第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P03

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-03-4] 地域包括ケア病棟の効果検証と今後の展開①

~開設前後での比較検討~

始関盛夫1, 佐藤春奈1, 佐藤美帆1, 中島達也1, 竹内正人2 (1.社会医療法人社団さつき会袖ケ浦さつき台病院, 2.社会医療法人社団さつき会総合広域リハケアセンター)

Keywords:地域包括ケア病棟, アウトカム, 地域品質

【はじめに,目的】

平成26年9月より,亜急性期病棟を転換し,地域包括ケア病棟を25床開設した。当院は,千葉県君津医療圏(袖ケ浦・木更津・君津・富津市)の中の袖ケ浦市唯一の病院で,精神科・認知症病棟218床,回復期リハ病棟90床,一般科病棟76床,地域包括ケア病棟25床を有する精神科を主体とした準総合病院である。さつき会は,社会医療法人と社会福祉法人からなり,地域包括ケア実現の基盤となる資源を有している。

今回は「地域品質」を高められる地域包括ケア病棟の今後の展開を起こせるよう,まずは地域包括ケア病棟開設前後での効果(構造,アウトカム,プロセス)検証を行ったので報告する。

【方法】

対象は平成25年9月1日~平成26年2月28日に亜急性期病棟に入院していた128名(以下,開設前群)と平成26年9月1日~平成27年2月28日に地域包括ケア病棟に入院していた150名(以下,開設後群)とした。①構造:スタッフ(構成人数)・対象者(年齢・性別・疾患),②アウトカム:在宅復帰率(リハの有無)・在院日数・Barthel Index(以下BI)利得・BI効率・病棟単価,③プロセス:受け入れ地域・入院元・退院先を検討した。

【結果】

①構造:開設前群は看護13名・介護0名・リハ(専従登録なし。病棟平均1日31.6単位)から,開設後群では看護17名・介護7名・リハ(専従1名,専任3名。病棟平均1日47.8単位)。対象者は,128名から150名に増加。75歳以上が46%から70%と著増し,特に女性が49%から59%と増加していた。疾患は骨折・肺炎・泌尿器疾患が増加し,精神疾患・脳血管疾患・認知症が減少した。

②アウトカム:在宅復帰率は,82%から85%へ増加し,特にリハ施行した場合は73%から84%と増加した。在院日数は71日から49日と短縮したが,BI利得は3.2点から9.2点と増加し,BI効率は0.5点/週から2.2点/週と著明に改善した。また,病棟の単価は26,306円から32,435円に増収した。

③プロセス:受け入れ地域に著変ないが,入院元は院内急性期病棟が65%から91%と増加しており,全国平均39%と比べ余りにも多い結果であった。退院先は著変ないが全国平均と比べ居宅系施設利用が少なかった。

【結論】

地域包括ケア病棟への資源投入により,患者数が増え,①構造としては,地域の高齢化の影響を受ける疾患が増えていた。脳血管疾患が減少したのは,回復期病棟が併設されているからだと考える。今後は高齢者の肺炎対策としての統合ケアが重要である。②アウトカムとしては,リハ介入の効果と共に,多職種カンファレンスや病棟専従スタッフ・病棟専任スタッフの配置などチーム医療が始まったことによる改善と考える。今後はより質の高いプログラムを検討し実践していきたい。③プロセスとしては,構想区域における地域医療構想との連動を病院として考慮し,在宅支援機能の充実が重要である。