第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P06

Sat. May 28, 2016 11:40 AM - 12:40 PM 第10会場 (産業振興センター 2階 セミナールームB)

[P-TK-06-1] 大腿骨頚部骨折症例に対し,術後に2度の家族参加術後カンファレンスを実施し術後在院日数短縮を目指す取り組み

社会福祉士との連携

小林崇邦1, 下村里子2, 行田淳子1, 豊田亮1, 渡邉修也1, 江口智美1, 高橋睦3, 原愛3, 小池智子3, 坪川仁保3, 山口玲奈3, 小島徹4 (1.特定医療法人社団堀ノ内病院リハビリテーション部, 2.公益財団法人日産厚生会玉川病院, 3.堀ノ内病院医療相談室, 4.堀ノ内病院リハビリテーション科)

Keywords:大腿骨頚部骨折, 多職種連携, 在院日数

【はじめに,目的】

当院でも2007年度から大腿骨頚部骨折のクリニカルパスを使用し近隣の回復期病院とも連携しているが,術後3~4週間で直接自宅退院が可能な症例も少なくなかった。我々は先行研究において,リハ開始直後に転帰先を予測するため年齢や受傷前の生活に着目し,70歳代以下であること,受傷前の日常生活自立度(以下 受傷前自立度)がJレベルであること,独歩可能であること,独居であること,が自宅退院可能となる必要事項と思われることを報告した。現在は,他の先行研究も参考にしながらリハスタッフと社会福祉士(以下MSW)が主体となり,在院日数短縮と安心・安全な退院の両立を図る目的で,術後に2度の家族参加カンファレンス(以下 カンファ)を実施している。この退院計画を実施する前後の術後在院日数と転帰先について比較・検討したので報告する。

【方法】

自宅で生活している症例の場合,早期に転帰先を決定するため術後7日前後と14日前後にカンファを開催することを原則とし,術後3~4週での退院を目指している。1度目はご家族にリハの見学もして頂き,予後(能力的なゴール・予想される入院期間 等)についての説明と,回復期病院や介護保険サービスについての説明を行う。2度目は,経過が良好な場合はMSWとの電話のみとなる場合もあるが,転帰先を決定することを目的としている。本報告の対象は2009年11月~2015年3月の期間に大腿骨頚部骨折で入院し手術が施行された298例のうち,自宅で生活していた138例(カンファ実施前28例・以後110例)とした。自宅退院群・回復期群・施設群の3群に分け,術後在院日数・年齢・何人で暮らしていたかを後方視的に調査した。各項目についてt検定(有意水準0.05%)を用いカンファ実施前後で比較・検討した。

【結果】

平均術後在院日数のカンファ実施前後の比較では,実施前38.0±19.0日が実施後28.6±11.8日と有意に短縮していた。各群内・群間の比較では有意差はなかった。自宅退院群・回復期群の平均年齢を比較するとカンファ実施前で,自宅退院群が78.0±11.6歳,回復期群が86.9±9.0歳と自宅退院群が有意に若く,カンファ実施後も自宅退院群が77.4±10.6歳,回復期群が85.5±7.4歳と自宅退院群が有意に若かった。また独居症例について,カンファ実施前は6名全例が自宅退院していたが,実施後のみで見ると,18例中自宅退院群は11例(61.1%),回復期群が5例(27.8%)であった。

【結論】

リハ見学と予後の説明に加え,MSWから急性期病院退院後のリハサービスについての説明を行うことが,在院日数短縮には重要と考える。