[P-YB-08-1] 予後予測に関する血液データの重要性
キーワード:予後予測, 栄養, 加齢
【はじめに,目的】
回復期では退院後の生活を想定してリハビリを行うため,予後予測は重要である。急性期では栄養状態が悪いと自立した生活が困難であり,血液データが予後予測の指標になるとされている。しかし,回復期では血液データとADLとの関係性を検討した報告が少ない。そこで本研究では,当院回復期において血液データが予後予測の因子となるかを検討した。
【方法】
対象は2014年8月から2015年6月までの間,当院回復期に入院された患者のうち無作為に選出した100名(脳血管;人数50名,年齢72.4±30.4,発症日~入院までの日数35.0日 運動器;人数50名,年齢83.6±18.6,発症日~入院までの日数32.8日)とした。入院時の血液データと退院時のFIMを比較し,血液データは,ALB,Hb,CRP,TPとした。FIMは合計点,運動項目,認知項目に分けて検討をした。
データ解析方法は①脳血管・運動器の疾患別,②年齢別(60,70,80,90歳代),③血液データの正常値,逸脱値別に各血液データとFIMの値をピアソンの相関係数を用いて比較検討した。
【結果】
脳血管患者の血液データはALB3.5±0.4,Hb13.3±1.6,CRP1.7±3.0,TP6.4±0.5,FIM合計92.4±27.2,運動項目66.6±20.8,認知項目26.1±7.9,運動器患者血液データはALB3.1±0.3,Hb11.2±1.5,CRP0.8±1.4,TP6.2±0.5,FIM合計90.0±23.3,運動項目64.0±18.3,認知項目26.0±7.4であった。
①疾患別の検討の結果は,脳血管患者はALB,CRPとFIMとに僅かな相関があったが,運動器患者では,血液データとFIMとの相関がなかった。
②年齢別の検討の結果は,60代は血液データとFIMとの相関がなく,70,80,90代は血液データとFIMとの相関があった。年齢別の検討を①同様に疾患別に比較検討した結果は,両疾患の各年代において少なくとも1つ以上の相関があった。
③血液データの正常値・逸脱値別の検討の結果は,ALB,Hbの正常値群は血液データとFIMの相関があり,ALB,Hbの逸脱群は相関がなかった。TP,CRPは両群とも有意な相関はなかった。
【結論】
①の結果より,脳血管患者においては血液データが予後予測の因子となり,運動器患者は,血液データがFIMの予後予測の因子とならない可能性が示唆された。この原因として,脳血管患者が運動器患者よりも有意に若いこと(p<.001),血液データ(ALB,Hb)が有意に良好であること(p<.001)が考えられた。年齢に関しては,②の結果より,各年代で特異的な影響がある可能性は低く,逆に運動器患者でも血液データが予後予測の指標となる可能性が考えられる。血液データに関しては,③の結果より,血液データが正常である患者の方が,血液データをFIMの予後予測の因子として使える可能性があると言える。回復期では高齢で低栄養状態の患者が多いため,医師,栄養科と連携をとり,リハビリ内容,リスク管理を含め,チーム間で検討していく必要があると考えられる。
回復期では退院後の生活を想定してリハビリを行うため,予後予測は重要である。急性期では栄養状態が悪いと自立した生活が困難であり,血液データが予後予測の指標になるとされている。しかし,回復期では血液データとADLとの関係性を検討した報告が少ない。そこで本研究では,当院回復期において血液データが予後予測の因子となるかを検討した。
【方法】
対象は2014年8月から2015年6月までの間,当院回復期に入院された患者のうち無作為に選出した100名(脳血管;人数50名,年齢72.4±30.4,発症日~入院までの日数35.0日 運動器;人数50名,年齢83.6±18.6,発症日~入院までの日数32.8日)とした。入院時の血液データと退院時のFIMを比較し,血液データは,ALB,Hb,CRP,TPとした。FIMは合計点,運動項目,認知項目に分けて検討をした。
データ解析方法は①脳血管・運動器の疾患別,②年齢別(60,70,80,90歳代),③血液データの正常値,逸脱値別に各血液データとFIMの値をピアソンの相関係数を用いて比較検討した。
【結果】
脳血管患者の血液データはALB3.5±0.4,Hb13.3±1.6,CRP1.7±3.0,TP6.4±0.5,FIM合計92.4±27.2,運動項目66.6±20.8,認知項目26.1±7.9,運動器患者血液データはALB3.1±0.3,Hb11.2±1.5,CRP0.8±1.4,TP6.2±0.5,FIM合計90.0±23.3,運動項目64.0±18.3,認知項目26.0±7.4であった。
①疾患別の検討の結果は,脳血管患者はALB,CRPとFIMとに僅かな相関があったが,運動器患者では,血液データとFIMとの相関がなかった。
②年齢別の検討の結果は,60代は血液データとFIMとの相関がなく,70,80,90代は血液データとFIMとの相関があった。年齢別の検討を①同様に疾患別に比較検討した結果は,両疾患の各年代において少なくとも1つ以上の相関があった。
③血液データの正常値・逸脱値別の検討の結果は,ALB,Hbの正常値群は血液データとFIMの相関があり,ALB,Hbの逸脱群は相関がなかった。TP,CRPは両群とも有意な相関はなかった。
【結論】
①の結果より,脳血管患者においては血液データが予後予測の因子となり,運動器患者は,血液データがFIMの予後予測の因子とならない可能性が示唆された。この原因として,脳血管患者が運動器患者よりも有意に若いこと(p<.001),血液データ(ALB,Hb)が有意に良好であること(p<.001)が考えられた。年齢に関しては,②の結果より,各年代で特異的な影響がある可能性は低く,逆に運動器患者でも血液データが予後予測の指標となる可能性が考えられる。血液データに関しては,③の結果より,血液データが正常である患者の方が,血液データをFIMの予後予測の因子として使える可能性があると言える。回復期では高齢で低栄養状態の患者が多いため,医師,栄養科と連携をとり,リハビリ内容,リスク管理を含め,チーム間で検討していく必要があると考えられる。