第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P14

Sat. May 28, 2016 4:00 PM - 5:00 PM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-YB-14-4] 高齢者の身体活動量評価における3軸加速度計の有用性

西田優紀1, 関川清一2, 上川紀道1, 濱田泰伸2 (1.広島大学大学院医歯薬保健学研究科, 2.広島大学大学院医歯薬保健学研究院)

Keywords:高齢者, 身体活動, 3軸加速度計

【はじめに,目的】

高齢者の健康寿命を延伸させるためには,座位行動時間を減少させ,ゆっくりとした歩行や生活活動のような低強度の身体活動時間を増やすことが重要である。3軸加速度計Active style Pro HJA-350IT(オムロン,以下,ASP)は,歩行と生活活動に識別した時間を記録し,各活動における運動強度を測定することが可能である。若年者において,本加速度計は活動を正確に識別でき,運動強度も正確に測定できることが報告されているが,高齢者においてこれらは明らかではない。本研究では,高齢者の各活動の識別におけるASPの正確性と,運動強度の測定における妥当性を検討することを目的とした。

【方法】

対象は,高齢女性14名(年齢76.8±6.3歳,身長150.2±6.6cm,体重56.3±8.5kg,BMI24.9±2.3kg/m2)と若年女性14名(年齢21.9±0.8歳,身長160.2±5.8cm,体重54.1±6.1kg,BMI21.1±2.2kg/m2)とした。対象者は,ASPと呼気ガス分析のためのマスクを装着し,3種類の速度における歩行と5種類の生活活動を実施した。各課題動作において,ASPを用いて歩行と生活活動に識別した時間を記録した。ASPにより活動を正確に識別した時間を実際の課題動作時間で除して感度を求めた。また,ASPと呼気ガス分析装置(AERO MONITOR AR-300,ミナト医科学)を用いて,各課題動作における運動強度を測定した。なお,呼気ガス分析による運動強度は,活動時酸素摂取量を安静時酸素摂取量で除すことにより算出した。

ASPおよび呼気ガス分析による運動強度の関連性の検討には,Pearsonの相関係数を用いた。また,Bland-Altman法を用いて,両者の運動強度の間に含まれる誤差を視覚的に判断し,運動強度の測定におけるASPの妥当性を検討した。有意水準は全て5%未満とした。

【結果】

高齢者と若年者の両群ともに,全ての課題動作において感度は高値となった。ASPおよび呼気ガス分析による運動強度の間には,高齢者の生活活動(r=0.74,p<0.01)と,若年者の生活活動(r=0.80,p<0.01)において有意な正の相関が認められた。一方,両群の歩行においては有意な相関は認められなかった。Bland-Altman法では,高齢者の歩行時において呼気ガス分析と比較してASPは運動強度を過小評価する傾向を認めたが,高齢者の生活活動時,若年者の歩行時と生活活動時の運動強度の測定においては高い妥当性が認められた。

【結論】

本研究では,高齢者の各活動の識別におけるASPの正確性と,運動強度の測定における妥当性を検討した。高齢者においてもASPにより活動を正確に識別することが可能であった。また,ASPは高齢者の歩行時の運動強度を過小評価するが,生活活動時の運動強度の測定においては高い妥当性が認められた。