第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本スポーツ理学療法学会 一般演題ポスター
スポーツP11

2016年5月29日(日) 11:10 〜 12:10 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-SP-11-3] 7人制ラグビー選手に対する傷害アンケート調査

~男女の傷害発生状況の比較~

工藤篤志1, 山崎肇1, 鍛冶田憲史1, 仲澤一也2, 茂木直樹3, 伊藤雄4, 道家孝幸5, 丸山和典1, 阿部真行1, 岡村健司1 (1.羊ケ丘病院, 2.札幌円山整形外科病院, 3.札幌第一病院, 4.整形外科北新病院, 5.札幌医科大学)

キーワード:セブンズ, 傷害調査, 男女

【はじめに】

2016年リオデジャネイロオリンピックより男女の7人制ラグビー(以下,セブンズ)が正式種目となり女子選手も増加している。しかし女子選手を対象にした傷害調査は少ない。我々は傷害発生の現状把握をし,傷害予防に対する関わりの一助とするため,セブンズ選手に対し傷害アンケート調査を行った。今回は男女における傷害発生状況の違いを検討したので報告する。



【方法】

2015年7月に札幌で行われた国内トップレベルの大学,クラブチームが参加するセブンズ大会の会場にて,アンケート用紙を配布できた男性18チームと女性8チームを対象とした。方法は国際ラグビー評議会の外傷調査法に基づき練習や試合に1日以上参加できない状況を傷害と定義し,我々が作成した選択式の自己記入よる傷害アンケート用紙を,大会1日目にチーム代表に主旨を説明し同意を得たのち配布し,2日目に回収した。選手には回答記入をもって本研究への同意とした。調査内容は過去1年間の傷害の受傷回数,各々の傷害の部位と受傷機転,受診機関,傷害名と治療内容,競技復帰までに要した期間(以下,離脱期間)とした。各調査項目を男女間で比較した。統計解析にはMann-WhitnyのU検定を用い,有意水準は5%とした。



【結果】

アンケート回収率は26チーム中19チームの73%であった。対象は男性14チーム135人,女性5チーム66人の合計201人であった。受傷回数は0回が56%と48%,1回が20%と26%,2回が14%と12%,3回以上が9%と14%だった。傷害部位は下肢がそれぞれ60%と59%ともっとも多く,次いで上肢が19%と16%であった。受傷機転はタックルに関連するものが56%と41%で,スクラムなどの密集プレーでは13%と16%であった。受診した医療機関は病院・クリニックが54%と60%と多かった。傷害名は捻挫が24%と22%と多く,骨折が17%と10%,肉離れが14%と17%であった。受傷後の治療内容は安静・固定が31%と46%,リハビリテーションを受けたが41%と32%であった。離脱期間は1週間以上~1か月以内が33%と38%とどちらも多く,3か月以上が23%と15%,3日以内が5%と23%であった。離脱期間にのみ有意差が認められた。



【結論】

Birdらは女性よりも男性の方が傷害発生頻度が高いと報告しているが,今回の調査では発生頻度に差は認めなかった。また,傷害の受傷状況,治療内容にも差は認められなかった。しかし,離脱期間では男性の方が長い傾向にあり,プレー強度の高い男性はより長期の離脱期間を要する傷害を負っていたと考えられる。磯らは女子セブンズ日本代表においてプレー強度の増加により傷害発生率が年々増加傾向あると報告している。女性の競技人口増加,プレー強度の向上により男性と同様の傷害発生状況になってきている可能性が考えられ,女性もより強い強度でのコンタクトプレーに対する予防策を考えるなど,傷害予防の取り組みが求められると思われた。