第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P07

2016年5月27日(金) 15:20 〜 16:20 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-YB-07-2] 児童期における骨密度と骨格筋指数および体脂肪率の関連

鳥澤幸太郎1, 伊佐常紀2, 中村凌2, 澤龍一2, 斎藤貴2, 村田峻輔2, 海老名葵2, 近藤有希2, 坪井大和2, 大塚脩斗1, 福田章真1, 小野玲2 (1.神戸大学医学部保健学科, 2.神戸大学大学院保健学研究科地域保健学領域)

キーワード:児童期, 骨密度, 体組成

【はじめに,目的】骨密度は成長に伴い増加し,20歳代でピークを迎え,その後は徐々に低下していく。成人後期や高齢期における著しい骨密度の低下は骨粗鬆症を招き,骨折や寝たきりの原因となっているため,その予防は重大な課題となっている。骨粗鬆症を予防するには,骨密度の低下を防ぐだけでなく,10歳代前半(児童期)において可能な限り骨密度を獲得することも重要である。児童期の骨密度と関連を示す要因はいくつかあり,BMIもその要因のひとつとして報告されている。また,児童期におけるBMIや児童期におけるBMIの変化量が大きいと,成人期における骨密度を高めると報告されており,BMIが骨密度に与える影響は大きいと考えられる。一般的に,BMIは適正体重を示す指標として用いられているが,骨格筋や体脂肪などの体組成を直接反映しているわけではない。BMIの変化には,骨格筋や体脂肪の変化が関連していると考えられるが,それぞれと骨密度の関連については明らかではない。骨密度と骨格筋および体脂肪の関連が明らかになれば,児童期の体組成をどのように発達させることが骨密度を高めるために良いのかを明らかにすることの一助となると考えられる。さらに,先行研究では一般的に男女で発達速度は異なることが示唆されている。そのため,児童期における骨密度と骨格筋や体脂肪の関連は男女別で検討する必要があると考えられる。よって,本研究の目的は,児童期の骨密度と骨格筋および体脂肪率の関連について男女別で検討することとした。



【方法】対象者は小学4年生から6年生の児童193名(平均年齢10.9±0.9歳,女性83名)とした。骨密度の指標として,超音波骨密度測定装置を用いて踵骨の骨内伝播速度(SOS)を測定した。SOSは骨密度が高いほど高値を示す。骨格筋量および体脂肪量は,生体電気インピーダンス法を用いて測定し,四肢骨格筋量指数(SMI)および,体脂肪率を算出した。質問紙より年齢,性別,身体活動,睡眠時間,カルシウムスコア,初経の有無を調査した。統計解析は,骨密度と体組成の関連を検討するために,目的変数をSOS,説明変数をSMIおよび体脂肪率とし,単回帰分析を男女別に行った。その後,目的変数をSOS,説明変数をSMIおよび体脂肪率,交絡変数を男児では年齢,BMI,身体活動,睡眠時間,カルシウムスコア,女児ではこれに初経の有無を加え,強制投入による重回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。



【結果】単回帰分析の結果,男児ではSMI(β=.27,p=.002),体脂肪率(β=-.31,p<.001)が,女児ではSMI(β=.35,p=.005)がSOSと有意な関連を示した。交絡変数の調整後においても,男児ではSMI(β=.45,p<.001),体脂肪率(β=-.65,p<.001)が,女児では体脂肪率(β=-.56,p=.049)がSOSと他因子と独立して有意な関連を示した。



【結論】児童期において,男女ともに体脂肪率を減少させ,特に男児では骨格筋指数を増加させることが,骨密度の増加の一助となることが示唆された。