[P-TK-14-1] リハビリ特化型デイサービスにおける活動量向上エクササイズの試み
キーワード:通所介護, 活動量向上エクササイズ, 運動強度
【はじめに,目的】
当通所介護事業所では要介護者の身体活動に着目し,健康づくりのための運動指針2006,2013に基づいた活動量向上エクササイズ(活動向上EX)を実践してきた。そこで今回,若干の知見とともにその実際を報告する。
【方法】
今回主な対象となる活動向上EXとは,理学療法士により対象者毎に作成された動作を用いての運動プログラムであり,通常の個別リハビリに加えて実施している。動作毎に最終目標とする動作方法を設定し,対象者個々の動作レベルに応じた実施可能な動作方法より開始するエクササイズ(以下EX)である。EX中は関係スタッフ全員が活動量計(TANITA製カロリズムSMART)を用いて運動強度(METs)の測定を行っている。今回報告の対象者は当施設を6ヶ月以上利用している者で,平均年齢81.5±5.9歳の男性9名,女性10名の計19名である。これら対象者について,寝たきり度A1,A2,B1,B2に区分し,起立,足踏み,平行棒内歩行,室内歩行の4つのEXにおける活動量の変化を指標としその効果を検証した。検証にあたってはExcel2015を用いて二元配置分散分析及びPost-hoc testを実施し,優位水準は5%とした。
【結果】
活動量は,各対象者の通所1日の活動向上EXの総活動量(Ex),EX毎の運動強度(METs)に基づいて,1ヶ月毎の平均値を算出し,それらの推移について統計学的に検証した。対象者全体では総活動量1ヶ月目平均0.3±0.2Ex,6ヶ月目平均0.4±0.2Exであり,各EXについての運動強度では,起立1ヶ月目平均2.8±0.6METs,6ヶ月目平均2.9±0.5METs,平行棒内歩行は1ヶ月目平均2.3±0.5METs,6ヶ月目平均2.6±0.5METs,室内歩行は1ヶ月目平均2.6±0.5METs,6ヶ月目平均2.7±0.5METsで,以上については優位な差を認めたが,足踏みについては1ヶ月目,6ヶ月目とも平均2.7±0.5METsで有意な差は認めなかった。また,寝たきり度別では,総活動量は(A1,B1,B2),運動強度の起立(A1,B2),平行棒内歩行(B1),室内歩行(A1,B1)において有意な差を認めた。
【結論】
今回当施設で実施している活動向上EXについてその効果の検証を試みたが,総活動量(Ex)において寝たきり度A1,B1,B2の対象者で有意な差が認められたことから,当該EXが活動量向上効果をもたらす可能性が示唆されたものと考えている。またその内訳であるEX別では,起立のA1,B2,室内歩行B1,平行棒内歩行A1,B1の各寝たきり度で有意差が認められたが,これらEX間での変化の相違は,各EXにおける動作の特性や測定器の特性からもたらされた結果と考えている。健康づくりのための身体活動基準2013では,65歳以上のみを対象とした研究結果に基づき,3METs未満を含む全ての強度の身体活動量に関する基準を策定することとしており,通所施設においては,動作の自立度をふまえたMETsを指標とした運動プログラムの実施が,利用者の活動量を向上させ疾病予防や健康増進に寄与するものと考える。
当通所介護事業所では要介護者の身体活動に着目し,健康づくりのための運動指針2006,2013に基づいた活動量向上エクササイズ(活動向上EX)を実践してきた。そこで今回,若干の知見とともにその実際を報告する。
【方法】
今回主な対象となる活動向上EXとは,理学療法士により対象者毎に作成された動作を用いての運動プログラムであり,通常の個別リハビリに加えて実施している。動作毎に最終目標とする動作方法を設定し,対象者個々の動作レベルに応じた実施可能な動作方法より開始するエクササイズ(以下EX)である。EX中は関係スタッフ全員が活動量計(TANITA製カロリズムSMART)を用いて運動強度(METs)の測定を行っている。今回報告の対象者は当施設を6ヶ月以上利用している者で,平均年齢81.5±5.9歳の男性9名,女性10名の計19名である。これら対象者について,寝たきり度A1,A2,B1,B2に区分し,起立,足踏み,平行棒内歩行,室内歩行の4つのEXにおける活動量の変化を指標としその効果を検証した。検証にあたってはExcel2015を用いて二元配置分散分析及びPost-hoc testを実施し,優位水準は5%とした。
【結果】
活動量は,各対象者の通所1日の活動向上EXの総活動量(Ex),EX毎の運動強度(METs)に基づいて,1ヶ月毎の平均値を算出し,それらの推移について統計学的に検証した。対象者全体では総活動量1ヶ月目平均0.3±0.2Ex,6ヶ月目平均0.4±0.2Exであり,各EXについての運動強度では,起立1ヶ月目平均2.8±0.6METs,6ヶ月目平均2.9±0.5METs,平行棒内歩行は1ヶ月目平均2.3±0.5METs,6ヶ月目平均2.6±0.5METs,室内歩行は1ヶ月目平均2.6±0.5METs,6ヶ月目平均2.7±0.5METsで,以上については優位な差を認めたが,足踏みについては1ヶ月目,6ヶ月目とも平均2.7±0.5METsで有意な差は認めなかった。また,寝たきり度別では,総活動量は(A1,B1,B2),運動強度の起立(A1,B2),平行棒内歩行(B1),室内歩行(A1,B1)において有意な差を認めた。
【結論】
今回当施設で実施している活動向上EXについてその効果の検証を試みたが,総活動量(Ex)において寝たきり度A1,B1,B2の対象者で有意な差が認められたことから,当該EXが活動量向上効果をもたらす可能性が示唆されたものと考えている。またその内訳であるEX別では,起立のA1,B2,室内歩行B1,平行棒内歩行A1,B1の各寝たきり度で有意差が認められたが,これらEX間での変化の相違は,各EXにおける動作の特性や測定器の特性からもたらされた結果と考えている。健康づくりのための身体活動基準2013では,65歳以上のみを対象とした研究結果に基づき,3METs未満を含む全ての強度の身体活動量に関する基準を策定することとしており,通所施設においては,動作の自立度をふまえたMETsを指標とした運動プログラムの実施が,利用者の活動量を向上させ疾病予防や健康増進に寄与するものと考える。