第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本地域理学療法学会 一般演題ポスター
地域P13

Sun. May 29, 2016 11:10 AM - 12:10 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-TK-13-1] サービス付き高齢者向け住宅での訪問リハビリテーション

―連携の重要性―

青柳法大1, 吉岡雄樹2, 栗原理2 (1.ディチャーム株式会社ゆうき訪問看護リハビリステーション, 2.ホームケアクリニック城南)

Keywords:サービス付き高齢者向け住宅, 連携, 人材不足

【はじめに】

近年,高齢化問題による訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)は増加している。しかし,セラピストの人材確保が難しく需要に対し供給が困難な現状もある。当ステーションはサービス付き高齢者向け住宅(以下,サ高住)からの依頼も多い。今回,訪問リハを必要とする方により多く介入していくにはどのような連携が重要なのかを入居中の症例を基に検討したため報告する。

【症例提示】

A様,91歳,女性,要介護1,胸腰椎圧迫骨折,利用期間H26年9月8日~H27年8月26日,FIM116点。杖歩行ベースで日常生活を過ごされていた。

B様,75歳,女性,要介護1,右橈骨遠位端骨折,利用期間H26年12月9日~H27年9月15日,FIM126点。独歩にて外出もされていた。

C様,85歳,女性,要介護4,脳梗塞後遺症(左麻痺,Br.stageVI-VI-VI),利用期間H26年6月4日~H27年9月30日,FIM111点。シルバーカー歩行ベースで日常生活を過ごされていた。

各症例の共通事項として,ADLの状態が近位監視~自立レベルで可能なこと,歩行を主体に自主練習を行っていたこと,活動性が高まるにつれ機能維持・向上運動は消極的になり,リラクゼーションを好んでいたことが挙げられた。最終的にサービス担当者会議にて,訪問マッサージなど別サービスを導入していくことでも身体機能低下を防げ,日常生活を維持できると判断し訪問リハは終了した。

【考察】

各症例が訪問リハを終了できた理由として,ADLの水準が高いこと,セラピストが施設に訪問する機会があるため終了後も日常生活を観察しやすいこと,施設の介護支援専門員やヘルパー,提携する往診医と情報交換や連携もとりやすく,必要あれば訪問リハを再開できることが考えられた。

近年,老老介護や単独世帯の増加に伴い,介護負担も増加している。施設においても介護不足に不安があり,訪問リハによる介護指導,介助量軽減を図ろうとしている。地域に貢献する訪問リハは,より多くの方に提供される必要があり,関わる方々の役に立たなければならない。症例のように自立できる方の訪問リハを終了することやリハビリテーションの職域を活かすためにも別サービスの活用も有効であり,少ないスタッフ数でも回転率は向上していくと考えられる。訪問リハは長期化しやすい傾向にあるため,施設-往診医-ステーションと連携がとれ,且つ終了後もフォローできる体制が整備されていることは,より多くの方に訪問リハを提供でき,長期化防止にもつながると考えられる。

今回の症例は理解もあり,円満に訪問リハ終了に至ったが,本来は導入時から説明・理解を得ておくことや常に他職種と情報交換できる環境や信頼関係が重要であると再認識した。