第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P11

2016年5月28日(土) 11:40 〜 12:40 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-YB-11-5] 介護予防におけるフラダンスの効果について

―運動機能・運動能力に着目して―

笹野弘美1, 吉元洋一2, 平野孝行1 (1.名古屋学院大学リハビリテーション学部, 2.鹿児島大学医学部保健学科)

キーワード:フラダンス, 介護予防, 運動習慣

【はじめに,目的】

現在,要支援者への予防給付と併せて,虚弱高齢者を早期に把握し水際で食い止める介護予防事業が重視されている。我々の先行研究においてフラダンス(以下,フラ)は介護予防における有効な手段であることが示唆されたため,対象者数及び検査項目を増やし,フラが身体機能,運動機能・能力,認知機能,生活に与える効果について検証した。今回は運動機能・能力に着目して報告する。

【方法】

研究目的に賛同を得られたN市在住の60・70歳代の女性18名(平均71.4歳)を対象に週1回のフラレッスン(以下,レッスン)を行い,介入前後に体組成,骨密度,柔軟性,バランス機能,俊敏性,筋力,歩行能力,活動量,認知機能等の検査を実施し,運動機能・能力について比較した。レッスンは1時間とし,ストレッチ・リズム体操・フラの動きを使った筋力トレーニング・振付を実施した。また,レッスンの成果を発表する機会を設けた。検定にはSPSS 23を使用し,正規性の検定(Shapiro-Wilk)を行い,正規分布している場合は反復測定の一元配置分散分析+多重比較(ボンフェローニ),正規分布してない場合はフリードマン検定+多重比較(ウィルコクソン検定のボンフェローニ修正)を実施した。

【結果】

レッスン開始後2か月半経過時に内科的疾患で緊急入院した1名を除外し,17名を対象とした。10項目の運動機能・能力検査を実施し,Functional Reach Test,立ち上がり,膝伸展筋力に統計的有意差が認められた(p<0.05)。また,統計学的有意差は認められなかったが,長座体前屈,開眼片足立ち時間,反応時間において半数以上,股外転筋力,Timed Up &Go Testにおいて7割以上の対象者に改善傾向が認められた。

【結論】

週1回のレッスンにより,10項目のうち3項目において統計学的有意差が認められ,またそれ以外の5項目においても改善傾向が認められた事より,フラは運動機能・能力の維持改善に有用な手段であると考える。また,6か月間の実施において入院による1名を除く17名全員が継続できていることも特筆すべきである。フラはパウスカートやフラワーレイなどの衣装でハワイアン音楽に合わせてゆったりと踊るため楽しく実施でき,その「楽しさ」が「運動の継続」に繋がると考える。さらに,人前で披露することの「満足感・達成感」や普段とは違う化粧による「高揚感」が更なる「運動の継続」に繋がると考える。介護予防には定期的・継続的な運動が重要であり,本研究によりフラはその有効な手段であると考える。今後も経時的変化を追うとともに,その他の検査項目との関連性についても検討したい。