The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本糖尿病理学療法学会企画 » 教育講演2

[DM-3] 教育講演2 糖尿病足病変と重症下肢虚血に対する治療とリハビリテーション

Sun. May 14, 2017 9:20 AM - 10:20 AM B1会場 (東京ベイ幕張ホール No. 1・2)

司会:河辺 信秀(城西国際大学福祉総合学部理学療法学科), 司会:林 久恵(星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻)

日本糖尿病理学療法学会企画

[DM-3-1] 糖尿病足病変と重症下肢虚血の治療におけるリハビリテーションの重要性

菊池 守 (下北沢病院)

年々増加している糖尿病,透析,閉塞性動脈硬化症などの疾患は足部の難治性創傷の発生が非常に多いことで知られている。その治療には長期の入院が必要であり患者,医療者双方の大きな負担となっている。

糖尿病患者,透析患者はそもそも下肢の血行障害,易感染性,神経障害など多くのリスクを抱えており,それに胼胝や乾燥,爪変形などが加わると容易に潰瘍を発生する。そのためすでに保険診療で「糖尿病重症合併症予算」として糖尿病患者に対するフットケアが,平成28年には透析患者に対して「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」が加えられた。すなわち出来てしまった創傷・潰瘍の治療だけでなくその発生予防,再発予防への介入が重要視されているのである。

しかし,上記のように血行評価,フットケア,装具療法などはすでにその重要性が認識されているが,足の機能や足部変形,関節可動域制限,筋委縮,歩容の変化など患者のベースにある運動器としての機能障害が創傷の発生,再発という結果につながることについてはまだ十分な評価がされているとは言い難い。

糖尿病自体や長期の治療期間など様々な要因による関節可動域制限は,フットケアの対象になる胼胝に負けず劣らず足底圧を上昇させる原因となる。また筋委縮やバランス障害による歩容の変化や術後の回復に伴う活動量の増加なども潰瘍再発の大きな要因である。患部の免荷は装具療法だけでなく,理学療法によってもなされるべきである。

リスクの高い足病変患者に対し長期に渡って発生予防,潰瘍治療,再発予防を進めていくためには,医師やフットケアを行う看護師やフットウェアを作成する義肢装具士だけでなく理学療法士の介入が必須である。糖尿病足病変,重症下肢虚血に対するリハビリテーションの介入の必要性を整理するとともに自院での取り組みを紹介する。