第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P11

Sat. May 28, 2016 11:40 AM - 12:40 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-YB-11-4] 介護予防における地域サロン参加者の自宅とサロン会場における通所手段,所要時間,距離の分析

小林量作1, 佐藤成登志1, 古西勇1, 新井春美2, 康徳龍3, 内山渉4 (1.新潟医療福祉大学理学療法学科, 2.新潟市秋葉区健康福祉課, 3.新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科, 4.新潟総合学園eラーニング推進室)

Keywords:介護予防, いきいきサロン, 通所時間

【はじめに,目的】地域在住高齢者の介護予防において,町内会館等を通所のサロン会場として利用する「町内型」は,体育館等の大規模施設利用の「センター型」に比べて,自宅からの所用時間,距離において優位である。しかし,参加者の自宅とサロン会場との通所手段,所用時間,距離についての報告は少なく,その実態,適切な範囲については不明である。本研究の目的は,サロン参加者の自宅と会場における通所手段,所要時間,距離の実態を明らかにすることである。


【方法】対象はN市A区の8か所のサロン会場に参加している在宅高齢者154人である。男性18人,女性136人,58歳から86歳,平均74.6±6.5歳である。方法は,サロン活動において年1回実施しているアンケート調査より自宅からサロン会場までの通所手段,MapFan Web,Googole Mapによる所要時間,距離をインターネットで検索・抽出した。統計的解析は,対応のないt検定,一元配置分散分析を実施した。


【結果】1.全対象の通所手段は,徒歩が93人,60%,平均年齢76.1歳,自転車が20人,13%,72.7歳,自動車(同乗を含む)が41人,27%,74.1歳であった。3つの通所手段における年齢には有意差を示さなかった。2.所要時間は1分から20分,平均7.3±4.2分,10分以内に含まれる者が80人,88%であった。自宅からの距離は10mから2600m,平均837±553m,1000m以内に含まれる者が68人,75%であった。3.男女比較では,所要時間において男性平均5.6分,女性平均7.6分であった。距離において男性平均663m,女性平均869mであった。所要時間,距離のいずれも男女間に有意差を示さなかった。4.60歳代,70歳代,80歳代の比較(以下同順)では,所要時間において平均5.9分,7.6分,7.6分であった。距離において平均866m,942m,610mであった。3つの年齢層における所要時間,距離のいずれも有意差を示さなかった。5.通所手段の徒歩,自転車,自動車の比較(以下同順)では,所要時間において平均8.7分,7.0分,5.3分であった。距離においては平均521m,843m,1314mであった。3つの通所手段による所要時間,距離のいずれも有意差を示した(p<0.01)。


【結論】高齢者が徒歩で買い物に行く範囲の所要時間は10分以内である(東京都調査,2011.李,2013)。平均年齢75歳の高齢者にとって,通所のために許容できる所要時間は買い物の範囲とほぼ同様であり,10分程度が目安として考えられる。また,距離は通所手段により明らかに異なった。本研究の実態から考えるには,徒歩では約500m程度の距離,所要時間では通所手段に依存しないで10分以内の条件なら参加しているといえる。

結論は,介護予防のサロン参加者は,徒歩の参加者が多く500m程度の距離内であり,徒歩,自転車,自動車とも所要時間10分以内が良いアクセスの目安と考えられる。