傷害状況とトレーナーサポートについて報告する。
【方法】
2015年7月26日から8月5日の試合期間中に,トレーナーが対応した件数(試合中の対応は除く),選手の主訴部位,トレーナー対応方法を集計した。
【結果】
延べ対応件数は166件(男子87件,女子79件)だった。主訴・傷害部位(重複あり,全225件)としては,肩関節周囲が66件と最も多く,次いで腰部46件,肘関節37件,股関節周囲24件,全身20件,その他32件となっていた。これらの傷害のなかで,明らかな外傷に起因していたものは2例13件であり,その他は今大会前からの有症状部位や疲労の蓄積に起因すると考えられる症状であった。トレーナー対応方法は徒手的対応が68件,テーピング46件,物理療法機器(超音波治療器,ラジオ波治療器)41件,アイシング39件,エクササイズ28件,創処置3件だった。
外傷に起因していた1例を紹介する。試合中に相手選手の巻き足が前脛部に当たり,徐々に足関節背屈時の疼痛および背屈困難感を自覚した。試合中はアイシングで対応しながら試合終了までプレーを続行した。試合終了時には前脛部の腫脹があり,背屈困難,歩行困難な状態だった。医師によって下腿打撲と診断され,消炎鎮痛剤が処方された。トレーナーとしては,RICE処置を継続しながら,患部への超音波治療,電気治療,歩行時の背屈補助を目的としたテーピングを実施した。受傷2日目,3日目にも同様の対応を実施し,疼痛緩和が得られ,背屈困難感は解消し歩行も可能となったが,泳動作(キック)時の疼痛が残存したため,底屈制限を目的としたテーピングを実施し,試合に出場した。
【結論】
水球競技における傷害は肩関節,腰部に多く,投球動作,泳動作による負担が多いことに起因すると考えられる。試合期間中,負荷が高まることが背景にあるが,日常から肩関節や腰部のコンディショニングの意識を高める必要がある。また,外傷による問題も少なからず発生することから,トレーナーは外傷への対応力を習得する必要がある。
水球競技は,2m以上の水深がある足がつかない水中環境において行われ,投球動作,泳動作のみではなく,水中での激しい身体接触が多く,数あるスポーツの中でも1試合あたりのエネルギー消費量が最も多いと言われるほど過酷な競技である。それ故,身体のリコンディショニングのみではなく,外傷への対応など,トレーナーが対応するべき局面は幅広い。今回,2015年7月26日から8月5日にロシア・カザン にて開催された第16回世界水泳選手権大会の水球日本代表チーム(男・女)にトレーナーとして帯同する機会を得た。そこで,今回は上記大会期間中の傷害状況とトレーナーサポートについて報告する。
【方法】
2015年7月26日から8月5日の試合期間中に,トレーナーが対応した件数(試合中の対応は除く),選手の主訴部位,トレーナー対応方法を集計した。
【結果】
延べ対応件数は166件(男子87件,女子79件)だった。主訴・傷害部位(重複あり,全225件)としては,肩関節周囲が66件と最も多く,次いで腰部46件,肘関節37件,股関節周囲24件,全身20件,その他32件となっていた。これらの傷害のなかで,明らかな外傷に起因していたものは2例13件であり,その他は今大会前からの有症状部位や疲労の蓄積に起因すると考えられる症状であった。トレーナー対応方法は徒手的対応が68件,テーピング46件,物理療法機器(超音波治療器,ラジオ波治療器)41件,アイシング39件,エクササイズ28件,創処置3件だった。
外傷に起因していた1例を紹介する。試合中に相手選手の巻き足が前脛部に当たり,徐々に足関節背屈時の疼痛および背屈困難感を自覚した。試合中はアイシングで対応しながら試合終了までプレーを続行した。試合終了時には前脛部の腫脹があり,背屈困難,歩行困難な状態だった。医師によって下腿打撲と診断され,消炎鎮痛剤が処方された。トレーナーとしては,RICE処置を継続しながら,患部への超音波治療,電気治療,歩行時の背屈補助を目的としたテーピングを実施した。受傷2日目,3日目にも同様の対応を実施し,疼痛緩和が得られ,背屈困難感は解消し歩行も可能となったが,泳動作(キック)時の疼痛が残存したため,底屈制限を目的としたテーピングを実施し,試合に出場した。
【結論】
水球競技における傷害は肩関節,腰部に多く,投球動作,泳動作による負担が多いことに起因すると考えられる。試合期間中,負荷が高まることが背景にあるが,日常から肩関節や腰部のコンディショニングの意識を高める必要がある。また,外傷による問題も少なからず発生することから,トレーナーは外傷への対応力を習得する必要がある。