第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P02

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-02-4] 回復期リハビリテーション病棟では,入院時FIM小項目において椅子移乗・トイレ移乗動作の自立度が退院先に関与する

櫻井貴浩 (蒲田リハビリテーション病院)

Keywords:予後予測, 自宅復帰, 機能的自立度評価法

【はじめに,目的】

回復期リハビリテーション病棟(以下;回リハ病棟)に従事するセラピストの多くは,自宅復帰に向けて,日々患者へ介入している。そして自宅復帰へは,立位下での動作が多く,受傷機転も立位や移動中の転倒が多くの割合を占めている。自宅復帰に向け,入院時の機能的自立度評価法(以下:FIM)における立位を経由する病棟生活動作での最優先項目を知り,予後予測を可能とさせることが重要と考えた。そこで,今回立位を経由する下衣更衣・トイレ動作・移乗(椅子・トイレ・浴槽)・移動・階段の項目に絞り入院時の自立度によって,転機先の予測のため,FIM小項目,退院先,Mini-Mental State Examination(以下:MMSE)を比較・検討を行った。

【方法】

対象における入院時FIM小項目(下衣更衣・トイレ動作・椅子移乗・トイレ移乗・浴槽移乗・移動・階段),退院先(自宅・非自宅),MMSEの各項目得点をPearsonの積率相関係数にて関連を求め,退院先を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。なお,有意水準は5%未満とし,統計処理にはSPSSを使用した。

【結果】

椅子移乗とトイレ移乗の項目において,退院先と相関を認め,他のFIM小項目と比較し,有意に高い結果となった。

【結論】

今回の検討では,年齢や認知機能に関わらず,椅子・トイレ移乗の自立度が高いことで,自宅復帰可能なことが示唆された。移乗動作では,起立・立位保持・方向転換・着座と複数の動作を同時に多次元的に行うことが要求される。下肢の高度な複合運動に加えて,支持物の把持・持ち替えと上肢機能も下肢同様に高度な能力を要す。また,日常生活において最も頻度が高く,介護負担度の面からも移乗動作と転機先との相関を認めたと考える。