第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P02

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-02-1] 回復期リハビリテーション病棟における自宅復帰に関わる日常生活動作要因の検討

小川真司, 山田賢次 (ベルピアノ病院)

Keywords:回復期リハビリテーション病棟, 自宅復帰, FIM

【はじめに,目的】当院は回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟を有する病院であり,大阪府堺市圏域の急性期病院と連携し,発症早期より患者を受け入れ,集中的にリハビリテーションを行い,日常生活動作(以下,ADL)の改善による早期退院と在宅復帰を使命としている病院である。ADLの改善が在宅復帰の要因である事は多くの報告によって明らかであるが,ADLを構成する各項目に着目し検討している報告は少ない。今回,当院回リハ病棟退院患者の転帰先の違いと退院時FIMの各項目に差があるのかを検討したので報告する。

【方法】平成27年4月1日から9月末までの回リハ病棟退院患者109名の内,急変などにより急性期病棟へ転院となった患者を除外した97名(男性34名,女性63名)を対象とした。対象を自宅へ退院した群(以下,自宅群)と自宅以外へ退院した群(以下,非自宅群)の2群に分け,FIM運動13項目認知5項目をそれぞれ比較した。統計処理にはMann-Whitney U testを用いた。

【結果】対象97名の内,自宅群86名,非自宅群11名であった。統計処理の結果,自宅群,非自宅群のFIM運動13項目,認知5項目の全てにおいて有意な差を認めた。各項目の比較において食事項目は自宅群6.4±0.8点,非自宅群は6.3±0.9点,社会的交流項目は自宅群6.1±1.0点,非自宅群は6.0±1.0点であった。また移乗(浴槽)項目は自宅群4.6±1.1点,非自宅群は4.5±1.1点,階段項目は自宅群4.8±1.2点,非自宅群は4.7±1.3点であった。

【結論】統計処理の結果,自宅群,非自宅群のFIM運動13項目,認知5項目の全てにおいて有意な差を認めた。各項目の比較では食事項目及び社会的交流項目の点数は自宅群,非自宅群共に6点台と他の項目に比べ高値であった。食事項目については座位姿勢で行う動作である事が多く,下肢機能の低下に影響しない為,他のADL項目と比べ達成可能な動作であったことが考えられる。また,移乗(浴槽)項目,階段項目の点数は自宅群,非自宅群共に4点台と他の項目に比べ低値であった。移乗(浴槽)項目に関しては1日の生活での入浴頻度は低く,また転倒リスクの高い動作になるなど,患者にとって不利な条件もあることから,自宅生活を選択するにあたり,患者及び家族が介助を選択することも要因であったと考える。階段項目に関しても転倒リスクの高い動作である事に加え,自室が階上にある場合などは自室場所の変更や自宅内生活を優先的に考え,階段動作を退院後の課題とするなど,階段動作を回避する自宅生活を送る事も可能なため,階段動作に介助が必要な状態での自宅退院が可能であったと考える。今後は対象数を増やし,疾患による特性や要因となる条件を増やし,さらなる検証を実施していきたい。また患者の能力に留まらず,自宅環境特性も踏まえ検証していく必要性がある。