第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P07

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-YB-07-5] はだし生活と運動能力

細井俊希, 藤田博暁, 新井智之, 丸谷康平 (埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科)

Keywords:地域在住高齢者, はだし, 運動能力

【はじめに,目的】足底からの感覚刺激は,ヒトが立位保持や歩行を行ううえで重要である。しかし,生活スタイルの欧米化により,室内でも靴下などを履いて生活することが増えてきており,足底からの刺激は減少し,また,個々の足趾の運動は阻害されていると思われる。本研究は,地域在住高齢者の生活スタイル,特に,室内でのはだし生活と運動能力との関連性について明らかにすることを目的として実施した。

【方法】県の介護予防事業の初回体力測定に参加した70歳以上の地域在住高齢者76名(うち男性12名,平均年齢76.7歳)を対象に,「室内での主な履物は何ですか?(スリッパは除く)」と質問し,「何もはかない(はだし)」と答えた者をはだし群,「靴下」と答えた者を靴下群とした。体力測定項目は,開眼片足立ち(左右1回ずつ,最大120秒:以下,片足立ち),30秒間立ち上がりテスト(以下,CS-30),およびTimed up & go test(以下,TUG)の3項目とした。調査および測定時期は,気温を考慮し5月~10月とした。はだし群と靴下群に分け,体力測定結果について対応のないt検定にて比較した。有意水準は5%未満とした。

【結果】はだし群は20名(平均年齢77.4歳,男性4名),靴下群は56名(平均年齢76.6歳,男性8名)であった。片足立ちは,はだし群21.3±16.6秒,靴下群16.1±14.9秒,CS-30は,はだし群16.5±4.50回,靴下群16.7±4.74回,TUGは,はだし群7.71±1.32秒,靴下群7.98±1.81秒であった。いずれの測定項目においても有意差は認められなかったが,はだし群は靴下群に比べ片足立ち時間が長い傾向が認められた(p=0.07)。

【結論】はだし生活者は,日常生活において足底からの感覚刺激により受容器を促通されており,また,足趾を自由に動かすことができるため足趾の運動が阻害されず,片足立ち時間が長い傾向にあったと考えられる。片足立ち時間と転倒歴は関連性があるとされており,はだし生活を推奨することで片足立ち時間が延長し,転倒予防効果が期待できる。