[P-YB-11-3] 介護予防事業対象者における疼痛と心理的要因の関連
キーワード:介護予防, 疼痛, 心理的要因
【はじめに,目的】
疼痛が発生すると,それによって活動量が低下し,廃用症候群によりさらに疼痛が発生・増悪するという悪循環が生じると言われている。この悪循環のうち,疼痛が心理面に影響し「動きたくない」という心理状態になるものと,疼痛によって安静にしなければならず,「動けない」という状態になるものがあると考えられる。この悪循環を断ち切るためには,疼痛によって起こる心理的要因と疼痛そのものの双方に対して介入するべきであると考えられる。一方,介護予防の観点では,活動量低下によって要介護状態にならないために,疼痛そのものの発生を予防する必要がある。疼痛に関する予防としては,腰痛体操等による介入が行なわれており,それらに関する研究は多く報告されている。また,先行研究によって,疼痛は精神健康を低下させると報告されており,疼痛による心理状態として,一般的には「うつ」が挙げられている。また,疼痛が発生している者に対しては,上記の疼痛の悪循環に陥らないようにすることも介護予防として重要であると考えられる。したがって,介護予防事業対象者の疼痛と心理的要因の関連を明らかにすることにより,今後の疼痛予防に関するプログラムを検討する上で有用な資料となると考えられる。しかし,介護予防事業対象者の疼痛と心理的要因の関連を明らかにした報告は見当たらない。そこで,本研究では,介護予防事業対象者の疼痛と心理的要因としての「うつ」との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は介護予防事業に参加している高齢者36名であった(男性9名,女性27名,平均年齢76.2±5.7歳,66歳~97歳)。対象者に対し,疼痛に関するアンケートと老年期うつ病評価尺度(以下,GDS15)を調査した。疼痛に関するアンケートの内容は疼痛の有無,部位,疼痛の程度(VAS)とした。統計学的解析は,Mann-WhitneyのU検定を用いて疼痛がある者とない者でのGDS15の点数の比較を行った。また,疼痛の部位ごとに疼痛の程度とGDS15の点数の相関関係,疼痛がある者とない者のGDS15の点数の比較を行った。
【結果】
疼痛がある者は36名中29名であり,GDS15は3.9±2.2点であり,疼痛がある者はない者よりGDS15の点数が有意に高かった。疼痛の程度とGDS15の相関関係は,腰部の疼痛のみ,正の相関が認められた(r=0.33,p=0.05)。また,腰部に疼痛がある者のみ,ない者よりGDS15の点数が有意に高かった。
【結論】
一般的に,身体に疼痛を有している者はうつ傾向を示すことが多いと言われており,本研究の結果でも疼痛がある者はない者よりもうつ傾向を示していた。また,疼痛の程度とGDS15の点数の相関関係について,腰部のみ正の相関が認められ,腰痛がある者のみ,ない者よりも有意にうつ傾向を示した。したがって,介護予防事業において,腰痛予防や腰痛による心理面への影響に対するプログラムも取り入れる検討をする必要があると考えられた。
疼痛が発生すると,それによって活動量が低下し,廃用症候群によりさらに疼痛が発生・増悪するという悪循環が生じると言われている。この悪循環のうち,疼痛が心理面に影響し「動きたくない」という心理状態になるものと,疼痛によって安静にしなければならず,「動けない」という状態になるものがあると考えられる。この悪循環を断ち切るためには,疼痛によって起こる心理的要因と疼痛そのものの双方に対して介入するべきであると考えられる。一方,介護予防の観点では,活動量低下によって要介護状態にならないために,疼痛そのものの発生を予防する必要がある。疼痛に関する予防としては,腰痛体操等による介入が行なわれており,それらに関する研究は多く報告されている。また,先行研究によって,疼痛は精神健康を低下させると報告されており,疼痛による心理状態として,一般的には「うつ」が挙げられている。また,疼痛が発生している者に対しては,上記の疼痛の悪循環に陥らないようにすることも介護予防として重要であると考えられる。したがって,介護予防事業対象者の疼痛と心理的要因の関連を明らかにすることにより,今後の疼痛予防に関するプログラムを検討する上で有用な資料となると考えられる。しかし,介護予防事業対象者の疼痛と心理的要因の関連を明らかにした報告は見当たらない。そこで,本研究では,介護予防事業対象者の疼痛と心理的要因としての「うつ」との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は介護予防事業に参加している高齢者36名であった(男性9名,女性27名,平均年齢76.2±5.7歳,66歳~97歳)。対象者に対し,疼痛に関するアンケートと老年期うつ病評価尺度(以下,GDS15)を調査した。疼痛に関するアンケートの内容は疼痛の有無,部位,疼痛の程度(VAS)とした。統計学的解析は,Mann-WhitneyのU検定を用いて疼痛がある者とない者でのGDS15の点数の比較を行った。また,疼痛の部位ごとに疼痛の程度とGDS15の点数の相関関係,疼痛がある者とない者のGDS15の点数の比較を行った。
【結果】
疼痛がある者は36名中29名であり,GDS15は3.9±2.2点であり,疼痛がある者はない者よりGDS15の点数が有意に高かった。疼痛の程度とGDS15の相関関係は,腰部の疼痛のみ,正の相関が認められた(r=0.33,p=0.05)。また,腰部に疼痛がある者のみ,ない者よりGDS15の点数が有意に高かった。
【結論】
一般的に,身体に疼痛を有している者はうつ傾向を示すことが多いと言われており,本研究の結果でも疼痛がある者はない者よりもうつ傾向を示していた。また,疼痛の程度とGDS15の点数の相関関係について,腰部のみ正の相関が認められ,腰痛がある者のみ,ない者よりも有意にうつ傾向を示した。したがって,介護予防事業において,腰痛予防や腰痛による心理面への影響に対するプログラムも取り入れる検討をする必要があると考えられた。