[P-YB-05-1] 理学療法介入中のがん患者に対する疼痛緩和がADLに与える影響
キーワード:がんリハビリテーション, 疼痛緩和, FIM
【目的】
JUANらによるとがん疼痛は高い割合でリハビリテーション(以下,リハビリ)の阻害因子となり,進行がん患者の70-90%に発生するといわれており,その痛みも深刻である。近年,緩和ケアチームの役割が増大しており,がん患者の療養生活の質の向上の維持として,治療の初期段階から介入することが推奨されている。
その中で,疼痛緩和を行いながら理学療法を施行するケースも増加してきている。本研究では,理学療法介入患者に対する緩和ケアチームの疼痛緩和が患者のADLに与える影響を検討することを目的とし,後方視的研究を行った。
【方法】
対象は2010年9月から2015年10月に入院し,緩和ケアチームが介入した1317例中,理学療法を施行した404症例のうちがん患者297例とした。測定項目は理学療法開始時と退院時のFunctional Independence Measure(FIM)とNumerical Rating Scale(NRS)とした。対象をNRSが改善したNRS改善群(207例)とNRSが改善しなかった非改善群(90例)の2群に分けた。この2群における年齢と開始時FIM,FIMの改善度(退院時FIM-開始時FIM)を比較検討した。統計学的手法として,各指標はKolmogorov-Smirnov検定にて正規性が検定された。2群間の比較にはMann-Whitney U検定が用いられた。
【結果】
NRS改善群とNRS非改善群で,年齢(67.2±13.8 vs.67.3±12.3歳),開始時のFIM(66.1±32.2 vs.59.5±32.5点)に有意差はみられなかったが,FIMの改善度(31.1±28.8 vs.1.6±14.4点,P<0.01)はNRS改善群で有意に高値を示した。
【結論】
今回,理学療法士は緩和ケアチームと常に連携をとり,リハビリ前のレスキューとして非オピオイド・オピオイド鎮痛薬の使用の検討を行った。その結果,NRS改善群ではNRS非改善群と比べADLが大きく改善した。
吉田らによると痛みの強さと「痛みによる心理的苦痛」と「体力・気力」と「疲れやすさ」に有意な相関を認めるといわれている。本研究においても疼痛の緩和が,身体的・心理的な改善に寄与し,その結果,理学療法との相乗効果でFIMが改善したと考えられる。
また,片岡らによるとがん疼痛患者で,痛み治療を受けていない患者の割合は64%と高い。痛みをコントロールし,ADLの改善をはかるため,入院中,早期に緩和ケアチームと連携する必要性が示唆された。
JUANらによるとがん疼痛は高い割合でリハビリテーション(以下,リハビリ)の阻害因子となり,進行がん患者の70-90%に発生するといわれており,その痛みも深刻である。近年,緩和ケアチームの役割が増大しており,がん患者の療養生活の質の向上の維持として,治療の初期段階から介入することが推奨されている。
その中で,疼痛緩和を行いながら理学療法を施行するケースも増加してきている。本研究では,理学療法介入患者に対する緩和ケアチームの疼痛緩和が患者のADLに与える影響を検討することを目的とし,後方視的研究を行った。
【方法】
対象は2010年9月から2015年10月に入院し,緩和ケアチームが介入した1317例中,理学療法を施行した404症例のうちがん患者297例とした。測定項目は理学療法開始時と退院時のFunctional Independence Measure(FIM)とNumerical Rating Scale(NRS)とした。対象をNRSが改善したNRS改善群(207例)とNRSが改善しなかった非改善群(90例)の2群に分けた。この2群における年齢と開始時FIM,FIMの改善度(退院時FIM-開始時FIM)を比較検討した。統計学的手法として,各指標はKolmogorov-Smirnov検定にて正規性が検定された。2群間の比較にはMann-Whitney U検定が用いられた。
【結果】
NRS改善群とNRS非改善群で,年齢(67.2±13.8 vs.67.3±12.3歳),開始時のFIM(66.1±32.2 vs.59.5±32.5点)に有意差はみられなかったが,FIMの改善度(31.1±28.8 vs.1.6±14.4点,P<0.01)はNRS改善群で有意に高値を示した。
【結論】
今回,理学療法士は緩和ケアチームと常に連携をとり,リハビリ前のレスキューとして非オピオイド・オピオイド鎮痛薬の使用の検討を行った。その結果,NRS改善群ではNRS非改善群と比べADLが大きく改善した。
吉田らによると痛みの強さと「痛みによる心理的苦痛」と「体力・気力」と「疲れやすさ」に有意な相関を認めるといわれている。本研究においても疼痛の緩和が,身体的・心理的な改善に寄与し,その結果,理学療法との相乗効果でFIMが改善したと考えられる。
また,片岡らによるとがん疼痛患者で,痛み治療を受けていない患者の割合は64%と高い。痛みをコントロールし,ADLの改善をはかるため,入院中,早期に緩和ケアチームと連携する必要性が示唆された。