[P-TK-05-1] 外来リハビリテーションを通じて,スポーツ復帰による社会参加を支援した経験について
Keywords:外来リハビリテーション, 社会参加, スポーツ復帰
【はじめに,目的】
高齢者は地域社会において自立した生活を維持し,さらに社会参加することが求められている。しかし,当地域においては疾患を持つ高齢者がスポーツ復帰する為の支援が確立されている病院や施設は少なく,高齢者はスポーツ復帰に対し十分な指導を受けられない状況が散見されている。
今回,疾患を持つ在宅高齢者がスポーツ競技復帰を目標とし,当院外来リハビリテーション(以下外来リハ)において,機能練習の他に地域でのスポーツを通じた社会参加支援を経験したので報告する。
【方法】
症例1:80代男性。60歳の時に腰部脊柱管狭窄症の診断を受ける。平成25年3月に椎体固定術を施行。体育教師のかたわら投てき種目の大会に参加していたが,手術に伴い大会出場を断念していた。平成27年8月に開催された第30回記念北海道マスターズ陸上競技選手権大会(80歳以上の部)への参加を目標に,外来リハにて投てき種目の練習を開始した。同地区で参加する仲間との練習にも帯同し,情報交換やパフォーマンスの確認を行なった。
症例2:60代男性。平成18年9月に脳出血右片麻痺を発症。移動はT字杖見守りレベル。平成27年8月に開催された,はまなす車いすマラソンショートレース(4km)への初出場を目標に外来リハにて車いす走行の練習を開始した。
2例に対する主なアプローチ方法は,環境準備(練習スペース,時間の確保),パフォーマンスルーティンの指導,姿勢やフォームの撮影とフィードバック,ストレッチングやテーピングによるコンディショニングである。
【結果】
症例1:ハンマー投げ1位(15.52m),砲丸投げ2位(6.14m),円盤投げ2位(13.74m)となり,手術後初のマスターズ大会で功績が示される結果となった。「痛みが増し,手術をする事になり半ば競技復帰は諦めかけていた。リハビリと出会い参加することを第一目標としていたが,競技仲間と切磋琢磨し良い結果に繋がった」と話された。
症例2:初出場を達成し,16分28秒で完走した。「歩くだけでも精いっぱいだったのに,4キロの距離を車いすマラソンで完走できたことは,まだまだ自分もやれるという自信に繋がった。応援してくれた妻にも感謝したい」と話された。
【結論】
スポーツ復帰を願う高齢者にとって,外来リハの機能練習のみでは社会参加の可能性を追求することは困難である。フォーマルサービスのみではなく,その人が生きる地域でご家族や友人等のインフォーマルなサポートにより,社会参加へ繋がる事が地域社会のリハビリの在り方と考えられる。今後は健康志向の高まる高齢者を対象に,スポーツを通じ参加を促すことで地域社会に貢献したい。
高齢者は地域社会において自立した生活を維持し,さらに社会参加することが求められている。しかし,当地域においては疾患を持つ高齢者がスポーツ復帰する為の支援が確立されている病院や施設は少なく,高齢者はスポーツ復帰に対し十分な指導を受けられない状況が散見されている。
今回,疾患を持つ在宅高齢者がスポーツ競技復帰を目標とし,当院外来リハビリテーション(以下外来リハ)において,機能練習の他に地域でのスポーツを通じた社会参加支援を経験したので報告する。
【方法】
症例1:80代男性。60歳の時に腰部脊柱管狭窄症の診断を受ける。平成25年3月に椎体固定術を施行。体育教師のかたわら投てき種目の大会に参加していたが,手術に伴い大会出場を断念していた。平成27年8月に開催された第30回記念北海道マスターズ陸上競技選手権大会(80歳以上の部)への参加を目標に,外来リハにて投てき種目の練習を開始した。同地区で参加する仲間との練習にも帯同し,情報交換やパフォーマンスの確認を行なった。
症例2:60代男性。平成18年9月に脳出血右片麻痺を発症。移動はT字杖見守りレベル。平成27年8月に開催された,はまなす車いすマラソンショートレース(4km)への初出場を目標に外来リハにて車いす走行の練習を開始した。
2例に対する主なアプローチ方法は,環境準備(練習スペース,時間の確保),パフォーマンスルーティンの指導,姿勢やフォームの撮影とフィードバック,ストレッチングやテーピングによるコンディショニングである。
【結果】
症例1:ハンマー投げ1位(15.52m),砲丸投げ2位(6.14m),円盤投げ2位(13.74m)となり,手術後初のマスターズ大会で功績が示される結果となった。「痛みが増し,手術をする事になり半ば競技復帰は諦めかけていた。リハビリと出会い参加することを第一目標としていたが,競技仲間と切磋琢磨し良い結果に繋がった」と話された。
症例2:初出場を達成し,16分28秒で完走した。「歩くだけでも精いっぱいだったのに,4キロの距離を車いすマラソンで完走できたことは,まだまだ自分もやれるという自信に繋がった。応援してくれた妻にも感謝したい」と話された。
【結論】
スポーツ復帰を願う高齢者にとって,外来リハの機能練習のみでは社会参加の可能性を追求することは困難である。フォーマルサービスのみではなく,その人が生きる地域でご家族や友人等のインフォーマルなサポートにより,社会参加へ繋がる事が地域社会のリハビリの在り方と考えられる。今後は健康志向の高まる高齢者を対象に,スポーツを通じ参加を促すことで地域社会に貢献したい。