[P-TK-13-4] 短時間のリハビリ特化型デイサービスの利用が運動機能と活動に及ぼす影響(第2報)
キーワード:デイサービス, 運動機能, Berg Balance Scale
【はじめに,目的】
介護保険領域におけるリハビリテーションの提供不足が指摘され続けている。理学療法士が係るデイサービスが増加しつつあり,利用者の活動や参加における実績を問われている。本学会第49回大会において短時間のリハビリ特化型デイサービスを5ヶ月ほど利用すると,運動機能指標であるFunctional Reach Test(以下,FRT),Berg Balance Scale(以下,BBS),10m最速歩行,Timed Up & Go Test(以下,TUG)が向上し活動や参加を活性化したことを報告した。今回,利用期間が3年にわたる方々の縦断的データを分析し,運動機能の変化と生活活動を検討した。
【方法】
対象はリハビリ特化型デイサービスを新規に利用し始め,その後継続して利用している21名(72.4±9.4歳)である。利用開始時の要介護度の内訳は,要支援1が24%,要支援2が29%,要介護1が29%,要介護2が14%,要介護4が5%であった。Barthel Indexは89.0±9.4点であった。リハビリ特化型デイサービスの内容は,レッドコードによる柔軟性向上と筋力増強を目的とした2種類のグループトレーニング,HUR社製レッグプレスと股関節内外転,自転車エルゴメーター,さらに,マンツーマンの理学療法である。1単位の利用時間は,3時間5分で運動機能を毎月テストしている。分析に用いた縦断的データは,利用開始時,2013年5月,2015年10月の運動機能測定値と2015年10月時の活動参加状況とした。利用期間は2013年5月までで162±75日(以下,5ヶ月後),2015年10月までで1,045±76日(以下,3年後)であった。運動機能測定値の統計処理は,一元配置分散分析後にポストホックテストを危険率5%で行った。
【結果】
利用開始時のFRTは21.3±5.7cm,BBSは44.4±5.6点,10m最速歩行は21.0±5.6秒,TUGは18.6±9.7秒であった。すべての運動機能得点は実施期間で主効果が認められ,次のように平均値の差が有意であった(p<0.05)。FRTは5ヶ月後までに増加し,5ヶ月後から3年後では変化しなかった。BBSとTUGは5ヵ月後までに向上し,さらに3年後までにも向上した。10m最速歩行は5ヶ月後までに変化なく,3年後までに向上した。3年後に活動参加レベルが低下した利用者はおらず,14名が身辺活動や外出手段が維持継続され,7名は新規活動を始めたり継続活動の頻度が増加していた。
【結論】
運動機能評価に基づくグループトレーニングと,利用者のその時々の主訴に基づく運動療法を3年間継続すると,バランス能力や移動能力が向上し,活動や参加を維持向上できると考える。今回の実績を公開することで,利用継続年数の延長と継続者の増加につなげたい。理学療法士が管理運営するリハビリ特化型デイサービスを長期に利用し,運動機能の維持向上を目指す取り組みは活動能力と参加の退行を抑制できることが証明された。要介護高齢者が運動機能を維持向上しようとする活動は,生活の質を担保させる機会になりえる。
介護保険領域におけるリハビリテーションの提供不足が指摘され続けている。理学療法士が係るデイサービスが増加しつつあり,利用者の活動や参加における実績を問われている。本学会第49回大会において短時間のリハビリ特化型デイサービスを5ヶ月ほど利用すると,運動機能指標であるFunctional Reach Test(以下,FRT),Berg Balance Scale(以下,BBS),10m最速歩行,Timed Up & Go Test(以下,TUG)が向上し活動や参加を活性化したことを報告した。今回,利用期間が3年にわたる方々の縦断的データを分析し,運動機能の変化と生活活動を検討した。
【方法】
対象はリハビリ特化型デイサービスを新規に利用し始め,その後継続して利用している21名(72.4±9.4歳)である。利用開始時の要介護度の内訳は,要支援1が24%,要支援2が29%,要介護1が29%,要介護2が14%,要介護4が5%であった。Barthel Indexは89.0±9.4点であった。リハビリ特化型デイサービスの内容は,レッドコードによる柔軟性向上と筋力増強を目的とした2種類のグループトレーニング,HUR社製レッグプレスと股関節内外転,自転車エルゴメーター,さらに,マンツーマンの理学療法である。1単位の利用時間は,3時間5分で運動機能を毎月テストしている。分析に用いた縦断的データは,利用開始時,2013年5月,2015年10月の運動機能測定値と2015年10月時の活動参加状況とした。利用期間は2013年5月までで162±75日(以下,5ヶ月後),2015年10月までで1,045±76日(以下,3年後)であった。運動機能測定値の統計処理は,一元配置分散分析後にポストホックテストを危険率5%で行った。
【結果】
利用開始時のFRTは21.3±5.7cm,BBSは44.4±5.6点,10m最速歩行は21.0±5.6秒,TUGは18.6±9.7秒であった。すべての運動機能得点は実施期間で主効果が認められ,次のように平均値の差が有意であった(p<0.05)。FRTは5ヶ月後までに増加し,5ヶ月後から3年後では変化しなかった。BBSとTUGは5ヵ月後までに向上し,さらに3年後までにも向上した。10m最速歩行は5ヶ月後までに変化なく,3年後までに向上した。3年後に活動参加レベルが低下した利用者はおらず,14名が身辺活動や外出手段が維持継続され,7名は新規活動を始めたり継続活動の頻度が増加していた。
【結論】
運動機能評価に基づくグループトレーニングと,利用者のその時々の主訴に基づく運動療法を3年間継続すると,バランス能力や移動能力が向上し,活動や参加を維持向上できると考える。今回の実績を公開することで,利用継続年数の延長と継続者の増加につなげたい。理学療法士が管理運営するリハビリ特化型デイサービスを長期に利用し,運動機能の維持向上を目指す取り組みは活動能力と参加の退行を抑制できることが証明された。要介護高齢者が運動機能を維持向上しようとする活動は,生活の質を担保させる機会になりえる。