[P-YB-15-4] Late Evening Snackは呼吸器疾患患者においても骨格筋量減少を抑制し有効であるかの検証
キーワード:Late evening snack, リハビリテーション栄養, 筋肉量
【はじめに,目的】
Late evening snack(LES:就寝前軽食摂取療法)は肝硬変患者のエネルギー代謝異常に対して行われる栄養食事療法で,エネルギーを頻回に供給することでアルブミンの消費を防止し,夜間のタンパク異化を防ぐ目的としても行われている。非肝硬変患者においても,特に高齢者では夕食から朝食までの絶食時間が長く,肝臓におけるグリコーゲンは12~24時間で枯渇することから,飢餓状態になっている可能性があると考えられる。特に呼吸器疾患においては安静時消費エネルギー増大に反映される代謝亢進から飢餓状態に陥る可能性があると考えられるが,LESの効果についての検証は少ない。そこで今回,呼吸器疾患患者に対してLESを行い効果を検証した。
【方法】
対象は当院呼吸器疾患患者10名(年齢71.3±6.2歳,BMI 17.9±4.2,%VC 60.1±28.7%,%FEV1.0 48.8±25.5%)。条件としては,高齢者(65歳以上),立位可能な者,経口摂取可能な者,リハビリ介入者,肝機能異常のない者とした。方法は,対象者にまず,第1回評価を実施し,通常の1日3回食を2週間摂取していただき,第2回評価を実施した後,栄養補助食品(リソースペムパルアクティブ ネスレ)を2週間,就寝前に摂取していただき,第3回評価を実施した。評価項目は,体重,血液生化学検査,筋肉量,筋力,栄養状態,ADL,歩行・バランス機能とした。血液生化学検査はAlb,TTR,CRPの値を使用した。筋肉量測定に関してはBIA法による体組成計(DC-250タニタ)を使用し,SMI(四肢骨格筋指数)を算出した。また,上腕周径,下腿周径も測定した。筋力は握力・下肢筋力・呼吸筋力を測定した。栄養評価はMNAⓇ-SFを使用し,ADL評価はBI,歩行・バランス機能評価はTUGを使用した。統計処理は,第1回~第3回評価をrepeated measure ANOVAを用いて比較を行い,有意水準は5%未満とした。統計ソフトはSPSS Statistics 23を使用した。
【結果】
第1回評価と第2回評価の比較では,MNAⓇ-SF(P<0.05)において有意差を認めた。第1回評価と第3回評価の比較では,TTR・体重・SMI・下腿周径・下肢筋力・Pimax・TUG(P<0.05),上腕周径・MNAⓇ-SF(P<0.01)において有意差を認めた。第2回評価と第3回評価の比較では,体重・Alb・TTR(P<0.05),MNAⓇ-SF・TUG(P<0.01)において有意差を認めた。その他の比較においては有意差を認めなかった。
【結論】
呼吸器疾患患者に対してLESを行った結果,体重・Alb・TTR・MNAⓇ-SF・TUGにおいて有意な改善を認めた。有意な筋肉量の増加は認めなかったが,LESが栄養状態,歩行状態に対して改善効果がある可能性が示唆される。リハビリテーションを行う上で患者の栄養状態を把握し,筋肉の分解(異化)を抑制することは重要と考える。
Late evening snack(LES:就寝前軽食摂取療法)は肝硬変患者のエネルギー代謝異常に対して行われる栄養食事療法で,エネルギーを頻回に供給することでアルブミンの消費を防止し,夜間のタンパク異化を防ぐ目的としても行われている。非肝硬変患者においても,特に高齢者では夕食から朝食までの絶食時間が長く,肝臓におけるグリコーゲンは12~24時間で枯渇することから,飢餓状態になっている可能性があると考えられる。特に呼吸器疾患においては安静時消費エネルギー増大に反映される代謝亢進から飢餓状態に陥る可能性があると考えられるが,LESの効果についての検証は少ない。そこで今回,呼吸器疾患患者に対してLESを行い効果を検証した。
【方法】
対象は当院呼吸器疾患患者10名(年齢71.3±6.2歳,BMI 17.9±4.2,%VC 60.1±28.7%,%FEV1.0 48.8±25.5%)。条件としては,高齢者(65歳以上),立位可能な者,経口摂取可能な者,リハビリ介入者,肝機能異常のない者とした。方法は,対象者にまず,第1回評価を実施し,通常の1日3回食を2週間摂取していただき,第2回評価を実施した後,栄養補助食品(リソースペムパルアクティブ ネスレ)を2週間,就寝前に摂取していただき,第3回評価を実施した。評価項目は,体重,血液生化学検査,筋肉量,筋力,栄養状態,ADL,歩行・バランス機能とした。血液生化学検査はAlb,TTR,CRPの値を使用した。筋肉量測定に関してはBIA法による体組成計(DC-250タニタ)を使用し,SMI(四肢骨格筋指数)を算出した。また,上腕周径,下腿周径も測定した。筋力は握力・下肢筋力・呼吸筋力を測定した。栄養評価はMNAⓇ-SFを使用し,ADL評価はBI,歩行・バランス機能評価はTUGを使用した。統計処理は,第1回~第3回評価をrepeated measure ANOVAを用いて比較を行い,有意水準は5%未満とした。統計ソフトはSPSS Statistics 23を使用した。
【結果】
第1回評価と第2回評価の比較では,MNAⓇ-SF(P<0.05)において有意差を認めた。第1回評価と第3回評価の比較では,TTR・体重・SMI・下腿周径・下肢筋力・Pimax・TUG(P<0.05),上腕周径・MNAⓇ-SF(P<0.01)において有意差を認めた。第2回評価と第3回評価の比較では,体重・Alb・TTR(P<0.05),MNAⓇ-SF・TUG(P<0.01)において有意差を認めた。その他の比較においては有意差を認めなかった。
【結論】
呼吸器疾患患者に対してLESを行った結果,体重・Alb・TTR・MNAⓇ-SF・TUGにおいて有意な改善を認めた。有意な筋肉量の増加は認めなかったが,LESが栄養状態,歩行状態に対して改善効果がある可能性が示唆される。リハビリテーションを行う上で患者の栄養状態を把握し,筋肉の分解(異化)を抑制することは重要と考える。