第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P06

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-YB-06-1] 介護予防・日常生活支援総合事業におけるリハビリテーション専門職の関わり方の検討

~リハ専門職が活動する上で解決すべき課題の解決策~

伊藤久美子1, 安斎紗保理1,2, 猪股寛裕1, 河合恒1, 大渕修一1 (1.東京都健康長寿医療センター研究所高齢者健康増進事業支援室, 2.桜美林大学大学院老年学研究科)

Keywords:介護予防, 総合事業, リハビリテーション専門職

【はじめに,目的】介護予防・日常生活支援総合事業(以下,新しい総合事業)ではリハビリテーション専門職(以下,リハ専門職)が関わることで地域の介護予防機能を強化する方向性が示されているが,具体的な関わり方や進め方については自治体の裁量に委ねられている。我々は,新しい総合事業へのリハ専門職の関わり方の先駆的なモデル構築のため,リハ専門職と共に検討会を開催している。検討会ではリハ専門職から人員確保やサービスの質の担保に関する課題が挙げられており,具体的に事業を進めるためには,これらの課題解決が不可欠である。そこで本報告では,これらの課題解決の要点について,検討会でのグループワークをもとに整理した。



【方法】東京都A区内の病院,施設等のリハ専門職16名(PT10名,OT5名,ST1名)と研究職3名による検討会を組織し,検討会において「リハ専門職が活動する上で解決すべき課題の解決策」についてグループワークを実施した。グループワークでは3つのグループに分かれ,「人員確保」,「活動時間の確保」,「関わるスタッフ間での情報共有」,「コーディネートの判断基準の統一化」,「総合事業におけるリハ専門職サービス供給量の確保」,「地域リハ専門職としての技術」の各課題に対する具体策について意見を出し合い検討した。分析は,グループワークによって抽出された意見をコード化し,コードを意味内容の類似性に基づきカテゴリ化した。



【結果】「人員確保」の課題に対し《巡回施設・数を検討》《エリア内以外のリハ専門職の協力》《要支援者を一つの曜日に集約》のカテゴリ,「活動時間の確保」の課題に対し《休日の活用》のカテゴリ,「関わるスタッフ間での情報共有」の課題に対し《SNSの活用》のカテゴリ,「コーディネートの判断基準の統一化」の課題に対し《施設職員・リハ専門職の二段階スクリーニング》《定期的なアセスメント》《簡便なスクリーニングツールの使用》《リハ専門職のアセスメントをもとにした地域ケア会議等での判断》のカテゴリ,「総合事業におけるリハ専門職のサービス供給量の確保」の課題に対し《サービスマッチングの実施》《コーディネートに上の一部を施設スタッフに協力依頼》のカテゴリ,「地域リハ専門職としての技術」の課題に対し《一般高齢者との関わり方や総合事業についての研修会の実施》《新しい総合事業や移行に対する共通認識を得る機会を設ける》のカテゴリが挙げられた。



【結論】本研究の結果から,それぞれの課題の解決策があることが分かった。具体的活動のためには,巡回方法の効率化,リハ専門職間の情報共有・協力体制の構築,評価ツールや基準の統一化を行うことが重要であると考えられた。また,施設スタッフとの協力や新制度に関する研修会などの必要性も示唆された。これらの要点を踏まえて事業計画を策定することで,リハ専門職連携が進むと考えられた。