[P-YB-19-2] 地域在住高齢者の“Disabling Foot Pain”の実態に関する疫学的調査
第3報 足部自己管理行動と“Disabling Foot Pain”発生との関連
Keywords:地域在住高齢者, Disabling Foot Pain, 記述疫学
【はじめに,目的】
地域在住高齢者における足部痛に関連する能力障害(Disabling Foot Pain;DFP)の発生を効果的に予防する方法を明らかにするため,地域在住高齢者が実施する足部自己管理行動とDFP発生状況を分析したので報告する。
【方法】
地域在住高齢者346名(男性215名,女性131名,第1次調査時平均年齢(S.D.)は74.03(5.21)歳)を対象とした。
第1次調査は郵送自記式質問紙調査を行い,人口統計学的指標,生活習慣(飲酒・喫煙・運動習慣),足部痛・DFPの有無(日本語版Manchester Foot Pain and Disability Index;以下MFPDI-Jにより判定),足部自己管理行動に関する項目(「毎日足の状態を観察していますか」等7項目),履き物の選択行動に関する項目(「踵がしっかりとした靴を履いていますか」等靴の種類に関する9項目と「試着をして履き心地を確認していますか」等選択行動に関する4項目)について尋ねた。第1次調査の8か月後に第2次調査として対面自記式質問紙調査を実施し,足部痛・DFPの有無(MFPDI-J)を尋ねた。第1次調査と第2次調査の回答から,DFPなし群,DFP発生群,DFP改善群,DFP持続群の4群に分類し,各群の足部自己管理行動に関する項目の実施数,履き物選択行動に関する項目の実施数について一元配置分散分析を行った。さらに第1次調査時にDFPがなかった271名を抽出し第2次調査時のDFPの有無を従属変数,第1次調査時の足部自己管理行動に関する項目,履き物選択行動に関する項目,運動習慣の有無を独立変数として,多重ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】
DFP発生状況は,DFPなし群244名(70.5%),発生群27名(7.8%),改善群46名(13.3%),持続群25名(13.3%)であった。
一元配置分散分析では足部自己管理行動の実施数において有意な差を認め(F=5.86,p<.01),多重比較の結果,DFP持続群はDFPなし群に比べて足部自己管理行動の実施数が有意に高かった(DFP持続群平均3.79に対しDFPなし群2.14,p<.01)。
多重ロジスティック回帰分析の結果は,履物選択行動に関する項目のうち「デザインや価格以外の要素を考慮して靴を選んでいる」(Odds ratio 2.94,95%CI 1.08-7.97)と「日常的な運動習慣がある」(Odds ratio 0.33,95%CI 0.14-0.80)が有意にDFPの発生に関連した(p<.05)。
【結語】
第1次調査時にDFPがあり8か月後にも持続する者の足部自己管理行動の実施数がむしろ多く,足部自己管理行動の実施数はDFP発生・改善に単純には影響しないことがわかった。一方,第1次調査時にDFPがない対象者のみの分析では,足部自己管理行動の実施数や履物選択行動の実施数はDFPの発生に有意な関連はなく,履物の選択時に履物の外観や価格以外の要素を考慮することと日常的に運動習慣があることがDFPの発生を有意に抑制できる可能性が示唆された。履物選択時に考慮するべき内容や習慣化するべき運動内容の仔細は本研究では明らかとならないため,今後の調査・分析の課題とする。
地域在住高齢者における足部痛に関連する能力障害(Disabling Foot Pain;DFP)の発生を効果的に予防する方法を明らかにするため,地域在住高齢者が実施する足部自己管理行動とDFP発生状況を分析したので報告する。
【方法】
地域在住高齢者346名(男性215名,女性131名,第1次調査時平均年齢(S.D.)は74.03(5.21)歳)を対象とした。
第1次調査は郵送自記式質問紙調査を行い,人口統計学的指標,生活習慣(飲酒・喫煙・運動習慣),足部痛・DFPの有無(日本語版Manchester Foot Pain and Disability Index;以下MFPDI-Jにより判定),足部自己管理行動に関する項目(「毎日足の状態を観察していますか」等7項目),履き物の選択行動に関する項目(「踵がしっかりとした靴を履いていますか」等靴の種類に関する9項目と「試着をして履き心地を確認していますか」等選択行動に関する4項目)について尋ねた。第1次調査の8か月後に第2次調査として対面自記式質問紙調査を実施し,足部痛・DFPの有無(MFPDI-J)を尋ねた。第1次調査と第2次調査の回答から,DFPなし群,DFP発生群,DFP改善群,DFP持続群の4群に分類し,各群の足部自己管理行動に関する項目の実施数,履き物選択行動に関する項目の実施数について一元配置分散分析を行った。さらに第1次調査時にDFPがなかった271名を抽出し第2次調査時のDFPの有無を従属変数,第1次調査時の足部自己管理行動に関する項目,履き物選択行動に関する項目,運動習慣の有無を独立変数として,多重ロジスティック回帰分析を行った。
【結果】
DFP発生状況は,DFPなし群244名(70.5%),発生群27名(7.8%),改善群46名(13.3%),持続群25名(13.3%)であった。
一元配置分散分析では足部自己管理行動の実施数において有意な差を認め(F=5.86,p<.01),多重比較の結果,DFP持続群はDFPなし群に比べて足部自己管理行動の実施数が有意に高かった(DFP持続群平均3.79に対しDFPなし群2.14,p<.01)。
多重ロジスティック回帰分析の結果は,履物選択行動に関する項目のうち「デザインや価格以外の要素を考慮して靴を選んでいる」(Odds ratio 2.94,95%CI 1.08-7.97)と「日常的な運動習慣がある」(Odds ratio 0.33,95%CI 0.14-0.80)が有意にDFPの発生に関連した(p<.05)。
【結語】
第1次調査時にDFPがあり8か月後にも持続する者の足部自己管理行動の実施数がむしろ多く,足部自己管理行動の実施数はDFP発生・改善に単純には影響しないことがわかった。一方,第1次調査時にDFPがない対象者のみの分析では,足部自己管理行動の実施数や履物選択行動の実施数はDFPの発生に有意な関連はなく,履物の選択時に履物の外観や価格以外の要素を考慮することと日常的に運動習慣があることがDFPの発生を有意に抑制できる可能性が示唆された。履物選択時に考慮するべき内容や習慣化するべき運動内容の仔細は本研究では明らかとならないため,今後の調査・分析の課題とする。