[P-TK-12-6] 訪問リハビリテーションにおいて活動量計を用いる意義
治療意識と身体活動量の把握を通して
Keywords:訪問リハビリテーション, 身体活動量, 意識
【はじめに,目的】
地域包括ケアシステムにおいて利用者の自立度を高めるために訪問リハビリテーション(以下,リハ)が期待されているが,医療で主に実施されるような身体機能に偏ったリハが実施されており,活動や参加等の生活機能全般の向上目的の実施度が低いとされている(厚労省,2015)。しかし,介護度の違いにより同様なリハが実施されているかは不明である。それに加え,近年,不活動の予防が健康寿命に有効とされており,スタッフが活動および参加への意識が低いと身体活動につながらない可能性がある。したがって本研究では,介護度によるスタッフの治療意識の違いと活動量計の装着後にスタッフがフィードバックすることで利用者及びスタッフの身体活動への意識が高まるかを調査した。
【方法】
対象は意思疎通に問題なく活動量計(オムロン社製,HJA-750C Active style Pro)が装着可能な者14名(年齢:69.2±14.0歳,男性;4名,女性:10名,脳血管疾患;10名,運動器疾患;4名)とスタッフ7名(訪問リハ経験2.6±2.6年)で担当の利用者毎に回答し,回答数は28であった。介護度の内訳は要支援2:1名,要介護1:2名,要介護2:5名,要介護3:2名,要介護4:4名であった。介護度と治療意識の関連の方法は,要支援2,要介護1,2の者を軽介護群,要介護3,4,5を重介護群の2群に分類し,心身機能および活動と参加に対する治療意識をスタッフにVAS(Visual Analogue Scale)を用いて調査した。活動量計装着による利用者及びスタッフに身体活動把握度はVASを用い,利用者が活動量計を装着する前とスタッフが身体活動を解析後,利用者へフィードバック後に調査した。統計解析は①軽介護群および重介護群の2群における身体機能および活動・参加の比較は対応のないt検定②スタッフと利用者の把握度を活動量計装着前後で検定には対応のあるt検定を用い,それぞれ有意水準を5%未満とした。
【結果】
治療意識の心身機能は軽介護群45.1±17.2・重介護群50.0±14.1,活動と参加は軽介護群54.9±17.2・重介護群50.0±14.1であり,心身機能及び活動と参加で軽介護群と重介護群では有意な差は認めなかった。
把握度においてスタッフの軽介護群は装着前52.0±16.7・装着後86.8±6.1,重介護群は装着前56.4±21.4・装着後89.0±3.9であり,両介護群とも有意な増加を認めた(p<0.01)。利用者の軽介護群は装着前55.5±26.3・装着後76.1±22.4,重介護群は装着前66.5±26.6・装着後88.0±14.1であり,両介護群とも有意な増加を認めた(p<0.01)。
【結論】
介護度の違いと治療意識は関連がなく,介護度も考慮した活動や参加を促すようなスタッフへの教育が必要かもしれない。把握度ではスタッフと利用者共に活動量計装着前と比べ装着後に有意に増加した。つまり,活動量計を用いた利用者へのフィードバックは身体活動を把握するだけでなく,利用者やスタッフに身体活動の意識を高める手段かもしれない。
地域包括ケアシステムにおいて利用者の自立度を高めるために訪問リハビリテーション(以下,リハ)が期待されているが,医療で主に実施されるような身体機能に偏ったリハが実施されており,活動や参加等の生活機能全般の向上目的の実施度が低いとされている(厚労省,2015)。しかし,介護度の違いにより同様なリハが実施されているかは不明である。それに加え,近年,不活動の予防が健康寿命に有効とされており,スタッフが活動および参加への意識が低いと身体活動につながらない可能性がある。したがって本研究では,介護度によるスタッフの治療意識の違いと活動量計の装着後にスタッフがフィードバックすることで利用者及びスタッフの身体活動への意識が高まるかを調査した。
【方法】
対象は意思疎通に問題なく活動量計(オムロン社製,HJA-750C Active style Pro)が装着可能な者14名(年齢:69.2±14.0歳,男性;4名,女性:10名,脳血管疾患;10名,運動器疾患;4名)とスタッフ7名(訪問リハ経験2.6±2.6年)で担当の利用者毎に回答し,回答数は28であった。介護度の内訳は要支援2:1名,要介護1:2名,要介護2:5名,要介護3:2名,要介護4:4名であった。介護度と治療意識の関連の方法は,要支援2,要介護1,2の者を軽介護群,要介護3,4,5を重介護群の2群に分類し,心身機能および活動と参加に対する治療意識をスタッフにVAS(Visual Analogue Scale)を用いて調査した。活動量計装着による利用者及びスタッフに身体活動把握度はVASを用い,利用者が活動量計を装着する前とスタッフが身体活動を解析後,利用者へフィードバック後に調査した。統計解析は①軽介護群および重介護群の2群における身体機能および活動・参加の比較は対応のないt検定②スタッフと利用者の把握度を活動量計装着前後で検定には対応のあるt検定を用い,それぞれ有意水準を5%未満とした。
【結果】
治療意識の心身機能は軽介護群45.1±17.2・重介護群50.0±14.1,活動と参加は軽介護群54.9±17.2・重介護群50.0±14.1であり,心身機能及び活動と参加で軽介護群と重介護群では有意な差は認めなかった。
把握度においてスタッフの軽介護群は装着前52.0±16.7・装着後86.8±6.1,重介護群は装着前56.4±21.4・装着後89.0±3.9であり,両介護群とも有意な増加を認めた(p<0.01)。利用者の軽介護群は装着前55.5±26.3・装着後76.1±22.4,重介護群は装着前66.5±26.6・装着後88.0±14.1であり,両介護群とも有意な増加を認めた(p<0.01)。
【結論】
介護度の違いと治療意識は関連がなく,介護度も考慮した活動や参加を促すようなスタッフへの教育が必要かもしれない。把握度ではスタッフと利用者共に活動量計装着前と比べ装着後に有意に増加した。つまり,活動量計を用いた利用者へのフィードバックは身体活動を把握するだけでなく,利用者やスタッフに身体活動の意識を高める手段かもしれない。