第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本予防理学療法学会 一般演題ポスター
予防P16

Sun. May 29, 2016 10:00 AM - 11:00 AM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-YB-16-3] 歩行介助用ベルトの開発と紹介

佐藤志保, 五十嵐淳平, 屋敷祐, 平山陽太, 伊藤篤志, 栗川優子, 品田泉, 小林優人, 川口雄平 (一般財団法人竹田健康財団竹田綜合病院リハビリテーション部)

Keywords:ICUAW, 歩行練習, 歩行介助

【はじめに,目的】

当院では周術期のリハビリテーションを積極的に行っており,手術翌日から早期離床・歩行練習を開始している。その中でICUAWや長期臥床による廃用症候群により全身の著明な筋力低下により立位,歩行練習に難渋する症例を経験することも多い。

今回,介助量が多い症例に対し歩行練習を行う際,介助量の軽減とアプローチを行いやすくする用具を開発し使用しているため考察も含め報告する。

【方法】

歩行用具開発以前は両下肢にSHB,膝伸展装具を装着し歩行練習を行っていた。この状況では下肢の支持性は得られるが患者自身が下肢を振り出すことは困難であり,PTは両脇から膝伸展装具のベルトを持ち振り出しを介助していた。この場合股関節伸展を介助することは難しく,股関節,体幹伸展保持は別のPTが行わなければならなかった。点滴やドレーン等のルート類が多い時はそれぞれのPTが狭いスペースで介助していた。このような歩行練習を行う頻度が多いため介助しやすく患者の能力を引き出しながら歩行練習を行うための歩行介助用具作成に至った。

歩行介助用ベルトはさらしで作成した紐パンツにPTが首から吊り下げて介助できるように両脇からベルトを左右に付け前後4点で支える形になっている。パンツの股上は浅くしパンツの上部を持ち介助することで股関節伸展が介助できるようになっており大腿静脈にCVが留置されていても圧迫しないようになっている。PTはベルトで患者を吊り下げているため両手が自由となる。患者の下肢支持性に合わせ引き上げる介助量を変え,体幹・股関節の伸展を介助しながら左右へ体重移動させることで患者の下肢の振り出しを引き出すことが出来る。股関節・体幹の伸展保持まで介助できるとため基本的に2人介助で歩行練習が可能であり,多くの点滴等は前方に置くことで介助スペースも確保できる。パンツは両脇で結ぶため患者の体格に合わせ調整できベルトも長さ調整が可能なためPTの身長に合わせて調整できる。

【結果】

当院は免荷機能付歩行器も導入しALSや片麻痺の方に積極的に使用している。今回の歩行介助用ベルトは持ち運びが容易でありスペースを取らない,また患者の状態が評価しやすく状態により介助量を変えやすいメリットがある。ICU等の限られたスペースでも使用することが可能である。PTが両脇から介助するため体幹の固定が不安定でも使用でき早期から歩行練習を開始することが出来る。歩行介助ベルトでの歩行から歩行器,杖,独歩と練習を進め歩行自立で退院された患者もいる。しかし患者を吊り下げるためPTの体力,筋力は必要であり2人のPTが必要である。

【結論】

術後の機能回復,廃用症候群の予防のために早期歩行が可能となるよう,患者の状態に合わせどのように介助,アプローチすれば患者の能力が引き出せるのかを評価しながら歩行練習を行うことが重要であり状態に合わせ用具の選択もすべきと考える。