[P-YB-11-2] 当院における介護予防教室の効果検証
Keywords:介護予防, 筋力向上, 効果検証
【はじめに,目的】
現在,全国の市町村で様々な介護予防事業が展開されている。当院の所在する浦添市でも介護予防事業が導入され,当院でも市の委託事業として介護予防教室「生き生き貯筋クラブ」が,平成27年4月より開始された。
当院では理学療法士が介護予防教室を担当している。今回,4月と7月に開催した教室参加者に教室開始時と終了時の身体機能を比較し,効果を検討したので報告する。
【方法】
対象者は男性2名,女性10名,平均年齢は77.1±5.2歳であった。頻度は週2回各1時間30分,3カ月間を1クールとし,4月と7月に開催された。開始時と終了時を比較するために,体力測定を行った。体力測定の内容は,①BMI,②Timed Up&Go Test(以下,TUG),③10m最大歩行,④握力,⑤座位ステッピング,⑥片脚立位,⑦長座体前屈,⑧Hand-held dynamometer(以下,HDD)での膝伸展筋力の8項目とした。
解析方法は,各項目に対してStudentの対応のあるt検定を用い,有意水準は5%とした。
運動機能プログラムは,脳トレーニング,Warming-up,Chair-exercise,マシントレーニング,ロコモトレーニング(スクワット,踵上げ,片脚立位),Cool-downを基本メニューとした。主運動であるマシントレーニングはチェストプレス・レッグプレス・アダクション/アブダクション・ニーフレクション/エクステンションの4種類あり,各マシンの実施時間を2分間と設定し,自覚的強度で「ややきつい」を目標に実施した。更に,自宅でのホームトレーニングとして,ロコモトレーニングを中心に,各対象者個人が実施可能な運動内容・負荷量に構成し,カレンダーを作成,行った日にチェックをしてもらい,教室の日に実施できているかを確認した。
【結果】
TUG,HDD(両側)で1%の有意差を認め,座位ステッピングでは5%の有意差を認めた。10m最大歩行,握力,片脚立位で平均値はやや向上を示したが,有意差は認められなかった。長座体前屈では,平均値が低下した。
【結論】
大渕らによれば,運動器の機能向上を図るためには,週2回以上のプログラムの実施が必要であると述べており,当院では週2回のプログラムを行っている上に,ホームプログラムを行って頂いたことが,HDDでの有意差や,下肢筋力の向上につながったと考えられる。更に,自覚的強度を「ややきつい」に設定する事で,効果的に筋力向上に繋がったと推察する。筋力が向上したことで,俊敏性が向上し,座位ステッピングやTUGが有意差を示し,起立着座や歩行の安定性に良い影響を与えたと推測される。しかし,筋力向上は筋短縮を発生させてしまい,柔軟性を低下させた可能性がある。更に,全身性の筋力を示す握力も有意差が認められなかったので,下肢筋力のみ強化されたことが示された。今後は,全身性な筋力強化と柔軟性の向上を目的とした運動の追加・プログラムの修正を検討しなければならないと考える。
現在,全国の市町村で様々な介護予防事業が展開されている。当院の所在する浦添市でも介護予防事業が導入され,当院でも市の委託事業として介護予防教室「生き生き貯筋クラブ」が,平成27年4月より開始された。
当院では理学療法士が介護予防教室を担当している。今回,4月と7月に開催した教室参加者に教室開始時と終了時の身体機能を比較し,効果を検討したので報告する。
【方法】
対象者は男性2名,女性10名,平均年齢は77.1±5.2歳であった。頻度は週2回各1時間30分,3カ月間を1クールとし,4月と7月に開催された。開始時と終了時を比較するために,体力測定を行った。体力測定の内容は,①BMI,②Timed Up&Go Test(以下,TUG),③10m最大歩行,④握力,⑤座位ステッピング,⑥片脚立位,⑦長座体前屈,⑧Hand-held dynamometer(以下,HDD)での膝伸展筋力の8項目とした。
解析方法は,各項目に対してStudentの対応のあるt検定を用い,有意水準は5%とした。
運動機能プログラムは,脳トレーニング,Warming-up,Chair-exercise,マシントレーニング,ロコモトレーニング(スクワット,踵上げ,片脚立位),Cool-downを基本メニューとした。主運動であるマシントレーニングはチェストプレス・レッグプレス・アダクション/アブダクション・ニーフレクション/エクステンションの4種類あり,各マシンの実施時間を2分間と設定し,自覚的強度で「ややきつい」を目標に実施した。更に,自宅でのホームトレーニングとして,ロコモトレーニングを中心に,各対象者個人が実施可能な運動内容・負荷量に構成し,カレンダーを作成,行った日にチェックをしてもらい,教室の日に実施できているかを確認した。
【結果】
TUG,HDD(両側)で1%の有意差を認め,座位ステッピングでは5%の有意差を認めた。10m最大歩行,握力,片脚立位で平均値はやや向上を示したが,有意差は認められなかった。長座体前屈では,平均値が低下した。
【結論】
大渕らによれば,運動器の機能向上を図るためには,週2回以上のプログラムの実施が必要であると述べており,当院では週2回のプログラムを行っている上に,ホームプログラムを行って頂いたことが,HDDでの有意差や,下肢筋力の向上につながったと考えられる。更に,自覚的強度を「ややきつい」に設定する事で,効果的に筋力向上に繋がったと推察する。筋力が向上したことで,俊敏性が向上し,座位ステッピングやTUGが有意差を示し,起立着座や歩行の安定性に良い影響を与えたと推測される。しかし,筋力向上は筋短縮を発生させてしまい,柔軟性を低下させた可能性がある。更に,全身性の筋力を示す握力も有意差が認められなかったので,下肢筋力のみ強化されたことが示された。今後は,全身性な筋力強化と柔軟性の向上を目的とした運動の追加・プログラムの修正を検討しなければならないと考える。