第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P02

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-02-2] 回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の在宅復帰までの在院日数に関わる因子の検討

松村純, 森健太郎, 浦田恵, 田中有花, 宮地諒, 藤井亮介, 原淳子 (石川県済生会金沢病院)

Keywords:回復期リハビリテーション病棟, 脳卒中, 在院日数

【はじめに,目的】

回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の在院日数に関する報告の多くは転帰が施設入所や転院となった者を含んだ検討であり,自宅退院となった脳卒中患者に焦点を当てた報告は少ない。在院日数に関与する因子を明らかにすることで,在宅復帰に向けたリハビリテーションの介入をより効果的に行うことができると考えられる。本研究の目的は,自宅退院となった脳卒中患者を対象に,在院日数に影響を与える因子を検討することとした。

【方法】

平成24年4月から平成27年3月までの間に石川県で用いられている加賀脳卒中地域連携パスを利用して当院回復期リハビリテーション病棟へ入院し,転帰が自宅退院となった脳卒中患者のうち,在院日数が30日以内のもの,欠損データのあるものを除外した65名(脳梗塞32名,脳出血26名,くも膜下出血7名)を解析対象とした。調査項目は在院日数,年齢,性別,高次脳機能障害の有無,退院時歩行自立度,入院時運動FIM点数(以下,入運FIM),退院時運動FIM点数(以下,退運FIM),入院時認知FIM点数(以下,入認FIM),退院時認知FIM点数(以下,退認FIM)とした。情報収集は加賀脳卒中地域連携パスより後方視的に行った。解析対象となった全患者の平均在院日数を算出し,在院日数が平均値未満(以下,短期群)と平均値以上(以下,長期群)の2群間比較を行った。年齢は対応のないt検定,FIM点数はMann-WhitneyのU検定,性別,高次脳機能障害の有無,退院時歩行自立度はカイ2乗検定にて行った。統計処理にはJSTATを使用し,有意水準は5%とした。

【結果】

65名の在院日数の平均値は105.0±42.2日であった。105日未満(短期群)は,36名で在院日数72.2±21.0日,105日以上(長期群)は,29名で在院日数145.7±20.3日であった。短期群は,年齢59.9±14.9歳,入運FIM 69.8±18.9点,退運FIM 85.2±11.2点,入認FIM 28.9±6.1点,退認FIM 31.4±4.0点であった。長期群は,年齢63.0±14.7歳,入運FIM 49.8±21.0点,退運FIM 73.5±19.8点,入認FIM 25.0±9.2点,退認FIM 27.9±7.8点であった。短期群と長期群の比較では,入運FIM,退運FIMにおいて短期群で有意に高値を示した。また,短期群の方が長期群より退院時歩行自立度が有意に高かった。

在院日数に関与する因子として,入院時および退院時の運動FIM点数と退院時歩行自立度が関与していることが示唆された。一方,転帰が自宅外となった患者も含めた先行研究においては年齢や入院時認知FIM点数も入院の長期化に関係していると報告されており,異なる結果であった。早期の在宅復帰には,ADL能力が高く,歩行が自立していることが必要であると考えられた。

【結論】

回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の在院日数に関与する因子として,運動FIM点数,退院時歩行自立度が関与していることが示唆された。