[P-YB-05-3] 退院月の活動率とFIMおよび離床率の目標値
キーワード:離床率, 活動率, 目標値
【はじめに,目的】
回復期病院では患者の離床時間,活動時間の向上が大きな目標になる。所属施設では,月に1回,9時~17時の間で,20分事に患者の状態を観察する生活調査を行っている。その状態をリハビリテーション(以下,リハビリ),活動,日常生活動作,安静,不活動の項目ごとに調査している。離床時間は,安静,不活動以外の項目が離床となる。活動は座位や立位での自主トレ,座位でテレビを見るや会話,書字動作などの座位での作業が基準となっている。この離床時間,活動時間の比率を,離床の向上のために活用している。
そこで,リハビリ以外の離床率及び活動率とFunctional Independence Measure(以下,FIM)の関係性を調査する。さらに研究を進めるうえで,離床を促す際の目標値を明確にすることが離床時間の向上に繋がると考え,調査する事とした。今回,病棟での日常生活に着目したため,リハビリでの離床は除いた。
【方法】
対象は,入退院した100名(男性41名,女性59名,平均74.1歳±14.3)とした。方法は,対象を退院月の活動率とFIMの点数を,FREEJSTATを使用し,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した。(有意水準を1%未満)
リハビリ以外の離床率を①離床率50%以上と50%未満②離床率40%以上と40%未満と基準をもうけ,高離床率群と低離床率群に分類しFIM利得との関係を対応のないt検定を用い分析した。(有意水準を5%未満)
【結果】
退院月の活動率とFIMの点数はSpearmanの順位相関係数の結果,相関が認められた(r=0.45,p<0.01)。
リハビリ以外の離床率とFIM利得は,対応のないt検定の結果,①では有意差が認められた(p<0.05,高離床率群26.7点,低離床率群18.4点)②では有意差が認められなかった。
【結論】
今回,退院月の活動率とFIMの点数に相関が認められた理由として,身体活動が増加したことにより筋力,全身持久力が向上したことが考えられる。また,FIMの点数は,しているADLが反映される。日常生活で活動を行っている患者は自分で目的を持ち,積極的に作業をしているため,活動意欲が高いことが考えられる。そのため,日常生活動作も自ら行う機会が多く,FIMの点数に影響を与えているものと考えられる。
50%以上の高離床率群,50未満の低離床率群にはFIM利得に有意差が認められた。しかし,40%以上,40%未満の群には有意差が認められなかった。このことから,今後離床を促す際には50%以上を目標に促していくとFIMの利得を効果的に向上できることが示唆された。
活動はFIMの点数を高くする1つの要因である。活動を促すことにより離床率の向上も見込める。今回の研究により,目標値が分かり,患者や所属施設のスタッフにも提示し促す際の一助となる。この共通の目標に向かい,患者とチーム全体で離床に取り組むことにより,さらに離床率の向上が図れると考える。今後,活動の中でもどのような活動が効果的なのかという点が課題と考える。
回復期病院では患者の離床時間,活動時間の向上が大きな目標になる。所属施設では,月に1回,9時~17時の間で,20分事に患者の状態を観察する生活調査を行っている。その状態をリハビリテーション(以下,リハビリ),活動,日常生活動作,安静,不活動の項目ごとに調査している。離床時間は,安静,不活動以外の項目が離床となる。活動は座位や立位での自主トレ,座位でテレビを見るや会話,書字動作などの座位での作業が基準となっている。この離床時間,活動時間の比率を,離床の向上のために活用している。
そこで,リハビリ以外の離床率及び活動率とFunctional Independence Measure(以下,FIM)の関係性を調査する。さらに研究を進めるうえで,離床を促す際の目標値を明確にすることが離床時間の向上に繋がると考え,調査する事とした。今回,病棟での日常生活に着目したため,リハビリでの離床は除いた。
【方法】
対象は,入退院した100名(男性41名,女性59名,平均74.1歳±14.3)とした。方法は,対象を退院月の活動率とFIMの点数を,FREEJSTATを使用し,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した。(有意水準を1%未満)
リハビリ以外の離床率を①離床率50%以上と50%未満②離床率40%以上と40%未満と基準をもうけ,高離床率群と低離床率群に分類しFIM利得との関係を対応のないt検定を用い分析した。(有意水準を5%未満)
【結果】
退院月の活動率とFIMの点数はSpearmanの順位相関係数の結果,相関が認められた(r=0.45,p<0.01)。
リハビリ以外の離床率とFIM利得は,対応のないt検定の結果,①では有意差が認められた(p<0.05,高離床率群26.7点,低離床率群18.4点)②では有意差が認められなかった。
【結論】
今回,退院月の活動率とFIMの点数に相関が認められた理由として,身体活動が増加したことにより筋力,全身持久力が向上したことが考えられる。また,FIMの点数は,しているADLが反映される。日常生活で活動を行っている患者は自分で目的を持ち,積極的に作業をしているため,活動意欲が高いことが考えられる。そのため,日常生活動作も自ら行う機会が多く,FIMの点数に影響を与えているものと考えられる。
50%以上の高離床率群,50未満の低離床率群にはFIM利得に有意差が認められた。しかし,40%以上,40%未満の群には有意差が認められなかった。このことから,今後離床を促す際には50%以上を目標に促していくとFIMの利得を効果的に向上できることが示唆された。
活動はFIMの点数を高くする1つの要因である。活動を促すことにより離床率の向上も見込める。今回の研究により,目標値が分かり,患者や所属施設のスタッフにも提示し促す際の一助となる。この共通の目標に向かい,患者とチーム全体で離床に取り組むことにより,さらに離床率の向上が図れると考える。今後,活動の中でもどのような活動が効果的なのかという点が課題と考える。