[P-TK-13-3] 利用者とケアマネジャーを対象としたアンケート調査からみえた訪問リハビリテーションの課題
キーワード:訪問リハビリテーション, 要介護, アンケート
【はじめに,目的】
地域包括ケアシステムの中で,リハビリテーション職と利用者・家族,ケアマネジャーが,どのような生活の獲得を目標とするかの意識を統一することが重要である。実際,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハビリ)では,その意識に相違があり難渋する場面が多い。本研究では訪問リハビリ利用者・家族とケアマネジャーを対象としたアンケート調査から,訪問リハビリの課題について検討することが目的である。
【方法】
平成27年1月時点で訪問リハビリ利用中の利用者77名と家族,居宅介護支援事業所34事業所(138部)を対象とした。利用者・家族へのアンケート(以下,利用者アンケート)内容は,基礎情報,サービスの満足度と内容(利用開始目的,現在の施行内容,今後行いたい他の施行内容,目標設定),リハビリの効果(生活の拡がり,外出頻度,その他自由記載)とした。ケアマネジャーへのアンケート(以下,事業所アンケート)内容は,基礎情報,利用開始目的,サービスの満足度,訪問リハビリ終了時に関する内容とした。
【結果】
回収率は利用者72.7%,事業所73.5%だった。利用者アンケートの結果,利用開始目的は拘縮(70.9%),歩行(69.1%),転倒(63.6%)が多かった。現在の施行内容はストレッチ(72.7%),歩行(60%),基本動作(58.2%),今後行いたい他の施行内容は歩行(30.9%),筋力強化(29.1%),ストレッチ(20%)が多かった。リハビリの効果に関して,行動範囲は「広くなった」27.3%,「変化なし」52.7%,「狭くなった」7.3%,外出の機会は「増加した」21.2%,「変化なし」46.2%,「減少した」15.4%だった。また自由記載において,利用者では「動作が向上した」21%,「現状維持」16%,「自信がついた」15%が認められ,家族では「本人や家族の心理的効果が得られた」23%,「動作が向上した」20%,「介助が楽になった」13%が認められた。事業所アンケートの結果,利用開始目的は身体機能(81.4%),日常生活動作(71.4%),本人の希望(67.1%)が多かった。訪問リハビリ終了においては「リハビリ職からの意見を参考」が67.1%だった。「ケースによる」「終了を考えていない」の答えに関する自由記載では,「進行性疾患であったり,維持を目標と設定したりしたため」,「関係が途切れたら維持ができなくなるかもしれない」という意見が認められた。
【結論】
利用者・家族,ケアマネジャーの訪問リハビリ利用開始目的は,身体機能や動作面が大きかった。また,利用者家族は心理的な効果を感じていたり,ケアマネジャーには利用がなくなることで「維持」が図れなくなる不安があったりした。身体機能や動作の向上をどのように活動と参加につなげるかに目を向けた目標を互いに共有し,リハビリ側がそれを実践することが必要である。また,心理的な面も含め,利用がなくなっても現状を維持する手段を提示する必要がある。
地域包括ケアシステムの中で,リハビリテーション職と利用者・家族,ケアマネジャーが,どのような生活の獲得を目標とするかの意識を統一することが重要である。実際,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハビリ)では,その意識に相違があり難渋する場面が多い。本研究では訪問リハビリ利用者・家族とケアマネジャーを対象としたアンケート調査から,訪問リハビリの課題について検討することが目的である。
【方法】
平成27年1月時点で訪問リハビリ利用中の利用者77名と家族,居宅介護支援事業所34事業所(138部)を対象とした。利用者・家族へのアンケート(以下,利用者アンケート)内容は,基礎情報,サービスの満足度と内容(利用開始目的,現在の施行内容,今後行いたい他の施行内容,目標設定),リハビリの効果(生活の拡がり,外出頻度,その他自由記載)とした。ケアマネジャーへのアンケート(以下,事業所アンケート)内容は,基礎情報,利用開始目的,サービスの満足度,訪問リハビリ終了時に関する内容とした。
【結果】
回収率は利用者72.7%,事業所73.5%だった。利用者アンケートの結果,利用開始目的は拘縮(70.9%),歩行(69.1%),転倒(63.6%)が多かった。現在の施行内容はストレッチ(72.7%),歩行(60%),基本動作(58.2%),今後行いたい他の施行内容は歩行(30.9%),筋力強化(29.1%),ストレッチ(20%)が多かった。リハビリの効果に関して,行動範囲は「広くなった」27.3%,「変化なし」52.7%,「狭くなった」7.3%,外出の機会は「増加した」21.2%,「変化なし」46.2%,「減少した」15.4%だった。また自由記載において,利用者では「動作が向上した」21%,「現状維持」16%,「自信がついた」15%が認められ,家族では「本人や家族の心理的効果が得られた」23%,「動作が向上した」20%,「介助が楽になった」13%が認められた。事業所アンケートの結果,利用開始目的は身体機能(81.4%),日常生活動作(71.4%),本人の希望(67.1%)が多かった。訪問リハビリ終了においては「リハビリ職からの意見を参考」が67.1%だった。「ケースによる」「終了を考えていない」の答えに関する自由記載では,「進行性疾患であったり,維持を目標と設定したりしたため」,「関係が途切れたら維持ができなくなるかもしれない」という意見が認められた。
【結論】
利用者・家族,ケアマネジャーの訪問リハビリ利用開始目的は,身体機能や動作面が大きかった。また,利用者家族は心理的な効果を感じていたり,ケアマネジャーには利用がなくなることで「維持」が図れなくなる不安があったりした。身体機能や動作の向上をどのように活動と参加につなげるかに目を向けた目標を互いに共有し,リハビリ側がそれを実践することが必要である。また,心理的な面も含め,利用がなくなっても現状を維持する手段を提示する必要がある。