[P-YB-07-1] 年代別にみた骨密度と筋量の関係
キーワード:骨密度, 筋量, サルコペニア
【はじめに,目的】
我が国では今日,超高齢社会を迎え,高齢者のQOL(quality of life)の向上は,必須の課題と考える。近年では,高齢者におけるQOL低下を招く原因として,サルコペニアによる筋量減少と骨粗鬆症による骨密度低下が注目されている。また,サルコペニアによる筋量減少は転倒などのリスクを増大させ,骨粗鬆症では骨折などのリスクを増大させることで,QOLの低下の原因になると考える。骨粗鬆症とサルコペニアにおいて様々な研究がなされているが,年代別にみた研究は数少ない。そこで本研究では,対象者全体と年代別にみた骨密度と筋量の関係について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は2015年4月15日から10月2日までに当院に来院した60歳以上で椎体骨折,側弯変形,卵巣摘出手術など骨密度に影響を与えない,閉経女性394例(年齢74±7.09,身長158±5.85cm,体重51±9.44kg)とした。そのうち,60代121例(年齢65±2.74歳,身長154±5.33cm,体重52±10.76kg),70代187例(年齢75±2.90歳,身長151±5.13cm,体重51±9.20kg),80代86例(年齢83±2.60歳,身長148±6.04cm,体重49±7.31kg)と3群に群分けを行った。骨密度は,DXA法(GE社製DPX-BRAV)を用い,腰椎・大腿骨全体・大腿骨頸部の各骨密度を測定した。筋量は,インピーダンス法(InBody720,BIOSPACE社製)を用い,両上肢・両下肢の骨格筋量を体重比で正規化した骨格筋量指標(skeletal muscle mass index以下,SMI)を算出した。
統計学的分析として,それぞれ年代別の腰椎・大腿骨全体・大腿骨頚部の各骨密度とSMIの相関にはspearmanの順位相関係数を用い,有意水準は1%未満とした。
【結果】
対象全体での骨密度とSMIは,各測定部位ともに正の相関関係を示した(相関係数:腰椎0.29,大腿骨全体0.39,大腿骨頸部0.40,すべてP<0.01)。年代別(60代→70代→80代)にみると,加齢とともに全ての測定部位において相関係数は低下していた(相関係数:腰椎0.49→0.30→0.18,大腿骨全体0.46→0.40→0.29,大腿骨頸部0.41→0.40→0.15,80代の腰椎,大腿骨頸部のみP>0.01,他はすべてP<0.01)。DXA測定部位別にみると,大腿骨全体のみ全年代にわたり有意な相関関係を示していた(P<0.01)。
【結論】
本研究では,対象全体での骨密度とSMIは相関するという結果を得た。すなわち,筋量の増加が骨密度の維持に繋がる可能性が示唆された。
一方で,各年代別にみると加齢とともに,骨密度とSMIの相関度は低下していた。このことは,高齢になればなるほど,様々な運動器疾患(変形性膝関節症や変形性脊椎症など)が合併する頻度が高まるためと推測された。そのため,80歳以前の骨粗鬆症,サルコペニアの早期治療が必要である可能性も考えられる。今後は,骨粗鬆症,サルコペニアに対して,運動療法の介入方法を検討し,治療・予防効果を明確にしていく。
我が国では今日,超高齢社会を迎え,高齢者のQOL(quality of life)の向上は,必須の課題と考える。近年では,高齢者におけるQOL低下を招く原因として,サルコペニアによる筋量減少と骨粗鬆症による骨密度低下が注目されている。また,サルコペニアによる筋量減少は転倒などのリスクを増大させ,骨粗鬆症では骨折などのリスクを増大させることで,QOLの低下の原因になると考える。骨粗鬆症とサルコペニアにおいて様々な研究がなされているが,年代別にみた研究は数少ない。そこで本研究では,対象者全体と年代別にみた骨密度と筋量の関係について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は2015年4月15日から10月2日までに当院に来院した60歳以上で椎体骨折,側弯変形,卵巣摘出手術など骨密度に影響を与えない,閉経女性394例(年齢74±7.09,身長158±5.85cm,体重51±9.44kg)とした。そのうち,60代121例(年齢65±2.74歳,身長154±5.33cm,体重52±10.76kg),70代187例(年齢75±2.90歳,身長151±5.13cm,体重51±9.20kg),80代86例(年齢83±2.60歳,身長148±6.04cm,体重49±7.31kg)と3群に群分けを行った。骨密度は,DXA法(GE社製DPX-BRAV)を用い,腰椎・大腿骨全体・大腿骨頸部の各骨密度を測定した。筋量は,インピーダンス法(InBody720,BIOSPACE社製)を用い,両上肢・両下肢の骨格筋量を体重比で正規化した骨格筋量指標(skeletal muscle mass index以下,SMI)を算出した。
統計学的分析として,それぞれ年代別の腰椎・大腿骨全体・大腿骨頚部の各骨密度とSMIの相関にはspearmanの順位相関係数を用い,有意水準は1%未満とした。
【結果】
対象全体での骨密度とSMIは,各測定部位ともに正の相関関係を示した(相関係数:腰椎0.29,大腿骨全体0.39,大腿骨頸部0.40,すべてP<0.01)。年代別(60代→70代→80代)にみると,加齢とともに全ての測定部位において相関係数は低下していた(相関係数:腰椎0.49→0.30→0.18,大腿骨全体0.46→0.40→0.29,大腿骨頸部0.41→0.40→0.15,80代の腰椎,大腿骨頸部のみP>0.01,他はすべてP<0.01)。DXA測定部位別にみると,大腿骨全体のみ全年代にわたり有意な相関関係を示していた(P<0.01)。
【結論】
本研究では,対象全体での骨密度とSMIは相関するという結果を得た。すなわち,筋量の増加が骨密度の維持に繋がる可能性が示唆された。
一方で,各年代別にみると加齢とともに,骨密度とSMIの相関度は低下していた。このことは,高齢になればなるほど,様々な運動器疾患(変形性膝関節症や変形性脊椎症など)が合併する頻度が高まるためと推測された。そのため,80歳以前の骨粗鬆症,サルコペニアの早期治療が必要である可能性も考えられる。今後は,骨粗鬆症,サルコペニアに対して,運動療法の介入方法を検討し,治療・予防効果を明確にしていく。